黒髪の王〜魔法の使えない魔剣士の成り上がり〜
105話 物凄く早い再会
「全く、本を読むのに集中し過ぎて時間を忘れるとか。俺が呼びに行って気がつかなきゃ、遅れてたぜ? レディウス」
「はは、悪かったよガウェイン。それなら、呼びに来てくれてありがとな」
俺は、迎えに来てくれたガウェインに礼を言う。しかし、あぶなかったな。図書室に篭って、そのまま本に集中し過ぎて時間を忘れるなんて。ガウェインが呼びに来てくれなければ、確実に遅刻していた。
「まっ、1日目の歓迎パーティーは制服で構わないから時間もかからずに済んだってのもあるよな。もし最終日にさっきの感じだったら、遅刻は確定だったな」
「たしか、最終日はダンスパーティーだっけ? みんな礼装して」
「ああ、そこでは参加者だけでなく、トルネス王国の貴族たちも参加するらしい。当然、子息令嬢も」
ふぅ〜ん。まあ、誰ともダンスなんて踊らないと思うから気にする事も無いか。ガウェインは令嬢とダンスが出来るって喜んでいるが。
そんな風に侍女に案内されながら俺とガウェインが、会場へ向かっていると
「レディウス、ガウェイン。ようやく来たか!」
会場の入り口の前でティリシアたちが待っていた。腕を組んで仁王立ちするティリシア。頬を膨らませて可愛らしく怒るクララ。その隣で苦笑いしているヴィクトリア。どうやら、チーム全員が揃わないと時間まで中に入らないらしい。それは申し訳ない事をした。
「悪りぃ、悪りぃ。って言っても全部レディウスのせいなんだけどな?」
ガウェインは躊躇いもなく全て俺のせいにして来た。いや、間違ってはいないのだが、もう少し弁護してくれても良いんじゃないのか?
「ダメだよ〜。こう言うパーティーでは開始より早く来なくちゃ〜」
「はは、悪かったクララ。少し本を読むのに集中し過ぎちゃってさ」
俺はたはは、と頭を掻く。ティリシアは全く、といった感じでクララと受付に向かう。ガウェインはその後ろをついて行く。
「なんの本を読んでいたのですか?」
すると、ヴィクトリアがそんな事を聞いて来た。まあ、別に隠す事じゃ無いから良いけど。
「まあ、基本的な領地経営についての本だな。俺は戻ったら男爵領を見ないといけないからな。その知識が圧倒的に少ないから、学べる時に学びたいと思って読んでいたんだ」
「へぇ〜、そうなのですか。そ、それなら、もしよろしければ、わ、私と……」
「ヴィクトリア!」
ヴィクトリアが、顔を俯かせながら何かを言おうとしたその時に、ヴィクトリアを呼ぶ声が聞こえる。ヴィクトリアは話の途中に割り込まれて、少し不機嫌な顔をするが、声の主の方を見ると、ぱぁぁ! と、顔を輝かせる。
その視線の先には、金髪のセミロングで少しつり目な女性が現れた。スタイルは物凄くスレンダーだ。ある部分もすとーんとしている。ヴィクトリアとは真反対だった。
そして、後ろには多くの侍女を侍らせており、両手には小さな子どもを連れている。しかも、左手に握られている子どもは見覚えがある。向こうも俺を見て口を開けて驚いていた。
「フローゼお姉様! お久しぶりです!」
「ええ、久し振りね、ヴィクトリア。最後に会ったのは私の結婚式の時だからもう7年にもなるのね!」
ヴィクトリアと金髪の女性ーーフローゼ様は人目を気にせずに抱き合う。フローゼ様、という事はこの人がトルネス王国の第1王子と結婚した、フローゼ・アルバスト様か。今はフローゼ・トルネス王太子妃様だけど。
それじゃあ、そのフローゼ様と手を繋いでいた子どもは、当然赤の他人というわけではなくて
「おかあさま〜、その綺麗な方は、誰ですか?」
右手に繋がれていた少年がヴィクトリアの方を見ながら尋ねる。
「ん? この人はね、私の大切な家族よ」
息子の質問に恥ずかしげなくそんな事を言うフローゼ様。当然ヴィクトリアは顔を赤く染める。
「ヴィクトリア、積もる話は沢山あるけど、まずは中へ入りましょうか」
「わかりました、フローゼお姉様。レディウス、行きましょう」
ヴィクトリアが俺を呼ぶので当然フローゼ様も俺を見る。それと同時にフローゼ様の左手に繋がれていた少女が、手を離して俺の下まで走って来た。そして、俺の右足に、ぼふっ、と抱き付いて俺を見上げて来る。
当然、この少女の行動に驚くのはフローゼ様。兄と思われる少年も後ろに付いている侍女たちも驚きの表情を隠せない。
「……もしかして、ベアトリーチェが探していた男ってあなたかしら?」
「探していたか、どうかはわかりませんが、お嬢様とは庭で出会いました」
俺の言葉にフローゼ様はやっぱり、と呟いて、俺を下から上までじっくりと見る。髪の毛のところで少し視線がキツくなったけど、再び視線は俺の顔へと来て
「まあ、色々と聞きたい事はあるけど、先ほども言った通り中へ入りましょう。あなたたちのメンバーも待っているようだしね。ほら、ベアトリーチェ、行きましょ」
「やっ」
「やっ、じゃないでしょ。後でいくらでも会わせて上げるから」
「むむぅ……ん……」
フローゼ様の説得にベアトリーチェ様は渋々ながらも俺から離れてフローゼ様の左手に戻る。時折チラチラと振り返り俺を見て来るが、そのまま会場へと入って行った。
「……レディウス、あなた、まだ小さいベアトリーチェ様に何をしたのですか?」
その後ろ姿を見ていたら、ヴィクトリアがジト目でそんな事を聞いて来る。いやいや何もしてないから! ただ、庭で出会っただけだから!
俺はそう言うが、ヴィクトリアは「ふ〜ん」と、今まで見た事ないようなジト目で俺を見て来る。
それからパーティー中も目が合うとじとーと見てくるヴィクトリア、じーーーっと俺見てくるベアトリーチェ様、俺の髪を見てくる貴族たち、それを見て笑ってくるガウェインをしばいてパーティーは終えた。
心身ともに物凄く疲れた……。
「はは、悪かったよガウェイン。それなら、呼びに来てくれてありがとな」
俺は、迎えに来てくれたガウェインに礼を言う。しかし、あぶなかったな。図書室に篭って、そのまま本に集中し過ぎて時間を忘れるなんて。ガウェインが呼びに来てくれなければ、確実に遅刻していた。
「まっ、1日目の歓迎パーティーは制服で構わないから時間もかからずに済んだってのもあるよな。もし最終日にさっきの感じだったら、遅刻は確定だったな」
「たしか、最終日はダンスパーティーだっけ? みんな礼装して」
「ああ、そこでは参加者だけでなく、トルネス王国の貴族たちも参加するらしい。当然、子息令嬢も」
ふぅ〜ん。まあ、誰ともダンスなんて踊らないと思うから気にする事も無いか。ガウェインは令嬢とダンスが出来るって喜んでいるが。
そんな風に侍女に案内されながら俺とガウェインが、会場へ向かっていると
「レディウス、ガウェイン。ようやく来たか!」
会場の入り口の前でティリシアたちが待っていた。腕を組んで仁王立ちするティリシア。頬を膨らませて可愛らしく怒るクララ。その隣で苦笑いしているヴィクトリア。どうやら、チーム全員が揃わないと時間まで中に入らないらしい。それは申し訳ない事をした。
「悪りぃ、悪りぃ。って言っても全部レディウスのせいなんだけどな?」
ガウェインは躊躇いもなく全て俺のせいにして来た。いや、間違ってはいないのだが、もう少し弁護してくれても良いんじゃないのか?
「ダメだよ〜。こう言うパーティーでは開始より早く来なくちゃ〜」
「はは、悪かったクララ。少し本を読むのに集中し過ぎちゃってさ」
俺はたはは、と頭を掻く。ティリシアは全く、といった感じでクララと受付に向かう。ガウェインはその後ろをついて行く。
「なんの本を読んでいたのですか?」
すると、ヴィクトリアがそんな事を聞いて来た。まあ、別に隠す事じゃ無いから良いけど。
「まあ、基本的な領地経営についての本だな。俺は戻ったら男爵領を見ないといけないからな。その知識が圧倒的に少ないから、学べる時に学びたいと思って読んでいたんだ」
「へぇ〜、そうなのですか。そ、それなら、もしよろしければ、わ、私と……」
「ヴィクトリア!」
ヴィクトリアが、顔を俯かせながら何かを言おうとしたその時に、ヴィクトリアを呼ぶ声が聞こえる。ヴィクトリアは話の途中に割り込まれて、少し不機嫌な顔をするが、声の主の方を見ると、ぱぁぁ! と、顔を輝かせる。
その視線の先には、金髪のセミロングで少しつり目な女性が現れた。スタイルは物凄くスレンダーだ。ある部分もすとーんとしている。ヴィクトリアとは真反対だった。
そして、後ろには多くの侍女を侍らせており、両手には小さな子どもを連れている。しかも、左手に握られている子どもは見覚えがある。向こうも俺を見て口を開けて驚いていた。
「フローゼお姉様! お久しぶりです!」
「ええ、久し振りね、ヴィクトリア。最後に会ったのは私の結婚式の時だからもう7年にもなるのね!」
ヴィクトリアと金髪の女性ーーフローゼ様は人目を気にせずに抱き合う。フローゼ様、という事はこの人がトルネス王国の第1王子と結婚した、フローゼ・アルバスト様か。今はフローゼ・トルネス王太子妃様だけど。
それじゃあ、そのフローゼ様と手を繋いでいた子どもは、当然赤の他人というわけではなくて
「おかあさま〜、その綺麗な方は、誰ですか?」
右手に繋がれていた少年がヴィクトリアの方を見ながら尋ねる。
「ん? この人はね、私の大切な家族よ」
息子の質問に恥ずかしげなくそんな事を言うフローゼ様。当然ヴィクトリアは顔を赤く染める。
「ヴィクトリア、積もる話は沢山あるけど、まずは中へ入りましょうか」
「わかりました、フローゼお姉様。レディウス、行きましょう」
ヴィクトリアが俺を呼ぶので当然フローゼ様も俺を見る。それと同時にフローゼ様の左手に繋がれていた少女が、手を離して俺の下まで走って来た。そして、俺の右足に、ぼふっ、と抱き付いて俺を見上げて来る。
当然、この少女の行動に驚くのはフローゼ様。兄と思われる少年も後ろに付いている侍女たちも驚きの表情を隠せない。
「……もしかして、ベアトリーチェが探していた男ってあなたかしら?」
「探していたか、どうかはわかりませんが、お嬢様とは庭で出会いました」
俺の言葉にフローゼ様はやっぱり、と呟いて、俺を下から上までじっくりと見る。髪の毛のところで少し視線がキツくなったけど、再び視線は俺の顔へと来て
「まあ、色々と聞きたい事はあるけど、先ほども言った通り中へ入りましょう。あなたたちのメンバーも待っているようだしね。ほら、ベアトリーチェ、行きましょ」
「やっ」
「やっ、じゃないでしょ。後でいくらでも会わせて上げるから」
「むむぅ……ん……」
フローゼ様の説得にベアトリーチェ様は渋々ながらも俺から離れてフローゼ様の左手に戻る。時折チラチラと振り返り俺を見て来るが、そのまま会場へと入って行った。
「……レディウス、あなた、まだ小さいベアトリーチェ様に何をしたのですか?」
その後ろ姿を見ていたら、ヴィクトリアがジト目でそんな事を聞いて来る。いやいや何もしてないから! ただ、庭で出会っただけだから!
俺はそう言うが、ヴィクトリアは「ふ〜ん」と、今まで見た事ないようなジト目で俺を見て来る。
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