思いつき短編集

かなみん

『死神の歌』


「死神の歌が聞こえるの」

「あらそう、ほらあんたも挨拶してきなさい」
私は話を適当に流されたことを不服に思いつつ手を合わせた。
「ただいま帰ってきたよ。またすぐ帰っちゃうけど」
さて、挨拶は済ませた今度こそちゃんと
聞いてもらわないと
「本当に聞こえたのよ!おじいちゃんが死んだ時もおばあちゃんが死んだ時も!」
「あんたも大変ねぇ、ご飯できるまで向こうで待ってなさい」
「待ってよ!本当なのよ!私以外みんな止まってたけど私には聞こえたの!あれは死神の歌よ!」
「わかったから後でちゃんと聞いてあげるから大人しく待ってなさい」
私は肩を落として居間に戻った
どうしてこんなに大事な話をちゃんと
取り合ってくれないのか理解できない
私は本当のことを言ってるのに
おじいちゃんが死んだ時もおばあちゃんが死んだ時も同じ歌が聞こえたのだ
あの歌を聞いてしまったから二人とも死んでしまったのだ
あの歌の正体が分かれば死神をどうにかできるかもしれないのに!

まだ頭の高さが机の高さを超えていない少女はこのようなことを悶々と考えながら
どうすればちゃんと話を聞いてもらえるのか悩んでいた

「死神の歌…ねぇ。あれも歌に入るのかしら。あの子の身長だと分からないからそう思うのも無理ないのかしら…」
一方年に一度使うことになる
年季の入った台所に立ちながら母親はこんな事を考えていた
「でもあの子頑固な上に自分の信じた事を疑わないからどうやってお経を説明しようかしら…」

2人は、頭を悩ませていた。

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