黒髪の王〜魔法の使えない魔剣士の成り上がり〜
73話 対抗戦(3)
「ぐぬぬぅ! やはりティリシアに勝つだけはあるな!」
俺が振り下ろした剣を受け止めてそんな事を言う男。どうやら俺がティリシアに勝った事を知っている様だ。まあ、ティリシアも学年で3位の実力だから知らない方がおかしいのか。
男は俺の剣を弾き、直ぐに振り下ろしてくる。俺は右手の剣で男の剣を逸らして、左手の剣で突きを放つ。男は転がる様に避けるが、男の右肩に掠る。俺はそのまま両手の剣を振り上げ魔闘装をする。そして男目掛けて一気に振り下ろす。
「烈炎流、大火山二連!」
男は剣で受け止めたが、大火山をぶつけた瞬間、男の剣がへし折れた。そのまま振り下ろせば男の両腕を切り落としてしまうので、剣にぶつかった瞬間止めたが、男は斬撃の余波で吹き飛んでしまった。
男の剣を持っていた右腕は本来なら向かない方に向いており、斬撃の余波で傷だらけになっている。当然胸元に付けていたバッチも壊れた。少しやり過ぎた感はあるが、治してもらえるから許して欲しい。勝負だしな。
さて、これで2チーム倒した。あと1チームと思い、振り向くと、もう1チームいた場所は氷の壁に覆われていた。
ヴィクトリアとクララはもう立って観客と化していた。氷の壁の上に人が立っている。あれは……ティリシアとガウェインか。
あいつら中々エグい事をするな。氷の壁で相手チームを覆って逃げられない様にして、上から魔法で狙い撃ちとは。
時折氷の壁が揺れているのは、相手チームが魔法を放っているからだろう。だが、ティリシアはかなりの魔力を流している様で全く壊れる気配がしない。
そう思っていたら、氷の壁の上に巨大な風の塊が出来る。あれを作ったのはガウェインの様だ。ガウェインは空に向けて手を掲げ、氷の壁の中に向かって何かを言っている。そして
『オーノチーム降参のため、対抗戦終了! Dグループ勝者チーム、ヴィクトリアチーム!!!』
「「「うおぉぉぉぉぉお!!!!」」」
ふう、危なげなく勝てて良かった。俺は両手の剣を鞘に戻す。3チーム相手でもヴィクトリアとクララを温存した状態で勝てたしな。
「お疲れ様でした、レディウス」
「ああ、ヴィクトリアもお疲れさん」
「いやー、レディウス1人で2チームも倒すなんてやるねー」
俺がヴィクトリアたちの下に戻ると、2人がそう声をかけてくる。ヴィクトリアはふんわりも微笑み俺を労ってくれて、クララこのこの〜と脇腹を突いてくる。脇腹を突くのやめい!
「ふふ、本当にレディウスの実力には驚かされる」
「全くだぜ。俺らの出番なかったじゃねえか」
魔法を解除して降りてきたティリシアとガウェインが苦笑いしながら戻って来た。まあ、勝たなきゃと思って力が入ったのは認める。
「それでは行きましょうか。直ぐにEグループが始まります。絶対に勝たなければならないチームなのでよく見ておきましょう」
ヴィクトリアの言葉に俺たちは頷く。次の試合はランバルクたちが出てくる。俺はどれほどの実力かは知らないのでよく見ておかなければ。
◇◇◇
『それではEグループの対抗戦を始めます! 今までは紹介をしていませんでしたが、今回はさせていただきます! 何故なら、このグループには毎年優勝のあのチームがいるからだぁぁぁ!!!』
「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉおおおお!!!!」」」」
今俺たちは観客の選手席から訓練場を見ているのだが、ものすごい熱気だ。周りの観客の歓声で会場が揺れるほど。
『それでは入って来ていただきましょう! 4年連続優勝なるか!? 全戦不敗のチーム、ランバルクチーーーーム!!!!!!』
司会の言葉と同時に4つある入口の一つから煙が噴き出す。そして現れたのは、ランバルク・リストニックを先頭にしたチームだ。
直ぐ後ろには双子の弟のランベルトが続き、その次金髪でキツネ目の男が槍を首の後ろに置く様に持っている。それに続いて両手にガントレットを装備した筋肉質の茶髪の女性に、その女性とは正反対のほっそりとしているけど、どこか神経質そうな金髪の女性が続く。
「あれが、毎年私たちの代の対抗戦を優勝しているチームだ。ランバルクはふざけた奴だが、火、水、風、土、闇の5種類の魔法を全て同時に放つ事が出来る。弟のランベルトは前にも話した様に学年、いや学園で最強だ。
その後ろの細めの男が、フォックス・モスキート。リストニック家の寄子のモスキート伯爵家の次男で見ての通り槍の使い手だ。
あの筋肉質の女は、アリッサ・バイクラム。バイクラム子爵家の次女でさっきと同じ様にリストニック家の寄子で、武闘派の一族だ。一族全員が戦えるという家だ。
最後の神経質そうな女が、フューリ・メリストリー。メリストリー伯爵家の長女で、将来は家を継いだランバルクの秘書につくらしい。火魔法と土魔法を混ぜた熔炎魔法を使う。奴の魔法は鉄をも溶かすほどだ。私の氷魔法では相性が悪い相手だ」
ティリシアは苦々しそう話してくれる。なるほど。奴ら全員が将来のランバルクの部下になるわけだ。彼らはかなりの実力者なのだろう。彼らが出て来ただけで、他のチームは萎縮してしまった。
『それではEグループ対抗戦、始め!』
チームが出揃ったため、司会が開始の合図をする。さてと。ランバルク率いる最強チームか。どれほどの実力なのか楽しみだな。
俺が振り下ろした剣を受け止めてそんな事を言う男。どうやら俺がティリシアに勝った事を知っている様だ。まあ、ティリシアも学年で3位の実力だから知らない方がおかしいのか。
男は俺の剣を弾き、直ぐに振り下ろしてくる。俺は右手の剣で男の剣を逸らして、左手の剣で突きを放つ。男は転がる様に避けるが、男の右肩に掠る。俺はそのまま両手の剣を振り上げ魔闘装をする。そして男目掛けて一気に振り下ろす。
「烈炎流、大火山二連!」
男は剣で受け止めたが、大火山をぶつけた瞬間、男の剣がへし折れた。そのまま振り下ろせば男の両腕を切り落としてしまうので、剣にぶつかった瞬間止めたが、男は斬撃の余波で吹き飛んでしまった。
男の剣を持っていた右腕は本来なら向かない方に向いており、斬撃の余波で傷だらけになっている。当然胸元に付けていたバッチも壊れた。少しやり過ぎた感はあるが、治してもらえるから許して欲しい。勝負だしな。
さて、これで2チーム倒した。あと1チームと思い、振り向くと、もう1チームいた場所は氷の壁に覆われていた。
ヴィクトリアとクララはもう立って観客と化していた。氷の壁の上に人が立っている。あれは……ティリシアとガウェインか。
あいつら中々エグい事をするな。氷の壁で相手チームを覆って逃げられない様にして、上から魔法で狙い撃ちとは。
時折氷の壁が揺れているのは、相手チームが魔法を放っているからだろう。だが、ティリシアはかなりの魔力を流している様で全く壊れる気配がしない。
そう思っていたら、氷の壁の上に巨大な風の塊が出来る。あれを作ったのはガウェインの様だ。ガウェインは空に向けて手を掲げ、氷の壁の中に向かって何かを言っている。そして
『オーノチーム降参のため、対抗戦終了! Dグループ勝者チーム、ヴィクトリアチーム!!!』
「「「うおぉぉぉぉぉお!!!!」」」
ふう、危なげなく勝てて良かった。俺は両手の剣を鞘に戻す。3チーム相手でもヴィクトリアとクララを温存した状態で勝てたしな。
「お疲れ様でした、レディウス」
「ああ、ヴィクトリアもお疲れさん」
「いやー、レディウス1人で2チームも倒すなんてやるねー」
俺がヴィクトリアたちの下に戻ると、2人がそう声をかけてくる。ヴィクトリアはふんわりも微笑み俺を労ってくれて、クララこのこの〜と脇腹を突いてくる。脇腹を突くのやめい!
「ふふ、本当にレディウスの実力には驚かされる」
「全くだぜ。俺らの出番なかったじゃねえか」
魔法を解除して降りてきたティリシアとガウェインが苦笑いしながら戻って来た。まあ、勝たなきゃと思って力が入ったのは認める。
「それでは行きましょうか。直ぐにEグループが始まります。絶対に勝たなければならないチームなのでよく見ておきましょう」
ヴィクトリアの言葉に俺たちは頷く。次の試合はランバルクたちが出てくる。俺はどれほどの実力かは知らないのでよく見ておかなければ。
◇◇◇
『それではEグループの対抗戦を始めます! 今までは紹介をしていませんでしたが、今回はさせていただきます! 何故なら、このグループには毎年優勝のあのチームがいるからだぁぁぁ!!!』
「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉおおおお!!!!」」」」
今俺たちは観客の選手席から訓練場を見ているのだが、ものすごい熱気だ。周りの観客の歓声で会場が揺れるほど。
『それでは入って来ていただきましょう! 4年連続優勝なるか!? 全戦不敗のチーム、ランバルクチーーーーム!!!!!!』
司会の言葉と同時に4つある入口の一つから煙が噴き出す。そして現れたのは、ランバルク・リストニックを先頭にしたチームだ。
直ぐ後ろには双子の弟のランベルトが続き、その次金髪でキツネ目の男が槍を首の後ろに置く様に持っている。それに続いて両手にガントレットを装備した筋肉質の茶髪の女性に、その女性とは正反対のほっそりとしているけど、どこか神経質そうな金髪の女性が続く。
「あれが、毎年私たちの代の対抗戦を優勝しているチームだ。ランバルクはふざけた奴だが、火、水、風、土、闇の5種類の魔法を全て同時に放つ事が出来る。弟のランベルトは前にも話した様に学年、いや学園で最強だ。
その後ろの細めの男が、フォックス・モスキート。リストニック家の寄子のモスキート伯爵家の次男で見ての通り槍の使い手だ。
あの筋肉質の女は、アリッサ・バイクラム。バイクラム子爵家の次女でさっきと同じ様にリストニック家の寄子で、武闘派の一族だ。一族全員が戦えるという家だ。
最後の神経質そうな女が、フューリ・メリストリー。メリストリー伯爵家の長女で、将来は家を継いだランバルクの秘書につくらしい。火魔法と土魔法を混ぜた熔炎魔法を使う。奴の魔法は鉄をも溶かすほどだ。私の氷魔法では相性が悪い相手だ」
ティリシアは苦々しそう話してくれる。なるほど。奴ら全員が将来のランバルクの部下になるわけだ。彼らはかなりの実力者なのだろう。彼らが出て来ただけで、他のチームは萎縮してしまった。
『それではEグループ対抗戦、始め!』
チームが出揃ったため、司会が開始の合図をする。さてと。ランバルク率いる最強チームか。どれほどの実力なのか楽しみだな。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
59
-
-
37
-
-
6
-
-
4405
-
-
2
-
-
4
-
-
0
-
-
2813
-
-
1359
コメント