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勇者の魂を受け継いだ問題児

ノベルバユーザー260885

*果たしてこの世界の常識とは*

「………………」


 建物の中に入ったセンリは、あまりに現実離れした光景に、頭を抱えて言葉を失った。


 視界を覆う純白の壁。
 2階建て構造のわりに、見上げるほど高い天井。
 その天井からぶら下がる、巨大で豪華な黄金のシャンデリア。
 そして、建物の中央には一つの巨大な階段。
 その階段は、途中から左右に二つに分かれているという独特なデザインだ。


―――だが、それだけではない。
 円形の建物の側面に沿うように、緩やかなカーブを描いたエスカレーターが、左右に一つずつあったのだ。


「…………」


 もう突っ込みどころが多すぎて、全て語っていたら日が暮れてしまうだろう。
 そこでセンリは、一度落ち着く為に深呼吸。


「……すぅ~……はぁ~っ……」


 その大きな深呼吸の後に、センリ恒例の独白モノローグが始まった。




 ………………。


 さて、もう一度確認するが、ここはどこだ?


 それはソーマたちに何度も言われた。


 学生寮・・・だ。


 ……なら、学生寮とは何だ?


 そんなの言うまでもない。


 それは決して、王族が寝泊まりする場などではなく、学生たちが・・・・・寝泊まりする為の物件だ。


 ……なら、これは何だ?


 360゜見渡し、少なくとも俺の知る学生寮ではない、と断言できる。


 ……だがしかし、ここは『異世界』なのだ。


 つまり、『地球』の常識というものは適応しないのだろう。


 それに、聖グラムハート学院は帝国有数の名門校。


 故に、この学院に通っている生徒たちの中には、金持ち貴族も沢山いることだろう。


 それを考えれば、これが普通・・・・・……なのかもしれない。


 そう、思えてくる。


 ………………。


 進化論を唱えたとある偉人が、こんな事を言った。




《この世で生き残る事が出来るものとは、最も力のあるものではない。最も賢いものでもない。それは、環境の変化に対応できるものだ》




 なぜ、人間より遥かに強いであろうマンモスや恐竜などといった大型動物たちが絶滅してしまったのだろうか?


 答えは簡単だ。


 地球の自然環境の変化に、対応出来なかったからだ。


 しかし人間という生き物は、あの手この手を使い、生き延び……そして現在では、地球の頂点に君臨している。


 ………………。


 なので今、俺がすべき事は独白などではない、という事は分かっている。


 俺がすべき事。


 それは、




―――この世界の "常識" を理解し、それを受け入れることだ!




 『出来る、出来ない』ではない。


 『やるしかない』のだ。


 地球に帰れるその日が来るまで。


 この世界で生きていく為に、俺はこの現状を受け入れる!


「…………」


―――だが。


 ……たった今、『現状を受け入れる』などと言っておいて、今さらこんな事を言うのはアレなのだろう、という事は百も承知している。
 しかし、これだけは・・・・・言わせて貰いたい。


「…………」


 わざわざエスカレーターを二つも造らなくても、このデカイ階段が中央に一つあれば十分だと思う。





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