Regulus

有賀尋

Surprising present 2

「ただいまー」

慶を送ってから家に帰ると、2匹に出迎えられ、パンツの裾を引っ張られた。

「え、あ、ちょ、おい!」

奥に進むにつれて、どことなく甘い匂いがする。

...チョコレート、か?

奥に行くにつれて甘苦い匂いは濃くなっていった。そしてら奥にある施設といえば、客が来た時にしか使わない大浴場。いつも使用人の人達が綺麗にしてるのを何度か見かけたことがある。

そして浴場に着いた頃にはそこらじゅうにチョコレートの匂いが充満していた。

ロイとローエンが扉の前で吠え、俺は仕方なく扉を開ける。
すると、大浴場の大きな風呂にチョコレートの中でくつろぐ由真がいた。

「...お前何してんだ?」
「あ、おかえりー。待ってた」

いつも通りニコッと笑って迎えるのはいいものの。

どうしてこうなってる?

「...何してんだ?」
「見てわかるでしょ、チョコレート風呂」
「...いや、そうだけど...」
「んもう!今日は何の日!?」
「...今日?なんかあったか?」

由真の誕生日?
いや、違うか。
記念日...はこの間ドンペリ開けたし...。

あれこれ考えていると、由真がさすがに痺れを切らした。

「誕生日!遥誕生日でしょ!?」
「...あぁ、俺の誕生日か。...で、なんでそんなことしてんだ?」
「今年の誕生日プレゼント!」
「チョコレート風呂が?」
「俺が!」
「...お前が?」

...こりゃ驚いた。

今までオリジナルピックやらネックレスやらをもらっては来たが、まさか誕生日プレゼントが由真本人とは。

「そうだよ。悩んだんだよ、そしたらローエンとロイがアイディアくれてさ。もちろんちゃんとお菓子も作ったんだよ?遥喜んでくれるかなってさ」
「俺は別になんでも嬉しいけど...」
「俺本人は嬉しくない?」
「んなわけあるかよ、最高のプレゼントだ」

由真が作ったお菓子はチョコレートマカロンだった。
そうして由真を風呂から上げてちゃんといただいた。

しばらく由真の体からチョコレートの匂いとキスマークと歯型、俺の体から引っかき傷と歯型が消えなかったのは余談だ。

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