勇者の魂を受け継いだ問題児
*決別*
「…………」
センリは、先程カグラから貰った紙の束を広げ、寮の規則とやらを確認する。
*
――― 前略。 中略。 以下省略。 ―――
*
「……ふむ。なるほどな……」
センリは一通り目を通し……顔面蒼白のクロードの首に、刀の切っ先を向けたまま問いかけた。
「なぁ、お前ら……。 ここに、『どのような理由であれ、利用者の許可無く部屋に侵入する行為の一切を禁ずる』と書いてあるんだが……お前らは "寮則違反者" ってことでいいんだよな?」
「…………」
「…………」
黙り込む二人。
しかし、センリが無視して続ける。
「お前らも似たような事言ってたが……寮長曰く、数年前に規則違反者が出て以来、誰一人として寮則を違反するヤツはいなかったんだよな?」
「…………」
「…………」
「やったな! 数年間、誰も成し得なかった偉業を達成したじゃねえか!」
「嬉しくねえよ、そんな偉業ッ!?」
そう声を上げたのは、センリに刀の切っ先を向けられたままクロード。
こんな状況で声を上げるとは、随分と肝が太いんだなと感心していると、そんなセンリの表情を見て何を勘違いしたのか……ムカつく笑みを浮かべながら、クロードが反論してきた。
「……それより、いいのかよ? お前こそ、寮則を違反してんだぞ?」
「……あ?」
「そいつには、『寮内での魔法、及び武器の使用を禁ずる』とも書いてあるだろ? 武器を使ってるからお前も寮則違反だ!」
「…………」
などと、こんな状況で子供のような戯れ言を言い放つクロードに、センリが素直に感心していると、クロードが続けて要求してきた。
「さぁ、分かったらさっさとこの刀を―――」
「不法侵入者に対する正当防衛だ。何も問題ないだろ」
「……うっ……!?」
遮って言い放ったセンリの正論に、クロードが押し黙る。
「……とにかく、お前らもう帰れよ頼むから……。俺は本当に疲れてんだ……」
「……そうなのか?」
「ああ……この一週間、学院に編入する準備とか色々あって、陸に寝てないんだよ」
刀を鞘に納めながらそう言うセンリの顔色を窺ったクロードが、心配げに言ってくる。
「大丈夫かお前……よく見たら、本当に顔悪いじゃねえか!」
「だから、さっきからそう言ってんだろ! ……明日の昼以降だったら来ていいから、今日はもう帰ってくれ……」
「……まぁ、そういう事なら仕方ねーか……」
「…………」
「じゃあ、俺はもう帰るわ……じゃーな」
「……ああ」
そう言って、部屋を出て行くクロードを見送るセンリ。
その後、センリはベッドに腰掛けて、ソファーのある方を睨み付けて言った。
「……この流れ的に、お前も "帰る" べきだろ?」
するとそこには、ソファーの肘掛けに寄り掛かっている銀髪の男。
その男がこちらを見据えて、相変わらずのへらへら顔で言ってきた。
「いやー、確かにこの "流れ" はそうかもねぇ~」
「……分かってんならお前も帰れよ」
「ああ。……じゃあ、そうさせて貰うよ」
「…………」
そう言うと、ソーマはソファーから離れて歩き出す。
しかし、ソーマが向かったのは玄関ではなく、センリのいるベッドの方だった。
ベッドに腰掛けたまま、ソーマを見上げてセンリが問う。
「……なんだよ?玄関はあっちだぞ?」
その問いに、ソーマが苦笑して応える。
「知ってるよ、そのくらい……」
「……じゃあ、何だ?まだ何か―――」
―――まだ何か用があるのか?
そう問おうとしたセンリの側頭部に、一瞬の衝撃が走った。
「―――ッッ!!?」
するとその衝撃により、そのままセンリの身体は吹き飛んで壁に直撃。
「……ぐ、は――ッ!!?」
センリが短い悲鳴を上げて、床に倒れる。
今ので脳にもダメージがあったのだろう。体が痙攣して動かない。
一瞬、意識も飛びかけたが、何とか踏み止まった。
「……っ……」
センリは目だけを動かして状況を確認する。
そこで初めて、自分はソーマに蹴られたんだと理解する。
「……っ、ッッ……は――ッ!」
センリが精一杯の力で体を起こそうとするが、すぐに倒れてしまう。
そんな時に、ソーマはこちらを冷たい目で見下ろしていた。
センリがソーマを睨み付けながら、言った。
「……て、め…………に、しや…………る……!」
センリは、精一杯声を振り絞って言ったのだが、うまく喋る事も出来なかった。
そんなセンリを無視して、ソーマが冷たい目で見下ろしながら、低い声で言った。
「……なんで避けねえの?」
その時のソーマに、いつものへらへら顔は無い。
今のソーマは、今日の教室で見せた "ソレ" だったのだ。
ソーマが続ける。
「お前……今、僕の攻撃見えてたろ?」
「…………」
「君は今、自分が何をされたか分からない―――みたいな演技してるのかもしれないけど……僕の目は騙せないよ?」
「……な、の……こと……だ……?」
冷や汗を浮かべ、センリが言う。
すると、ソーマがゆっくりと此方に向かって歩いてくる。
そして、センリの目の前で立ち止まる。
そのまましゃがんで、センリの髪の毛を掴み、持ち上げた。
「……く、っ……!?」
「朝も言ったろ。下手な嘘すんなって」
「……てめぇ……なにが、目的だ……?」
「目的……?んー、そうだねぇ……目的……」
そう言って、センリの髪の毛を掴んだまま考え込む、ソーマ・クリーヴランド。
そして、数秒思考した後、いつものへらへら顔に戻って言ってきた。
「……君を殺す事、だったらどうする?」
「―――ッ―――!?」
センリがそれを聞いた瞬間、ありったけの力を振り絞り、ソーマの手を振り解く。
そのまま近くにあった刀に手を伸ばし、抜刀。
そして、ソーマに斬りかかった。
―――だが、その動きは遅い。
すぐにソーマに腕を掴まれて、今度は顔面に蹴りを食らった。
「……ぐは、っ……!?」
悲鳴を上げて、吹き飛ぶセンリ。
再び、壁に背中をぶつけて倒れてしまった。
「……まだやんの?この茶番……」
呆れたようにそう言うソーマ。
「いい加減、本気出しなよ?……じゃないと今度は本当に―――」
「…………」
「―――死ぬよ?」
殺意の込められた言霊。
「―――クソが―――!!」
センリは動く。
刀を捨て、右掌をソーマに向ける。
そのまま魔法を発動。
センリの腕がメラメラと燃え上がり、掌に炎の球体が生まれる。
「…………」
だが、それまでソーマは動かなかった。
つまらなそうに、ただただ此方を見下ろしている。
しかし、センリは無視して魔法を放った。
「《火の玉》ッッ―――!!」
火の玉が、ソーマの顔面目掛けて、真っ直ぐ飛んで行く。
そして、直撃する―――ギリギリのところで、ソーマが言った。
「……いい加減にしろよ」
ソーマが火の玉を手で軽く払う。
それだけで、火の玉が消えてしまった。
「……な、っ……!?」
センリが一瞬、驚いたような表情になる。
だが、すぐに二発目を放つ準備をする。
再び、センリの腕がメラメラと燃え上が―――ったところで、センリの腹部をソーマが蹴り飛ばした。
「―――か、はぁ―――ッッ!?」
三発食らった蹴りの中で最も強い衝撃だった。
倒れ込むセンリを見据えて、ソーマが呆れたように言った。
「お前、どんだけ強情なの? それとももしかして、本当に弱いのか……?」
「……だから……最初からそう、言ってんだろうが……っ!」
「……はぁ……」
つまらなそうに、ため息を吐くソーマ。
「……普通、ここまでされたら本気になってやり返すだろ?」
「…………」
「それとも、今のがお前の "本気" だったのか?」
「…………」
センリは俯いたまま、喋らない。反論しない。
それを見たソーマが心底、呆れ果てたように言った。
「なんか、本当につまんねぇ奴だな、お前……」
「…………」
「この学院に編入してくる奴がいるって聞いて期待していたんだが」
「……最初に言っただろ。俺に力なんてない。……今までだってずっとそうだったんだ。自分の弱さをどれだけ呪った事か……」
それは本当だった。
あの時、自分に力があれば―――この1週間、ずっとそんな事を考えていた。
ソーマが、相変わらず冷たい目でこちらを見下ろし、言った。
「……それで?自分の弱さを呪ってお前はどうしたの? 強くなるために、少しでも努力した?」
「…………」
「はぁ……。もういい。力も無い上に努力もしない……本物のクズに期待していた僕が悪かった」
「……勝手に期待すんな」
「ああ、そうだね。僕は完全に君への関心も興味も無くなった……。もう、二度と僕に話しかけないでね」
そう言うソーマに、センリが反論する。
「先に話しかけてきたのは、お前だろうが……」
すると、ソーマが此方を冷たい目で見下ろして、
「ああ……そう言えば、そうだったな……」
「……分かったならもう、帰れ……俺は疲れてるんだ……」
「あっそ……じゃあ、僕も帰るわ……バイバイ」
そう言って、センリに目を合わせる事なく、ソーマも部屋から出て行った。
「…………」
センリが、ソーマが消えた玄関の方を暫く見つめる。
「……はぁ……ったく」
そして、センリは何事も無かったかのように立ち上り、愚痴る。
「あの野郎……散々俺を蹴り飛ばしやがって……」
乱れた制服を整えてから、そのままベッドに寝転んだ。
「……だが、まさかこんなに上手くいくとはな。あっちから離れて行ってくれたから、かなり手間が省けた」
そう言って、一週間ぶりのふかふかベッドを堪能する。
「……にしても……さすがに痛ぇな……」
ダメージを受けないように、衝撃を受け流す事も出来たのだが……そんな事をすればバレる可能性があったので、敢えてまともに食らってやったのだ。
「…………」
だがどちらにしろ、計画通り事が進んだのは良い事だ。
しかし、今はそんな事よりも……。
「……眠い……」
一週間の疲れと眠気に負けてしまい、センリはそのまま目を閉じた。
センリは、先程カグラから貰った紙の束を広げ、寮の規則とやらを確認する。
*
――― 前略。 中略。 以下省略。 ―――
*
「……ふむ。なるほどな……」
センリは一通り目を通し……顔面蒼白のクロードの首に、刀の切っ先を向けたまま問いかけた。
「なぁ、お前ら……。 ここに、『どのような理由であれ、利用者の許可無く部屋に侵入する行為の一切を禁ずる』と書いてあるんだが……お前らは "寮則違反者" ってことでいいんだよな?」
「…………」
「…………」
黙り込む二人。
しかし、センリが無視して続ける。
「お前らも似たような事言ってたが……寮長曰く、数年前に規則違反者が出て以来、誰一人として寮則を違反するヤツはいなかったんだよな?」
「…………」
「…………」
「やったな! 数年間、誰も成し得なかった偉業を達成したじゃねえか!」
「嬉しくねえよ、そんな偉業ッ!?」
そう声を上げたのは、センリに刀の切っ先を向けられたままクロード。
こんな状況で声を上げるとは、随分と肝が太いんだなと感心していると、そんなセンリの表情を見て何を勘違いしたのか……ムカつく笑みを浮かべながら、クロードが反論してきた。
「……それより、いいのかよ? お前こそ、寮則を違反してんだぞ?」
「……あ?」
「そいつには、『寮内での魔法、及び武器の使用を禁ずる』とも書いてあるだろ? 武器を使ってるからお前も寮則違反だ!」
「…………」
などと、こんな状況で子供のような戯れ言を言い放つクロードに、センリが素直に感心していると、クロードが続けて要求してきた。
「さぁ、分かったらさっさとこの刀を―――」
「不法侵入者に対する正当防衛だ。何も問題ないだろ」
「……うっ……!?」
遮って言い放ったセンリの正論に、クロードが押し黙る。
「……とにかく、お前らもう帰れよ頼むから……。俺は本当に疲れてんだ……」
「……そうなのか?」
「ああ……この一週間、学院に編入する準備とか色々あって、陸に寝てないんだよ」
刀を鞘に納めながらそう言うセンリの顔色を窺ったクロードが、心配げに言ってくる。
「大丈夫かお前……よく見たら、本当に顔悪いじゃねえか!」
「だから、さっきからそう言ってんだろ! ……明日の昼以降だったら来ていいから、今日はもう帰ってくれ……」
「……まぁ、そういう事なら仕方ねーか……」
「…………」
「じゃあ、俺はもう帰るわ……じゃーな」
「……ああ」
そう言って、部屋を出て行くクロードを見送るセンリ。
その後、センリはベッドに腰掛けて、ソファーのある方を睨み付けて言った。
「……この流れ的に、お前も "帰る" べきだろ?」
するとそこには、ソファーの肘掛けに寄り掛かっている銀髪の男。
その男がこちらを見据えて、相変わらずのへらへら顔で言ってきた。
「いやー、確かにこの "流れ" はそうかもねぇ~」
「……分かってんならお前も帰れよ」
「ああ。……じゃあ、そうさせて貰うよ」
「…………」
そう言うと、ソーマはソファーから離れて歩き出す。
しかし、ソーマが向かったのは玄関ではなく、センリのいるベッドの方だった。
ベッドに腰掛けたまま、ソーマを見上げてセンリが問う。
「……なんだよ?玄関はあっちだぞ?」
その問いに、ソーマが苦笑して応える。
「知ってるよ、そのくらい……」
「……じゃあ、何だ?まだ何か―――」
―――まだ何か用があるのか?
そう問おうとしたセンリの側頭部に、一瞬の衝撃が走った。
「―――ッッ!!?」
するとその衝撃により、そのままセンリの身体は吹き飛んで壁に直撃。
「……ぐ、は――ッ!!?」
センリが短い悲鳴を上げて、床に倒れる。
今ので脳にもダメージがあったのだろう。体が痙攣して動かない。
一瞬、意識も飛びかけたが、何とか踏み止まった。
「……っ……」
センリは目だけを動かして状況を確認する。
そこで初めて、自分はソーマに蹴られたんだと理解する。
「……っ、ッッ……は――ッ!」
センリが精一杯の力で体を起こそうとするが、すぐに倒れてしまう。
そんな時に、ソーマはこちらを冷たい目で見下ろしていた。
センリがソーマを睨み付けながら、言った。
「……て、め…………に、しや…………る……!」
センリは、精一杯声を振り絞って言ったのだが、うまく喋る事も出来なかった。
そんなセンリを無視して、ソーマが冷たい目で見下ろしながら、低い声で言った。
「……なんで避けねえの?」
その時のソーマに、いつものへらへら顔は無い。
今のソーマは、今日の教室で見せた "ソレ" だったのだ。
ソーマが続ける。
「お前……今、僕の攻撃見えてたろ?」
「…………」
「君は今、自分が何をされたか分からない―――みたいな演技してるのかもしれないけど……僕の目は騙せないよ?」
「……な、の……こと……だ……?」
冷や汗を浮かべ、センリが言う。
すると、ソーマがゆっくりと此方に向かって歩いてくる。
そして、センリの目の前で立ち止まる。
そのまましゃがんで、センリの髪の毛を掴み、持ち上げた。
「……く、っ……!?」
「朝も言ったろ。下手な嘘すんなって」
「……てめぇ……なにが、目的だ……?」
「目的……?んー、そうだねぇ……目的……」
そう言って、センリの髪の毛を掴んだまま考え込む、ソーマ・クリーヴランド。
そして、数秒思考した後、いつものへらへら顔に戻って言ってきた。
「……君を殺す事、だったらどうする?」
「―――ッ―――!?」
センリがそれを聞いた瞬間、ありったけの力を振り絞り、ソーマの手を振り解く。
そのまま近くにあった刀に手を伸ばし、抜刀。
そして、ソーマに斬りかかった。
―――だが、その動きは遅い。
すぐにソーマに腕を掴まれて、今度は顔面に蹴りを食らった。
「……ぐは、っ……!?」
悲鳴を上げて、吹き飛ぶセンリ。
再び、壁に背中をぶつけて倒れてしまった。
「……まだやんの?この茶番……」
呆れたようにそう言うソーマ。
「いい加減、本気出しなよ?……じゃないと今度は本当に―――」
「…………」
「―――死ぬよ?」
殺意の込められた言霊。
「―――クソが―――!!」
センリは動く。
刀を捨て、右掌をソーマに向ける。
そのまま魔法を発動。
センリの腕がメラメラと燃え上がり、掌に炎の球体が生まれる。
「…………」
だが、それまでソーマは動かなかった。
つまらなそうに、ただただ此方を見下ろしている。
しかし、センリは無視して魔法を放った。
「《火の玉》ッッ―――!!」
火の玉が、ソーマの顔面目掛けて、真っ直ぐ飛んで行く。
そして、直撃する―――ギリギリのところで、ソーマが言った。
「……いい加減にしろよ」
ソーマが火の玉を手で軽く払う。
それだけで、火の玉が消えてしまった。
「……な、っ……!?」
センリが一瞬、驚いたような表情になる。
だが、すぐに二発目を放つ準備をする。
再び、センリの腕がメラメラと燃え上が―――ったところで、センリの腹部をソーマが蹴り飛ばした。
「―――か、はぁ―――ッッ!?」
三発食らった蹴りの中で最も強い衝撃だった。
倒れ込むセンリを見据えて、ソーマが呆れたように言った。
「お前、どんだけ強情なの? それとももしかして、本当に弱いのか……?」
「……だから……最初からそう、言ってんだろうが……っ!」
「……はぁ……」
つまらなそうに、ため息を吐くソーマ。
「……普通、ここまでされたら本気になってやり返すだろ?」
「…………」
「それとも、今のがお前の "本気" だったのか?」
「…………」
センリは俯いたまま、喋らない。反論しない。
それを見たソーマが心底、呆れ果てたように言った。
「なんか、本当につまんねぇ奴だな、お前……」
「…………」
「この学院に編入してくる奴がいるって聞いて期待していたんだが」
「……最初に言っただろ。俺に力なんてない。……今までだってずっとそうだったんだ。自分の弱さをどれだけ呪った事か……」
それは本当だった。
あの時、自分に力があれば―――この1週間、ずっとそんな事を考えていた。
ソーマが、相変わらず冷たい目でこちらを見下ろし、言った。
「……それで?自分の弱さを呪ってお前はどうしたの? 強くなるために、少しでも努力した?」
「…………」
「はぁ……。もういい。力も無い上に努力もしない……本物のクズに期待していた僕が悪かった」
「……勝手に期待すんな」
「ああ、そうだね。僕は完全に君への関心も興味も無くなった……。もう、二度と僕に話しかけないでね」
そう言うソーマに、センリが反論する。
「先に話しかけてきたのは、お前だろうが……」
すると、ソーマが此方を冷たい目で見下ろして、
「ああ……そう言えば、そうだったな……」
「……分かったならもう、帰れ……俺は疲れてるんだ……」
「あっそ……じゃあ、僕も帰るわ……バイバイ」
そう言って、センリに目を合わせる事なく、ソーマも部屋から出て行った。
「…………」
センリが、ソーマが消えた玄関の方を暫く見つめる。
「……はぁ……ったく」
そして、センリは何事も無かったかのように立ち上り、愚痴る。
「あの野郎……散々俺を蹴り飛ばしやがって……」
乱れた制服を整えてから、そのままベッドに寝転んだ。
「……だが、まさかこんなに上手くいくとはな。あっちから離れて行ってくれたから、かなり手間が省けた」
そう言って、一週間ぶりのふかふかベッドを堪能する。
「……にしても……さすがに痛ぇな……」
ダメージを受けないように、衝撃を受け流す事も出来たのだが……そんな事をすればバレる可能性があったので、敢えてまともに食らってやったのだ。
「…………」
だがどちらにしろ、計画通り事が進んだのは良い事だ。
しかし、今はそんな事よりも……。
「……眠い……」
一週間の疲れと眠気に負けてしまい、センリはそのまま目を閉じた。
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