黒髪の王〜魔法の使えない魔剣士の成り上がり〜
22話 二度目の旅立ち
チュンチュン、チュンチュン
「……うぅん。もう朝か」
俺の部屋には窓はない。だから鳥の囀りだけで目を覚まさなければならないのだが、この部屋で過ごすのも3年になる。体が覚えているようで慣れてしまった。
俺は起きようと目を開けると、目の前には天使のような寝顔を浮かべているヘレネーさんの顔があった。……可愛い。俺、こんな可愛い人と、その、シたんだよな。
そう思うとにやけてしまう。グ、グフフ。そんな風に笑っていたのが不味かったのか、物凄く痛いものを見るような視線を感じる。
俺はその視線の方に、顔を向けると
 
「……何、変な笑い方してるのよ」
とヘレネーさんがじとっとした目で俺を見ていた。……さっきのを見られていたのか。良し、ここは誤魔化そう。俺は、ヘレネーさんに近づき
「おはようございます、ヘレネーさん」
朝の挨拶をしながら、おでこ、鼻の頭、唇の順にチュッと触れるだけのキスをしていく。これだけでヘレネーさんの顔は真っ赤になる。めちゃくちゃ可愛い。
「も、もう、もう、もう! あ、朝からそんなことするなんて!」
そして、怒りながら俺の胸元をぽこぽこと叩いてくる。もちろん昨日シたままなので、俺もヘレネーさんも裸だ。
俺はそんなヘレネーさんを止めるためにぎゅっと抱き締める。ヘレネーさんも、初めはビクッとしたけど、落ち着いたら腰に手を回してくれた。ああ、柔らかい胸が……。ヘレネーさんの胸の感触を楽しんでいると
「……何朝から勃ててるのよ」
と再びジト目で見られた。こ、これは朝の生理現象なんですよ……。許して下さい。あっ、そういえば
「ヘレネーさん。体は大丈夫ですか? 昨日、その、我慢出来なくて激しくしちゃったんで」
昨日、余りにもヘレネーさんが綺麗で、気持ち良かったため何回もしてしまった。初めてだったヘレネーさんには申し訳ない事をしてしまった。その事をヘレネーさんに確認すると、クスッと笑われた。何故?
「ほんとよね〜。こっちは初めてだって言うのに、何回もして。まだ体に刺さっている感じがするわ」
そう言って再びクスクスと笑うヘレネーさん。ほ、本当に申し訳ない。
「でも」
「でも?」
ヘレネーさんは顔を俺の耳元まで寄せ、そして
「私であんなに興奮してくれて、嬉しかったわよ」
と言いながら、耳にチュッとキスをしてくれた。もう我慢が出来ない!
「ヘレネーさんっ!!!」
「きゃっあ! レディウス! ちょっと!?」
俺は、朝からヘレネーさんを襲ってしまった。
◇◇◇
俺たちがリビングに行ったのは、昼前になってからだ。俺たちがお風呂に入り、リビングに向かうと、ニヤニヤしながらテーブルについているミストレアさんがいた。ロポは床でゴロゴロしている。
「お、おはようございます、ミストレアさん」
「お、おはよ、お婆様」
「ああ、おはようさん、レディウス、ヘレネー。朝からお盛んな事で。そんなに良かったかい?」
「はい、良かったです!」
「ちょっと!? レディウス!!」
おっと、正直に感想を言ってしまった。その事にミストレアさんは爆笑で、ヘレネーさんは顔を真っ赤にしている。
「くくく。正直な事はいい事だよ。それでヘレネーはどうするんだい? 一緒に行くのかい?」
そうだ。一応俺とヘレネーさんは恋人同士と言う事になったのだが、ヘレネーさんはどうするのだろうか?
「私はここに残るわ」
「……」
「それはなんでだい?」
ミストレアさんが尋ねると、ヘレネーさんは俺の方をチラッと見て、答える。
「私、今のままじゃあレディウスを助ける事が出来ないと思うの。だからここで烈炎流を王級まで目指す。王級を修得したら、レディウスを追いかけるわ」
王級か。かなり難しいとミストレアさんが言っていたな。でもヘレネーさんなら。
「良いのかい? 王級まで修得しようと思ったら数年は覚悟するんだね」
「はい。覚悟は出来ています。レディウス、本当は付いていくべきなんだろうけど、ごめん。私の我儘で」
「いや。俺はヘレネーさんの意思を尊重するよ。ヘレネーさんは必ず来てくれるって信じているから」
「レディウス……」
「ヘレネーさん……」
俺とヘレネーさんが見つめ合っていると、横からパンパンと手を叩く音がする。
「全くあんたたちは。見境なく盛るんじゃ無いよ。ほらさっさと飯を食いな」
は、恥ずかしい。俺もヘレネーさんも顔を赤くして見合うと、どちらともなく笑い出す。それから遅い朝ご飯を食べて、俺は準備をする。
「この部屋ともおさらばか。3年間ありがとうございました!」
俺は借りていた部屋に向かって挨拶をする。色々な思い出がある部屋だけど、一番の思い出は……。今はやめておこう。思い出したら出発出来なくなる。
「それじゃあ、アルバスト王国の国境まで飛ばすよ」
「はい。ミストレアさん、3年間ありがとうございました。ミストレアさんたちが助けて下さらなかったら、俺はもう死んでいました。本当にありがとうございました!」
「何。それらを含めてレディウスの運が良かっただけだよ。ここはもうあんたの家だ。いつでも帰ってくるといい」
そんな事を言われたら涙が出るじゃ無いか。笑顔で立とうと思っていたのに。
「はい。ありがとうございます。ヘレネーさん、俺待っているから」
「うん。私も頑張って早く行けるようにするわ。レディウスも死なないでね」
「もちろん」
そう言って俺はヘレネーさんを抱き締める。ヘレネーさんも抱きしめ返してくれる。2分ほどギュッと抱き締めて、俺もヘレネーさんも名残惜しそうに離れる。そして
「ロポも元気でな」
「グゥ」
俺がロポの頭を撫でてあげると、ロポも嬉しそうに鳴く。なんだかんだ言ってこいつにはお世話になったからな。
「ミストレアさん」
「ああ。それじゃあ行くよ!」
俺がお願いすると、ミストレアさんはゲートを開いてくれる。ここからは俺1人だ。どんな出会いがあるかわからないし、何が起こるかわからない。だけど、楽しみだ。
母上。俺はここからは新しい道を歩みます。見ていて下さい。
俺はそのままミストレアさんのゲートを通り抜けたのだった。
「……うぅん。もう朝か」
俺の部屋には窓はない。だから鳥の囀りだけで目を覚まさなければならないのだが、この部屋で過ごすのも3年になる。体が覚えているようで慣れてしまった。
俺は起きようと目を開けると、目の前には天使のような寝顔を浮かべているヘレネーさんの顔があった。……可愛い。俺、こんな可愛い人と、その、シたんだよな。
そう思うとにやけてしまう。グ、グフフ。そんな風に笑っていたのが不味かったのか、物凄く痛いものを見るような視線を感じる。
俺はその視線の方に、顔を向けると
 
「……何、変な笑い方してるのよ」
とヘレネーさんがじとっとした目で俺を見ていた。……さっきのを見られていたのか。良し、ここは誤魔化そう。俺は、ヘレネーさんに近づき
「おはようございます、ヘレネーさん」
朝の挨拶をしながら、おでこ、鼻の頭、唇の順にチュッと触れるだけのキスをしていく。これだけでヘレネーさんの顔は真っ赤になる。めちゃくちゃ可愛い。
「も、もう、もう、もう! あ、朝からそんなことするなんて!」
そして、怒りながら俺の胸元をぽこぽこと叩いてくる。もちろん昨日シたままなので、俺もヘレネーさんも裸だ。
俺はそんなヘレネーさんを止めるためにぎゅっと抱き締める。ヘレネーさんも、初めはビクッとしたけど、落ち着いたら腰に手を回してくれた。ああ、柔らかい胸が……。ヘレネーさんの胸の感触を楽しんでいると
「……何朝から勃ててるのよ」
と再びジト目で見られた。こ、これは朝の生理現象なんですよ……。許して下さい。あっ、そういえば
「ヘレネーさん。体は大丈夫ですか? 昨日、その、我慢出来なくて激しくしちゃったんで」
昨日、余りにもヘレネーさんが綺麗で、気持ち良かったため何回もしてしまった。初めてだったヘレネーさんには申し訳ない事をしてしまった。その事をヘレネーさんに確認すると、クスッと笑われた。何故?
「ほんとよね〜。こっちは初めてだって言うのに、何回もして。まだ体に刺さっている感じがするわ」
そう言って再びクスクスと笑うヘレネーさん。ほ、本当に申し訳ない。
「でも」
「でも?」
ヘレネーさんは顔を俺の耳元まで寄せ、そして
「私であんなに興奮してくれて、嬉しかったわよ」
と言いながら、耳にチュッとキスをしてくれた。もう我慢が出来ない!
「ヘレネーさんっ!!!」
「きゃっあ! レディウス! ちょっと!?」
俺は、朝からヘレネーさんを襲ってしまった。
◇◇◇
俺たちがリビングに行ったのは、昼前になってからだ。俺たちがお風呂に入り、リビングに向かうと、ニヤニヤしながらテーブルについているミストレアさんがいた。ロポは床でゴロゴロしている。
「お、おはようございます、ミストレアさん」
「お、おはよ、お婆様」
「ああ、おはようさん、レディウス、ヘレネー。朝からお盛んな事で。そんなに良かったかい?」
「はい、良かったです!」
「ちょっと!? レディウス!!」
おっと、正直に感想を言ってしまった。その事にミストレアさんは爆笑で、ヘレネーさんは顔を真っ赤にしている。
「くくく。正直な事はいい事だよ。それでヘレネーはどうするんだい? 一緒に行くのかい?」
そうだ。一応俺とヘレネーさんは恋人同士と言う事になったのだが、ヘレネーさんはどうするのだろうか?
「私はここに残るわ」
「……」
「それはなんでだい?」
ミストレアさんが尋ねると、ヘレネーさんは俺の方をチラッと見て、答える。
「私、今のままじゃあレディウスを助ける事が出来ないと思うの。だからここで烈炎流を王級まで目指す。王級を修得したら、レディウスを追いかけるわ」
王級か。かなり難しいとミストレアさんが言っていたな。でもヘレネーさんなら。
「良いのかい? 王級まで修得しようと思ったら数年は覚悟するんだね」
「はい。覚悟は出来ています。レディウス、本当は付いていくべきなんだろうけど、ごめん。私の我儘で」
「いや。俺はヘレネーさんの意思を尊重するよ。ヘレネーさんは必ず来てくれるって信じているから」
「レディウス……」
「ヘレネーさん……」
俺とヘレネーさんが見つめ合っていると、横からパンパンと手を叩く音がする。
「全くあんたたちは。見境なく盛るんじゃ無いよ。ほらさっさと飯を食いな」
は、恥ずかしい。俺もヘレネーさんも顔を赤くして見合うと、どちらともなく笑い出す。それから遅い朝ご飯を食べて、俺は準備をする。
「この部屋ともおさらばか。3年間ありがとうございました!」
俺は借りていた部屋に向かって挨拶をする。色々な思い出がある部屋だけど、一番の思い出は……。今はやめておこう。思い出したら出発出来なくなる。
「それじゃあ、アルバスト王国の国境まで飛ばすよ」
「はい。ミストレアさん、3年間ありがとうございました。ミストレアさんたちが助けて下さらなかったら、俺はもう死んでいました。本当にありがとうございました!」
「何。それらを含めてレディウスの運が良かっただけだよ。ここはもうあんたの家だ。いつでも帰ってくるといい」
そんな事を言われたら涙が出るじゃ無いか。笑顔で立とうと思っていたのに。
「はい。ありがとうございます。ヘレネーさん、俺待っているから」
「うん。私も頑張って早く行けるようにするわ。レディウスも死なないでね」
「もちろん」
そう言って俺はヘレネーさんを抱き締める。ヘレネーさんも抱きしめ返してくれる。2分ほどギュッと抱き締めて、俺もヘレネーさんも名残惜しそうに離れる。そして
「ロポも元気でな」
「グゥ」
俺がロポの頭を撫でてあげると、ロポも嬉しそうに鳴く。なんだかんだ言ってこいつにはお世話になったからな。
「ミストレアさん」
「ああ。それじゃあ行くよ!」
俺がお願いすると、ミストレアさんはゲートを開いてくれる。ここからは俺1人だ。どんな出会いがあるかわからないし、何が起こるかわからない。だけど、楽しみだ。
母上。俺はここからは新しい道を歩みます。見ていて下さい。
俺はそのままミストレアさんのゲートを通り抜けたのだった。
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