勇者の魂を受け継いだ問題児
*侯爵家の従者*
―――試験はどんどん進んで行く。
ルシウスの次に名乗り出たのは、アイシャ・ルルフォニア。
セレスティーナの後ろに静かに控えていた、茶色の髪を無造作に束ねた少女だ。
ソーマ曰く、ルルフォニア家はレインフォード侯爵家に代々仕えてきた家柄なんだそうだ。
随分と物知りなんだなと密かに感心しつつ、俺は再びアイシャに目を向ける。
「(……さて、侯爵家に仕える従者の腕前、見せてもらおうか)」
「それじゃあ、始めてちょうだい!」
「……参ります」
ロゼリアの言葉に短くそう応じると、突然アイシャがしゃがみ込んで右掌を地面につけた。
一体なにが始まるのかと暫く眺めていると、突然、ゴゴゴゴ……と、地鳴りようなものが聞こえてきた。
そして、その地鳴りの音はどんどん大きくなっていき、遂には地面が揺れだしたのだ。
一応立ってはいられるが、そこそこ大きい地震だ。
「(……ふむ。どうやら地属性の魔法のようだが、一体なにをするつもりだ?)」
そんな事を考えていると……今度は、バキバキバキ――ッと、突然地面が割れた。
「……ッ……!?」
そしてアイシャを中心とし、四方八方に亀裂が走っていく。
当然、その亀裂はこちらにも向かって来る。その一つが俺の足元を通過した。
センリはすぐにその場を離れる。
「……おいおい、マジかよ……」
そして自分がいた場所に生じた一筋の亀裂を見下ろし、頬を引き連らせながらそう呟いた。
しかし当然、これで終わりではないだろう。
さらに地面に力が加わり、結晶の左右で地面が亀裂に沿ってズレ、数メートル隆起する。
そして―――。
地震を起こした張本人、アイシャは地面から右掌を離して立ちあがり、結晶を睨み付けて―――
「―――《大地衝破》!!」
広げていた掌を、一気に握り締める。
すると、それに同調するかのように、結晶の左右で隆起していた大地が、結晶を巻き込んで激しく衝突した。
―――大地と大地が正面衝突。
西エリアは、激しい衝突音と衝撃波に襲われた。
そして、それから数十秒後。
砂埃などが舞っていた西エリアがようやく落ち着きを取り戻し、俺はアイシャの記録を確認する。
―――【7450】。
「…………」
まさか、セレスティーナの『爆風魔法』を超える記録を叩き出すとは……。
隣のソーマも驚いたような表情をしていた。
そして、試験を終えたアイシャはロゼリアを見つめて、
「……よろしいでしょうか?」
「ええ。アンタも『魔法威力』の試験は終わりよ。他の試験も頑張んなさい!」
「……はい」
そう言って会釈し、アイシャも西エリアを去っていった。
……まぁ、恐らく南エリアに行くんだろうな。
そんな事を考えていると、再びロゼリアが例のセリフを口にする。
「……それじゃあ、次に試験を受けたい人は名乗り出なさい!」
ルシウスの次に名乗り出たのは、アイシャ・ルルフォニア。
セレスティーナの後ろに静かに控えていた、茶色の髪を無造作に束ねた少女だ。
ソーマ曰く、ルルフォニア家はレインフォード侯爵家に代々仕えてきた家柄なんだそうだ。
随分と物知りなんだなと密かに感心しつつ、俺は再びアイシャに目を向ける。
「(……さて、侯爵家に仕える従者の腕前、見せてもらおうか)」
「それじゃあ、始めてちょうだい!」
「……参ります」
ロゼリアの言葉に短くそう応じると、突然アイシャがしゃがみ込んで右掌を地面につけた。
一体なにが始まるのかと暫く眺めていると、突然、ゴゴゴゴ……と、地鳴りようなものが聞こえてきた。
そして、その地鳴りの音はどんどん大きくなっていき、遂には地面が揺れだしたのだ。
一応立ってはいられるが、そこそこ大きい地震だ。
「(……ふむ。どうやら地属性の魔法のようだが、一体なにをするつもりだ?)」
そんな事を考えていると……今度は、バキバキバキ――ッと、突然地面が割れた。
「……ッ……!?」
そしてアイシャを中心とし、四方八方に亀裂が走っていく。
当然、その亀裂はこちらにも向かって来る。その一つが俺の足元を通過した。
センリはすぐにその場を離れる。
「……おいおい、マジかよ……」
そして自分がいた場所に生じた一筋の亀裂を見下ろし、頬を引き連らせながらそう呟いた。
しかし当然、これで終わりではないだろう。
さらに地面に力が加わり、結晶の左右で地面が亀裂に沿ってズレ、数メートル隆起する。
そして―――。
地震を起こした張本人、アイシャは地面から右掌を離して立ちあがり、結晶を睨み付けて―――
「―――《大地衝破》!!」
広げていた掌を、一気に握り締める。
すると、それに同調するかのように、結晶の左右で隆起していた大地が、結晶を巻き込んで激しく衝突した。
―――大地と大地が正面衝突。
西エリアは、激しい衝突音と衝撃波に襲われた。
そして、それから数十秒後。
砂埃などが舞っていた西エリアがようやく落ち着きを取り戻し、俺はアイシャの記録を確認する。
―――【7450】。
「…………」
まさか、セレスティーナの『爆風魔法』を超える記録を叩き出すとは……。
隣のソーマも驚いたような表情をしていた。
そして、試験を終えたアイシャはロゼリアを見つめて、
「……よろしいでしょうか?」
「ええ。アンタも『魔法威力』の試験は終わりよ。他の試験も頑張んなさい!」
「……はい」
そう言って会釈し、アイシャも西エリアを去っていった。
……まぁ、恐らく南エリアに行くんだろうな。
そんな事を考えていると、再びロゼリアが例のセリフを口にする。
「……それじゃあ、次に試験を受けたい人は名乗り出なさい!」
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