ぼっちの俺がギャル風美少女に好かれた件について

まさたん

第10話 再会と謝罪


「俺の席がない……」
 
朝、学校へ登校し教室に入ると窓側の1番後ろにあるはずの自分の席がなかった。

「ふふふ、どうしたの?机が無くて困ってるの?」

そう笑いながら話しかけてきたのは雪原。恐らく俺の席を無くしたのもこいつなのだろう。俺はため息を吐いて机を探しに教室を出ようと教室の扉へ向かう。

「おいおい。どこ行くんだよ」
「お前の席なんてないんだよ」

しかし、その行動はクラスメイトの黒髪男子と茶髪男子2人に阻まれる。

「お前、宮村さんを脅してるらしいな」
「……なんの話だよ」
「ほらこの写真」

そう言いながら黒髪男子が見せてきた1枚の写真。それには昨日、俺と莉沙が腕を組んでいる写真が写されていた。

「お前が宮村さんを脅してこんなことをするように言ってるって聞いたんだよ」
「俺は脅してなんかいない」

俺がそう答えると茶髪男子が俺の胸ぐらを掴む。

「しらばっくれるなよ?雪原さんからお前が中学の時にした話聞いたんだよ。お前は最低人間だってな」
「それは雪原の嘘だ。俺は何もしていない」

そう俺が答えた瞬間に茶髪男子が俺の腹を殴る。

「うっ!」

俺は腹を押さえて膝から崩れ落ちる。そして、茶髪男子がもう1発俺を殴ろうとした。

「ゆ、佑介!」

だがそれは莉奈が入ってきたことにより阻止される。莉奈は俺に近寄り心配そうに俺に声を掛ける。

「大丈夫!?」
「あぁ、なんとか」

俺がそう返事をすると莉沙は安堵した表情を見せる。それから莉沙は俺を殴った茶髪男子を睨み付ける。

「なんでこんなことしたの!?」
「そ、それは宮村さんが脅されてるって聞いて」
「それにそいつは最低な人間だしな」

莉奈は茶髪男子と黒髪男子からその答えを聞いて額に青筋を立ててるのが目に入った。

「あたしは脅されてないし人を殴る方が最低の人間でしょ!」
「なら彼が中学の頃やったことは最低じゃないのかしら?」

今度は雪原が莉奈の前に立ちそう問いかける。

「あれはあんたが言った嘘の話でしょ?」
「本当に嘘だと思う?もしかしたら彼が嘘をついてるかもしれないとは思わないの?」
「思わない」

莉奈は雪原を睨みつけ力強くそう肯定する。

「はぁ、面白くない。……あんた邪魔だわ」

そう言い終わると同時に授業開始のチャイムが鳴る。雪原は莉奈を睨みながら席に座る。

「佑介行こ」

そんな雪原を見つめていると不意に手を掴まれ莉奈に引っ張られる。

「えっ?どこにだよ」
「学校サボるの!こんな所に居たって楽しくないでしょ」
「お、おい!ちょっ」

いきなりの事に困惑する俺は莉奈に手を引かれてそのまま教室を後にした。

「殴られた所痛くない?佑介」
「大丈夫だから心配するな」

所変わって今、学校近くのファーストフード店に来ていた。

「本当にあの女最低。明日、1発ブってやろうかな」

相当、機嫌が悪い莉奈は頼んだドリンクを一気飲みする。

「雪原に逆らうのはやめた方がいい。更に酷い事になる」
「だけどこのままでいいの!?」
「いや、良い訳ではないけど」

正直、雪原は敵う相手ではない。教師に言うにしてもどの道酷いことになりそうだしな。

「……佑介?」

俺は雪原に関してどうすべきか考えていると急に背後から声を掛けられた。

「斗真……」

後ろを振り返ると中学の時の友人で俺を裏切った松葉斗真まつばとうまが立っていた。

昔とは違って身長が伸びており黒だった髪が金色に染めていた。ピアスもしておりいかにも不良といった格好をしていた。

「久しぶりだな」
「あぁ」

俺と斗真はそう言葉を交わした後、お互い沈黙してしまう。
場に気まずい雰囲気が流れ始める。

「何が『久しぶり』なのよ。もっと他に言うことあるんじゃないの?あんたがしたこと佑介から聞いたけどあまりにも酷すぎるんじゃない?」

しかし、それを破ったのは前に座り俺と斗真を見ていた莉奈。というか大分怒っているようで斗真を睨み付けていた。

「君は?」
「あたしは宮村莉奈。佑介とはいずれ恋人になる予定」

そう莉奈が自己紹介すると斗真は驚いた表情を見せた。
だが、それも一瞬で斗真はすぐにその場で跪いて土下座をする。

「あの時はすまなかった!相談に乗ってもらったのにお前を傷付けてしまった。あの時は周りが佑介をいじめていたから俺もいじめないと俺も同じ目に遭うって思ったんだ」

俺はそんな斗真を黙ったまま見下ろす。

「俺は今でも後悔している。1番仲が良かった友人を裏切ってしまったこと。佑介は俺を恨んでいるだろ?だから今この場で好きなだけ俺を殴ってもいい。だから許してくれ!」

斗真は地面に頭を付けて必死に謝る。周りの客も何事かと視線をこちらに向けていた。

「そんな謝罪で許される訳ないでしょ!佑介が今までどんな気持ちだったか分かる?」
「……莉奈」
「『殴ってもいいから許してくれ』なんてよく言えるね。あたしからしたら信じられない」
「莉奈。もういい」

俺のために色々言ってくれる莉奈を制止する。

「斗真、俺はお前を許せない。今更、謝られてももう遅い。だからもう二度と謝るな。そして、もう俺の事なんて忘れてくれ」

俺はそう言って斗真の腕を掴み立たせる。

「……帰れ。もう俺の姿を見ても声を掛けるなよ」
「わかった。ごめん」

斗真は肩を落としながら店の外へゆっくり歩いて行った。
俺はその姿を最後まで見送っていた。

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