命を助けてくれた女騎士がただのくっ殺キチだった件
ななくっ殺
「えーでは、これよりアリーシャとルルティアによる〝くっ決〟を執り行う!」
セリアさんの言葉に、オーディエンスが盛大な拍手をあげる。
なんとお屋敷の中で働いていた全員が仕事を放棄し、観客として招集されたのだ。
「それでは私よりくっ決の説明をさせていただきます。お二人にはこの廃墟を模した建物でオークに襲われるという設定でお願い致します。アリーシャさん、ルルティアさん、この本の64ページ目をご覧ください。その内容を踏まえて実践してもらいますので」
「はい」
(うわ、何これ分厚ッ)
手渡された辞書くらい分厚い本。
その本を開いて指定されたページを開くと、小さな文字がビッシリと敷き詰められていた。
少し読んでみると、どうやら襲われている女騎士の〝設定〟が記されていると理解できた。
女騎士の生い立ち、廃墟に来た理由、性格、剣の腕前など。このシチュエーションに置ける女騎士の全てが記されていた。
細かな所まで網羅されているが、見ているだけで頭が痛くなる内容ばかりだった。しかしルルティアさんはそれをチラッと見て本を閉じてしまう。
「あの、覚えなくていいんですか?」
「えぇ、この本は擦り切れるまで読んでいますので。私はこの本の大ファンですから」
私は本を裏返し著者を見た。
そこには予想通りというか、やっぱり〝セリア・ルノワール〟と書かれていた。そしてその値段にも驚いた。
「え!?……ご、五万もするんですかコレ!?」
「口を慎みなさいアリーシャさん。これだけの内容が盛り込まれて〝たった〟五万ですよ?この本が世に出た当初は、1000万部が一日で消し飛んだベストセラーですのに」
「いやいや、そんな有名な本なんですかこれ!?まったく聞いたことがありませんよ!」
しかし、もし本当にこれが売れているのなら、私の見聞が狭いだけの可能性がマジでありえる。
ズレているのは私。
いやいや!それはあり得ない、ちゃんとしろ私。ここで丸め込まれてしまえば、多分もう元の世界には戻って来られないだろう。
悶々としていたが、それに構わず事は運ばれていくのだった。
「ではまずルルティアさんからお願いします。オーク役はこの豚吉が務めますので」
「はい、よろしくお願いします」
ルルティアさんは大きく息を吸い、そして吐いた。
次の瞬間、おっとりとした目付きがギラリと変化し、なんなら歩き方さえ違ってきている。
「……入ったな」
「え?どうゆう事ですかセリアさん」
「今のルルティアは、先程の本に載っていた女騎士そのものになったのだ。心技体、完璧なくっ殺は、その調和より生まれるのだから」
「え、言ってる全てが分かりません」
「まぁ見ていろ。ルルティアは抜き打ちには滅法弱いのだが、この様な試験ではその真価を発揮するーー手強いぞアリーシャ」
(いや、〝手強いぞアリーシャ〟って言われてもピンと来ないんですが)
兎にも角にも、先輩女騎士であるルルティアさんの〝くっ殺〟を見せてもらうことにした。
セリアさんの言葉に、オーディエンスが盛大な拍手をあげる。
なんとお屋敷の中で働いていた全員が仕事を放棄し、観客として招集されたのだ。
「それでは私よりくっ決の説明をさせていただきます。お二人にはこの廃墟を模した建物でオークに襲われるという設定でお願い致します。アリーシャさん、ルルティアさん、この本の64ページ目をご覧ください。その内容を踏まえて実践してもらいますので」
「はい」
(うわ、何これ分厚ッ)
手渡された辞書くらい分厚い本。
その本を開いて指定されたページを開くと、小さな文字がビッシリと敷き詰められていた。
少し読んでみると、どうやら襲われている女騎士の〝設定〟が記されていると理解できた。
女騎士の生い立ち、廃墟に来た理由、性格、剣の腕前など。このシチュエーションに置ける女騎士の全てが記されていた。
細かな所まで網羅されているが、見ているだけで頭が痛くなる内容ばかりだった。しかしルルティアさんはそれをチラッと見て本を閉じてしまう。
「あの、覚えなくていいんですか?」
「えぇ、この本は擦り切れるまで読んでいますので。私はこの本の大ファンですから」
私は本を裏返し著者を見た。
そこには予想通りというか、やっぱり〝セリア・ルノワール〟と書かれていた。そしてその値段にも驚いた。
「え!?……ご、五万もするんですかコレ!?」
「口を慎みなさいアリーシャさん。これだけの内容が盛り込まれて〝たった〟五万ですよ?この本が世に出た当初は、1000万部が一日で消し飛んだベストセラーですのに」
「いやいや、そんな有名な本なんですかこれ!?まったく聞いたことがありませんよ!」
しかし、もし本当にこれが売れているのなら、私の見聞が狭いだけの可能性がマジでありえる。
ズレているのは私。
いやいや!それはあり得ない、ちゃんとしろ私。ここで丸め込まれてしまえば、多分もう元の世界には戻って来られないだろう。
悶々としていたが、それに構わず事は運ばれていくのだった。
「ではまずルルティアさんからお願いします。オーク役はこの豚吉が務めますので」
「はい、よろしくお願いします」
ルルティアさんは大きく息を吸い、そして吐いた。
次の瞬間、おっとりとした目付きがギラリと変化し、なんなら歩き方さえ違ってきている。
「……入ったな」
「え?どうゆう事ですかセリアさん」
「今のルルティアは、先程の本に載っていた女騎士そのものになったのだ。心技体、完璧なくっ殺は、その調和より生まれるのだから」
「え、言ってる全てが分かりません」
「まぁ見ていろ。ルルティアは抜き打ちには滅法弱いのだが、この様な試験ではその真価を発揮するーー手強いぞアリーシャ」
(いや、〝手強いぞアリーシャ〟って言われてもピンと来ないんですが)
兎にも角にも、先輩女騎士であるルルティアさんの〝くっ殺〟を見せてもらうことにした。
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