黒髪の王〜魔法の使えない魔剣士の成り上がり〜
128話 侵入者
「……レディウス樣、一体どうされ……ひぃっ!」
俺が兵士の死体を調べていると、戻ってこない俺を心配して、ヘレナさんも植込みの方へやって来てしまった。しまった、来ないように言うべきだった。
ヘレナさんは余りの驚きにその場に座り込んでしまう。ヘレナさんは死体を見たまま固まってしまった。俺はヘレナさんと死体の間に入って、ヘレナさんが見ないようにしながら、側に寄る。体が震えているな。顔も真っ青だ。
「ヘレナさん、俺の顔を見て」
俺はヘレナさんの両頬を掴んで視線を動かして俺を見るようにする。怖さで震えるヘレナさんは涙を流しているが、俺が何度か声をかければ俺の目を見てくれるようになった。
「落ち着けるように深呼吸して……そう、そんな感じで」
「……ご、ごめんなさい。取り乱してしまって」
「いや、仕方ないよ。死体なんて普段は見ないからな。それよりも、この王宮に誰かが忍び込んでいるようだ。目的はわからないけど」
「っ! そ、そうですね! 急いて伝えないと!」
ヘレナさんも落ち着いたのか立ち上がる。しかし、侵入者の狙いは王宮と離宮どっちだ? 離宮に俺たちのような外部の人間がいるし、王宮に当然ながら王族がいる。どちらが狙いか。
「取り敢えず王宮にいる騎士のところへ行こう。少し急ぐから……ゴメン!」
「えっ……へっ? ……きゃあっ!」
俺は走るためにヘレナさんをお姫様抱っこする。そして、魔闘脚をして王宮まで走る。何気に遠いなここ。ヘレナさんは俺の首に腕を回して胸元に顔を押し付けている。
おっ、見回りの兵士を見つけた。兵士2人も俺を見て武器に手をかけるが、俺とヘレナさんとわかってホッとした顔をする。残念だけど、ホッとは出来ないんだよな。
「夜遅くにすみません。だけど、緊急事態なんです。向こうで兵士が死んでいて」
「なにっ! ということは……」
「王宮内に侵入者がいます」
俺がそう言うと、2人は王宮に向かって走って行ってしまった。俺はヘレナさんを下ろして、纏を発動する。何があっても対処が出来るように。
「……ん? なんだあれ?」
それは偶然見つけてしまった。既に消えかかって入るけど、先ほどの兵士が亡くなっていた植込みの道から王宮まで続く足跡。しかもただの足跡じゃない。魔力で出来た足跡だ。
多分時間が経てば、この魔力で出来た足跡も消えてしまうのだろう。と言うことは、この足跡はさっき出来たばかりって事だ。先ほどの王宮に戻った兵士たちの足跡は無い。普段足に魔法をかけるわけが無いか。って事は
「もしかしたら、侵入者の足跡かも」
「ヘレナさんはフローゼ様のところへ行ってくれ!」
「レディウス樣どうされるのです!?」
「俺は侵入者を追う!」
俺はヘレナさんにそれだけ言って王宮に入る。この足跡を追って王宮の中を進む。王宮の中が少し騒がしくなって来た。侵入者の事が広まって来たのだろう。これで侵入者は動きづらくなる。
「って、あれ? 登る方じゃなくて、降りる方?」
俺はつい立ち止まってしまった。てっきり王族とかを狙っているから、上の階に上がっているのかと思ったが、足跡は地下へと進んでいた。地下は確か……アルフレッドが監禁され、って、そう言うことかよ!
まさかの予想外だった。俺の予想が正しければ、アルフレッドの命が危ない!
俺は勢い良く階段を下って行く。ちっ、地下にいた兵士たちも殺されている。
「……っ! この音は!」
どこからの部屋から、ぶつかり合う音がする。俺はその音の方へと走って行く。足跡もそこまで続いていた。
「この部屋か!」
俺は音のする部屋の扉を蹴り飛ばす。扉は音を立てて飛んで行く。黒剣を抜いて中へ入るとそこには
「レディウス、なぜ君がここに?」
血塗れのアルフレッドの姿があった。体中傷だらけだが、特に左肩が酷い。ナイフが刺さったままになっているからだ。
そして、アルフレッドの目の前には5人の黒ずくめの奴らがいる。手にはそれぞれ武器を持っている。ナイフや鎌など様々だ。
「……外が騒がしくなって来たな」
黒ずくめの1人がそう言うと、突然俺に飛びかかって来た。手には鎌を持っている奴だ。他の4人はアルフレッドに向かっている。
鎌の奴は躊躇無く俺の首を狙って来やがった。俺は顔を逸らして避ける。目の前に通り過ぎる鎌。俺はバク転しながら鎌を蹴り上げる。そして、黒剣で横薙ぎを放つ。
鎌の奴は跳ぶ事で俺の剣を避けたが、着地する前に腹を魔闘脚をした足で思いっきり蹴り飛ばす。オークキングはあまり効かなかったが、人間はそうはいかないだろう。
俺の足が触れると、鎌の奴の骨がベキベキと折れるのがわかる。そして、壁へと吹き飛んだ。
「……ここまでだな。退却するぞ」
侵入者はもう成功しないと思ったのだろう。そう言って、この部屋の唯一の扉がある俺の方を向く。まあ当然か。さっきの音でどこで起きているのか、わかっただろうし。
俺は、扉を抜けられないように前に立つ。これでここは俺を倒さない限り通れない。さぁ、どうする? そう思って剣を構えていたら、侵入者たちは突然姿を消したでは無いか。
一体どうやって? そう考えると、ふと思い出した。偶然だが、見つけた魔力の足跡を。って事は
「魔闘眼」
右目に魔力を集めて魔闘眼を発動する。すると、先ほどまで姿が見えなかった侵入者たちの姿が、まるで昼間のようにはっきりと見えたでは無いか。
体に魔力を張り巡らせているせいかはっきりと見える。って事は闇魔法の認識阻害の魔法でも使っているのだろう。
俺の側面から短剣で切りかかってくる1人の侵入者。俺が気が付いていないと思い、ためらう事なく突っ込んで来た。
俺はギリギリまで気がつかない振りをして……一気に侵入者の方を見る。侵入者もこんなはっきりと見られるとは思っていなかったのだろう。立ち止まってしまった。だけどその隙が命取りだぜ。
俺はその立ち止まった侵入者に迫り喉元めがけて黒剣を突き放つ。なんとか避けようとした侵入者だったが、首の半分ぐらいまで刺さり、そのまま倒れてしまった、
残る3人もまさかこの状態で殺されるとは思っていなかったのか、止まる事は無いが動きが鈍った。だけど、もう終わりだ。何故なら
「ここかっ!」
トルネス兵が部屋にやって来たからだ。俺はトルネス兵に気を取られた侵入者を捕まえ地面に叩きつける。そして気を失う程度に腹を蹴る。
トルネス兵からしたら1人で何をしているだ、と言う感じだろうが、気を失い魔法が解けた侵入者を見て驚きの表情を浮かべる。
「し、侵入者は魔法で姿を消しているぞ!」
トルネス兵も扉から抜けられないように立つ。その間に俺は4人目に迫る。侵入者は何度も俺の剣を受けるが、俺は短剣を弾き飛ばし足を切る。侵入者は痛みに膝をつき、そこで顔面を殴る。
最後の奴はもう逃げれないと悟ったのだろう。アルフレッドに向かっていく。アルフレッドはまだ気が付いていない。俺は魔闘脚・極を発動する。足に限界まで魔力を纏わせ、一気に迫る。
アルフレッドに切りかかろうとする侵入者の腕を切り落とし、襟元を掴み地面に叩きつける。侵入者はまだ気を失っておらず、暴れるがさっきみたいに蹴り上げる……ふぅ、これで全員か。
「アルフレッド、大丈夫か?」
「あ、ああ、悪かったね。まだ体が上手く動かさなくて」
見た限り重たい怪我は無さそうだ。肩に刺さったナイフぐらいだろう。その時にコロンと何かが転がる音がした。俺がその音の方を見ると、最後に気絶させた侵入者の残った手から何か玉のようなものが転がっていた。
その玉は真っ黒な玉だったが、俺の魔闘眼には次第に膨れ上がっていく魔力を見る事が出来た。そして、玉の表面にはヒビが入り……俺は気が付けばアルフレッドをベッドの後ろの方に放り投げていた。
多分自分でも気が付かない内に大声も出していたのだろう。兵士たちも俺を見ていたから。そして次の瞬間。
ドドドーンッ!
その玉は爆発を起こした。
俺が兵士の死体を調べていると、戻ってこない俺を心配して、ヘレナさんも植込みの方へやって来てしまった。しまった、来ないように言うべきだった。
ヘレナさんは余りの驚きにその場に座り込んでしまう。ヘレナさんは死体を見たまま固まってしまった。俺はヘレナさんと死体の間に入って、ヘレナさんが見ないようにしながら、側に寄る。体が震えているな。顔も真っ青だ。
「ヘレナさん、俺の顔を見て」
俺はヘレナさんの両頬を掴んで視線を動かして俺を見るようにする。怖さで震えるヘレナさんは涙を流しているが、俺が何度か声をかければ俺の目を見てくれるようになった。
「落ち着けるように深呼吸して……そう、そんな感じで」
「……ご、ごめんなさい。取り乱してしまって」
「いや、仕方ないよ。死体なんて普段は見ないからな。それよりも、この王宮に誰かが忍び込んでいるようだ。目的はわからないけど」
「っ! そ、そうですね! 急いて伝えないと!」
ヘレナさんも落ち着いたのか立ち上がる。しかし、侵入者の狙いは王宮と離宮どっちだ? 離宮に俺たちのような外部の人間がいるし、王宮に当然ながら王族がいる。どちらが狙いか。
「取り敢えず王宮にいる騎士のところへ行こう。少し急ぐから……ゴメン!」
「えっ……へっ? ……きゃあっ!」
俺は走るためにヘレナさんをお姫様抱っこする。そして、魔闘脚をして王宮まで走る。何気に遠いなここ。ヘレナさんは俺の首に腕を回して胸元に顔を押し付けている。
おっ、見回りの兵士を見つけた。兵士2人も俺を見て武器に手をかけるが、俺とヘレナさんとわかってホッとした顔をする。残念だけど、ホッとは出来ないんだよな。
「夜遅くにすみません。だけど、緊急事態なんです。向こうで兵士が死んでいて」
「なにっ! ということは……」
「王宮内に侵入者がいます」
俺がそう言うと、2人は王宮に向かって走って行ってしまった。俺はヘレナさんを下ろして、纏を発動する。何があっても対処が出来るように。
「……ん? なんだあれ?」
それは偶然見つけてしまった。既に消えかかって入るけど、先ほどの兵士が亡くなっていた植込みの道から王宮まで続く足跡。しかもただの足跡じゃない。魔力で出来た足跡だ。
多分時間が経てば、この魔力で出来た足跡も消えてしまうのだろう。と言うことは、この足跡はさっき出来たばかりって事だ。先ほどの王宮に戻った兵士たちの足跡は無い。普段足に魔法をかけるわけが無いか。って事は
「もしかしたら、侵入者の足跡かも」
「ヘレナさんはフローゼ様のところへ行ってくれ!」
「レディウス樣どうされるのです!?」
「俺は侵入者を追う!」
俺はヘレナさんにそれだけ言って王宮に入る。この足跡を追って王宮の中を進む。王宮の中が少し騒がしくなって来た。侵入者の事が広まって来たのだろう。これで侵入者は動きづらくなる。
「って、あれ? 登る方じゃなくて、降りる方?」
俺はつい立ち止まってしまった。てっきり王族とかを狙っているから、上の階に上がっているのかと思ったが、足跡は地下へと進んでいた。地下は確か……アルフレッドが監禁され、って、そう言うことかよ!
まさかの予想外だった。俺の予想が正しければ、アルフレッドの命が危ない!
俺は勢い良く階段を下って行く。ちっ、地下にいた兵士たちも殺されている。
「……っ! この音は!」
どこからの部屋から、ぶつかり合う音がする。俺はその音の方へと走って行く。足跡もそこまで続いていた。
「この部屋か!」
俺は音のする部屋の扉を蹴り飛ばす。扉は音を立てて飛んで行く。黒剣を抜いて中へ入るとそこには
「レディウス、なぜ君がここに?」
血塗れのアルフレッドの姿があった。体中傷だらけだが、特に左肩が酷い。ナイフが刺さったままになっているからだ。
そして、アルフレッドの目の前には5人の黒ずくめの奴らがいる。手にはそれぞれ武器を持っている。ナイフや鎌など様々だ。
「……外が騒がしくなって来たな」
黒ずくめの1人がそう言うと、突然俺に飛びかかって来た。手には鎌を持っている奴だ。他の4人はアルフレッドに向かっている。
鎌の奴は躊躇無く俺の首を狙って来やがった。俺は顔を逸らして避ける。目の前に通り過ぎる鎌。俺はバク転しながら鎌を蹴り上げる。そして、黒剣で横薙ぎを放つ。
鎌の奴は跳ぶ事で俺の剣を避けたが、着地する前に腹を魔闘脚をした足で思いっきり蹴り飛ばす。オークキングはあまり効かなかったが、人間はそうはいかないだろう。
俺の足が触れると、鎌の奴の骨がベキベキと折れるのがわかる。そして、壁へと吹き飛んだ。
「……ここまでだな。退却するぞ」
侵入者はもう成功しないと思ったのだろう。そう言って、この部屋の唯一の扉がある俺の方を向く。まあ当然か。さっきの音でどこで起きているのか、わかっただろうし。
俺は、扉を抜けられないように前に立つ。これでここは俺を倒さない限り通れない。さぁ、どうする? そう思って剣を構えていたら、侵入者たちは突然姿を消したでは無いか。
一体どうやって? そう考えると、ふと思い出した。偶然だが、見つけた魔力の足跡を。って事は
「魔闘眼」
右目に魔力を集めて魔闘眼を発動する。すると、先ほどまで姿が見えなかった侵入者たちの姿が、まるで昼間のようにはっきりと見えたでは無いか。
体に魔力を張り巡らせているせいかはっきりと見える。って事は闇魔法の認識阻害の魔法でも使っているのだろう。
俺の側面から短剣で切りかかってくる1人の侵入者。俺が気が付いていないと思い、ためらう事なく突っ込んで来た。
俺はギリギリまで気がつかない振りをして……一気に侵入者の方を見る。侵入者もこんなはっきりと見られるとは思っていなかったのだろう。立ち止まってしまった。だけどその隙が命取りだぜ。
俺はその立ち止まった侵入者に迫り喉元めがけて黒剣を突き放つ。なんとか避けようとした侵入者だったが、首の半分ぐらいまで刺さり、そのまま倒れてしまった、
残る3人もまさかこの状態で殺されるとは思っていなかったのか、止まる事は無いが動きが鈍った。だけど、もう終わりだ。何故なら
「ここかっ!」
トルネス兵が部屋にやって来たからだ。俺はトルネス兵に気を取られた侵入者を捕まえ地面に叩きつける。そして気を失う程度に腹を蹴る。
トルネス兵からしたら1人で何をしているだ、と言う感じだろうが、気を失い魔法が解けた侵入者を見て驚きの表情を浮かべる。
「し、侵入者は魔法で姿を消しているぞ!」
トルネス兵も扉から抜けられないように立つ。その間に俺は4人目に迫る。侵入者は何度も俺の剣を受けるが、俺は短剣を弾き飛ばし足を切る。侵入者は痛みに膝をつき、そこで顔面を殴る。
最後の奴はもう逃げれないと悟ったのだろう。アルフレッドに向かっていく。アルフレッドはまだ気が付いていない。俺は魔闘脚・極を発動する。足に限界まで魔力を纏わせ、一気に迫る。
アルフレッドに切りかかろうとする侵入者の腕を切り落とし、襟元を掴み地面に叩きつける。侵入者はまだ気を失っておらず、暴れるがさっきみたいに蹴り上げる……ふぅ、これで全員か。
「アルフレッド、大丈夫か?」
「あ、ああ、悪かったね。まだ体が上手く動かさなくて」
見た限り重たい怪我は無さそうだ。肩に刺さったナイフぐらいだろう。その時にコロンと何かが転がる音がした。俺がその音の方を見ると、最後に気絶させた侵入者の残った手から何か玉のようなものが転がっていた。
その玉は真っ黒な玉だったが、俺の魔闘眼には次第に膨れ上がっていく魔力を見る事が出来た。そして、玉の表面にはヒビが入り……俺は気が付けばアルフレッドをベッドの後ろの方に放り投げていた。
多分自分でも気が付かない内に大声も出していたのだろう。兵士たちも俺を見ていたから。そして次の瞬間。
ドドドーンッ!
その玉は爆発を起こした。
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