勇者の魂を受け継いだ問題児
*噂の編入生、センリ・ヴァンクリフ*
―――アストレア帝国。
帝都近郊バンダグラム。
帝都ミッドガルドの近郊都市であるバンダグラムは、魔法学を中心に発展してきた。
そして、バンダグラムには、帝国有数の名門校【聖グラムハート学院】がある。
聖グラムハート学院は、帝国中のエリート子女たちが通い、勉学に励む、由緒正しい教育施設だ。
そんなバンダグラムにある、とあるファミリーレストランにて。
「ねーねー、フィリス~。知ってる? あたしたちのクラスに編入生が来るらしいよ~?」
「……編入生、ですか?」
『フィリス』と呼ばれた銀髪の少女、フィリシアが、一度パンケーキを食べる手を止め、編入生の話題を振ってきた青髪の少女に訊ねる。
そして、フィリシアの正面に座る青髪の少女が、満面の笑みで続ける。
「そうそう!しかもその編入生、男子なんだってさ~。名前は確か……ヴァンなんとかだったような……。まあ、名前はいいのよ!問題は……その人、カッコよかったりするのかな?」
「……ふふっ、どうでしょうね」
フィリシアが微笑して、もう一口、パクリとパンケーキを食べる。
すると、フィリシアの斜め前に座っていた気の強そうな赤髪の少女が、ストローでアイスコーヒーを啜りながら、ため息混じりに言ってくる。
「……止めておきなさいよ、そんな馬鹿げた話」
「な、なによっ!?」
「……そういうのはね、期待すればするほど、期待が外れたときのショックは大きくなるものよ?」
「……ぐ、ッ!?……そ、それは……まあ、そうかもだけど……」
「……大体、その話は本当なの?今は夏休みの真っ最中なのよ?この時期に編入なんて、普通に考えておかしいでしょう?……そもそも、私たちの学院に編入できる奴なんて、良いとこのボンボンか、どっかの名門校の特待生くらいでしょうが……」
「……う、うぅ……っ」
「まったく……いつもいつもそんな情報をどっから仕入れて来てんのかは知らないけど……シャノン?アンタ、少しは疑う事も―――」
「うわぁーーん!フィリスぅ……サヤっちがっ!
サヤっちがあたしの事いじめてくるよぉ……っ!!」
「あ、あはは……」
泣きついてくるシャノンを、苦笑しながら頭を撫でるフィリシア。
「まったく……フィリスも、あんまりシャノンを甘やかしすぎると、この子の為にならないわよ?」
「ふーんだっ!!サヤっちと違って、フィリスは優しいんだよ? そんな事言ってもフィリスだったら……」
「シャノンさん、私もサヤさんの意見に賛成ですよ?」
「うわぁーーん!!フィリスまでぇーーーッ!!」
その言葉で、再びフィリシアの膝に踞るシャノン。
その様子を見て、サヤがため息を吐し……
「……そんなにその話を信じて貰いたいなら……証拠はあるの?」
「………………」
「?」
「あ、あの……シャノンさん……?急に黙って、どうしたんですか……?」
「…………クッ、クククククク…………」
フィリシアの膝に踞りながら急に黙ったと思えば、今度は肩を震わせて、不気味に笑い出すシャノン。
そんなシャノンを見て、二人は若干引きながらも、シャノンに問いかける。
「……シャ、シャノンさん……?」
「あんた、かなり気持ち悪いわよ……?どうしたの?」
「……サヤっち!」
「……な、なによ……?」
そしていきなり立ちあがり、サヤを指差しながら、迫力のある大声でシャノンが言い放つ。
「その言葉を待ってましたぁーーーッ!!!」
―――そして、数秒後。
ウェイトレスさんに注意され、謝罪しながら元の席に戻るシャノン。
そして、
「……そ、その言葉を待ってましたぁ……」
「…………」
「…………」
今度は小声で同じ事をもう一度言うシャノン。
当然、先程とは違い、迫力が欠片も無いシャノンの言葉に、二人は沈黙する。
―――虚しい。虚しすぎるっ!
……今度は本気で泣きそうになるレベルだ。
そして、そんな虚しい沈黙に終止符を打ったのは、フィリシアだった。
「……えと……そ、それでしたら、シャノンさんが言う……しょ、証拠?を私たちに見せて頂けますか?」
「(……こくこく)」
フィリシアの言葉にサヤも無言で頷き、そこでシャノンが、自分の鞄から一枚の写真を取り出した。
そして、その写真をテーブルの中心に、全員が見えるように置き、
「……これ、あたしたちが通っている聖グラムハート学院のエントランスホールで、先日撮られた写真なんだけど……」
「…………な、ッ………!!?」
「……こ、これは……!!」
そう呟くように言ったシャノンの言葉を、二人は聞いていなかった。
……決して、シャノンの声が小さくて聞こえなかったのではない。
―――その写真が、二人の理解を遥かに凌駕していたために、シャノンの言葉を聞いている余裕がなかったのだ。
※
―――数日前。
聖グラムハート学院、理事長室にて。
「っざけんなよ、テメェ!!」
「……別に俺は巫山戯てなどいない」
高級そうな椅子に座りながら、ユリウスが俺に差してきた物。
―――<ステータスプレート>。
ステータスプレートとは、いわば身分証明書のような物だ。
ここ、アストレア帝国に住む人間、全てが所持する事を義務化され、何か大きな事をする場合、必ず必要になる。
※例えば、『学校に編入、入学する』など。
そのステータスプレート本体には、持ち主の名前が書き込まれていた。
それ以外の個人情報は全てデータ化され、何処かのお偉いさんに、厳重に管理されているらしい。
つまり、何か犯罪などを犯したりすれば、
ステータスプレートにデータ化され、全て記録されるという事だ。
便利であり、不便でもあるこのカード。
優真が思っていた異世界より、この世界は技術が進歩しているようだったが、そんな事はどうでもよかった。
差し出された自分のステータスプレートを、ユリウスの目の前に突き出して、名前の書かれている部分を指差しながら言う。
「だったら、誰なんだよ!?『センリ・ヴァンクリフ』って!!……俺にはな、『才条優真』って名前があるんだ!! 一体、誰の許可得て人の名を勝手に改名してんだゴラァッ!!」
「…………」
「……この名はな……俺の恩人が付けてくれた名前なんだよ。『誰にでも優しく真っ直ぐに生きろ』なんて勝手な願いが名前の由来らしいが、俺は気に入っている……だから!」
「だから……"名"だけは変えるな、と?」
「……ああ」
その言葉に、目を瞑って嘆息し、ユリウスが告げる。
「残念だが、それは出来んな……」
「……ッ!!」
「君に姉君がいたという事は初耳だが……まあ、いい。 だが、何度も言うが、これに記載されている名は君の両親が付けた、この世界の本来の君の名前だ。……それとも、君はこの国の反逆者になりたいか?」
「……反逆者、だと?」
「そうだ。人類と魔王軍が戦争中、という話は一度したな? だが、それだけではないのだ。 ……実は、帝国同士でもいざこざがあり、他国とはあまり良い関係を築けていないのが現状だ」
ユリウスの言葉に、優真が本気で呆れる。
「……は?馬鹿かお前らは!?……魔王軍と戦争してるってのに、人間同士で争ってる場合じゃねーだろ……」
「……ああ。君の言う通りだ。我々人類が、仲間割れをしている場合ではない。だが、そうも言ってられないのだ。覇権争いやら、鉱石や石油の奪い合い……それだけではない」
さらに続けようとするユリウスの言葉を遮る。
「あー、もういい。大体分かった。……つまり、人間っつー生き物は何処の世界でも愚劣だって事だな」
センリの言葉に静かに頷くユリウス。
そこで、ハッキリした。
俺が、名前を変えなければならない理由。
このステータスプレートは、この帝国で、自分が産まれた瞬間から、持ち主の情報が記録され始める。
つまり、このステータスプレートを持っている人間はこの帝国の人間であるという事が認められ、逆に持っていない者は、外国のスパイという可能性があるという事だ。
そして、今、『才条優真』の名前で新しいステータスプレートを作成して貰うには、この帝国の人間だという証拠が必要になってくる。
しかし優真はこの国どころか、この世界の人間ではない。(ユリウスは元々、俺は『この世界の人間』だと言っているのだが……)
つまり、その時点で『反逆者の可能性があり』という結論になり、俺は……。
「………ん?」
―――しかし、そこでおかしな事に気づく。
ユリウス曰く、俺はもともとこの世界の住民らしい。
ユリウスの言う通り、本当に俺がこの世界の人間だ。と仮定する。
それそこが一番"おかしな事"なのだが、現に、地球からこの世界に転移しているのだ。逆があっても、なんら不思議ではない。
しかし、それなら一体、何故―――。
「……なぁ、お前に聞きたい事がある。 それで、もしその質問にお前が答え、俺が納得したのなら、お前の言う通りにしてやる」
優真の言葉を受け、怪訝そうに眉を顰めてユリウスが言う。
「……なんだ?」
そして、優真が一番疑問に思っている事を訊ねる。
「……お前は俺がこの世界の人間だと言っていたな」
「……ああ」
そして、俺が何の質問をするか、既にユリウスには伝わったようだ。
しかし、優真は続ける。
「……だが、俺が暮らしてきた世界は此処じゃない。 つまり、一度この世界から"向こうの世界"に転移させられた、という事だ。……一体それは、何のために?」
「…………」
ユリウスが口を閉ざす。
理由を知らないハズがない。
俺の記憶の件と同様、恐らくは言えないのだろう。
しかし、これだけは何がなんでも知る必要があった。
今後、この世界で生活していくにしても。
向こうの世界に戻って生活していくにしても。
そして、ユリウスの返答を黙って待つ。
そして、数秒後。
鋭い眼光で此方を見据え、ユリウスが言った。
「……先に結論を言う。……まだ言う訳にはいかない」
「…………」
―――"まだ、言えない"
そう答えるだろうと、分かっていた。
一体どんな事情があるのかは知らないが、ユリウスが嘘をついているようには思えない。
なら、本当に言えないのだろう。
だが俺も、『はい、そうですか』と納得できる訳もなく……
「……何故?」
どうせ、それも答えないだろうと予想はしつつも、訊ねてみる。
しかし優真の予想は外れ、それだけは答えてくれた。
「……『掟』だからだ」
「……掟?それは一体――」
――どんな?と、訊ねようとした瞬間、ユリウスは遮って、補足してくる。
「この世界には数多の"神"が存在する。その神々が決めたルール。それが『掟』だ」
「…………」
「この世界には様々な掟があるのだが……その掟の中に、決して犯してはならない三つの罪がある」
「……罪?一体どんな?」
「そうだな……判りやすく言えば、『死者の蘇生』と『歴史の改変』。それと『他世界への転移』だ。 ……あとは、言わずとも分かるだろう?」
「…………」
つまりは、そう言う事だった。
  なら、ユリウス(たち?)は、俺をこの世界に召喚した事により、掟とやらを破り、罪を犯したという事になる。
―――なら、
「掟を破ったらどうなる?」
「……どうなるのか……それは、俺にも分からない。
……まあ、恐らくは神々による、"人類の滅亡"か……?」
「……な、ッ……!?」
―――人類の滅亡。
そんな事を平然と言うユリウス。
つまり、それだけの力が神にはあるという事だ。
そんな神様を相手に宣戦布告してまで、どうして俺を……?
しかし、その質問には答えてくれないだろうと判断し、今、自分がすべき最適解は何かを考える。
そして、
「……ったく……わーったよ。 お前の言う通り、この世界では、その"ヴァンなんとか"って名前で生きていく」
「……ああ、助かる」
「―――だが、いずれは話してくれるんだろう?」
「……ああ。然るべき時に、必ず話す」
「……そうか、ならいい」
そして、『センリ・ヴァンクリフ』という名が刻まれたステータスプレートをポケットの中に突っ込んで、踵を返す。
―――人類滅亡。
恐らく……いや、間違いなく俺自身も対象だろう。
完全に俺は被害者だが、自分も対象になっている以上、従うしかないだろう。
―――それに、
「(……俺の空白の記憶……もしかすると……)」
一人、そんな事を考えながら、ドアノブに手を伸ばした瞬間、背後からユリウスの声が飛んできた。
「……なにかと分からない事があるだろうが、その際は『リリアナ・クリシュトフ』に聞くといい。 彼女は君の監視役でもあるが、サポート役でもある。頼りにするといい」
「……ああ」
センリは、短くそう答え、理事長室を後にした。
※
「……にしても、本当に広いなぁ……ここ」
理事長室を後にしたセンリは、廊下を歩きながらそう呟いた。
今は夏休み期間中で、廊下には人気がほとんどない。
廊下の窓から見えるグラウンドでは、運動部が活動している。
そんな、学校では当たり前の……センリにとっては久しぶりの光景を目の当たりにし、最初に放った言葉が……
「……チッ、相変わらず似たような服装の奴等がちょこまかと……。 一体、何が楽しいのかねぇ……あれ」
呆れ半分、疑問半分でそう呟く。
「……つーかこの後、俺はどこに行けばいいんだ? 今後の事について、ユリウスに何も聞いてなかったな。かといって、また戻るのも嫌だし……。 リリアナを頼れとか言っていたが、肝心のリリアナがいないんじゃなぁ……」
「つーか、アイツ俺の監視役とか言ってなかったか!? しっかりと監視してなきゃダメだろ!? ……まぁ、いないならいないで、その方が気楽でいいんだけどな……」
そう言って再び歩きだそうとした瞬間。
背後から女の声がした。
「……そこにいる貴方、動かないでちょうだい」
「……あ?」
センリの周囲には人がいなかった。
俺に言ったのだろうと理解し、『動くな』という指示を無視して振り返る。
そして、そこにいたのは綺麗な長い金髪をした、一人の女子生徒だった。
今まで出会ってきた人の中でも、かなりの美少女。
凛とした佇まいに整った目鼻立ち。
 意思を感じる青い瞳は、雲一つない蒼穹のようだ。
しかし彼女は一見すると、気が強そうで、どことなく近寄りがたいオーラのようなものを感じる。
まるで、それは鋭利で脆くもある、透明なガラスのような―――。
「…………」
「……ねぇ、私の話を聞いているの?」
「……あ?」
「貴方、見ない顔だけれど、この学院の生徒ではないわね? ここは、聖グラムハート学院。関係者以外の立ち入りは禁止されているのよ」
「……あー……」
うわ……この人めんどくせぇ~!
別に俺だって、こんな所に来たくて来てる訳じゃねーんだよ!
「…………?」
今まで、意味のある言葉を発していないセンリを訝しげに見据える金髪少女。
しかし、このままだと更に面倒な事になりそうなので、適当に返答してみる。
「……えーと、道に迷ってしまって……」
※
「……編入生……?」
「ええ。……先程、アルバート理事長と編入の手続きを……」
などと、色々説明すること数分。
金髪少女は理解が早く、すぐに事情を飲み込んでくれたようだ。
そして、先程の刺々しい口調から一転、穏やかな口調で微笑しながら言ってきた。
「あら……そうだったの。ごめんなさいね?
急に問い詰めたりしてしまって……でも、これも仕事の一環なのよ」
「……仕事、ですか?」
「ええ。生徒会のね……。 見回りをしている最中に貴方を見つけて、声をかけたのよ。これでも副会長なんだから」
「……ああ、そうだったんですか」
「それで……ええと……」
金髪少女の言葉が詰まり、申し訳なさそうに此方を見つめてくる。
そしてその時、まだ自分の名前を言ってなかった事に気づき、センリは慌てて頭を下げて名乗る。
「……えーと、申し遅れました。才じょ――センリ・ヴァンクリフと申します」
今後の学院生活で、誰とも関り合いになりたくないセンリ。
変な態度をとって悪目立ちしたくないので、使いなれない敬語で丁寧に名乗ってみるが、敬語で話す事に神経を使っていたので、危うく本名を名乗ってしまうところだった。
全力の敬語で話すセンリの態度も気にせず、金髪少女が柔和に微笑みながら、名乗り返してきた。
「私は2年のルセリア・フリーズライトと言います。以後、お見知りおきを」
優雅な仕草で、恭しく頭を下げるルセリア。
頭を下げた時、絹糸のような細い髪の毛が、さらさらと零れるように流れた。
「……ルセリアさん、ですね?俺――私も2年からなので、再びお会いする機会もあると思いますが、その時はよろしくお願いします。 ……それでは生徒会のお仕事、頑張ってくださいね? ……では、これで……」
お互いの事情を理解した今、早くこの場を立ち去りたいセンリは会話を終わらせるべく、適当に相づちを打って立ち去ろうとするが、
「待って、センリくん!」
「……え?」
急に名を呼ばれ、振り返るセンリ。
そして、ルセリアが言ってくる。
「迷った……と、言っていたわよね? せっかくだし、この学院を案内するわ」
「……は?」
硬直するセンリ。
まあ、確かに編入生を案内するのは当然と言えば当然かもしれない。
しかし、別に案内などされなくとも、最低限の場所、自分の教室と学院の出口さえ覚えておけば十分なのだ。
教室は後で先生に教わるだろうし、出口の場所も学院に入ってきた時に覚えていた。
今のセンリが知りたいことは、"今後、自分が何処でどうすべきか"。
俺はさっさと、仕事放棄しているあの黒髪女を探し出し、色々と問い詰めなければならないのだ。
だから、ルセリアに構っている……いや、構われている暇はないのだ。
なので、失礼のないように立ち去ろうとする。
「い、いえ……見回り中でしたよね? どうぞお構い無く……」
「ふふっ、気にしないで頂戴。 編入生の案内も生徒会の仕事の一環よ?」
「…………。(ですよねー)」
今さらになって、『道に迷った』などと、後先考えずに言い放った過去の自分をぶん殴ってやりたい。
もう、こうなったら案内して貰うしかないだろう。
本当にめんどくせぇ……
「……じゃあ、お願いします……」
「ええ。 ところで、センリくん。どこか案内して欲しいところはあるかしら?」
「あ?ああ、そうですね……それなら、頻繁に使う部屋などを案内して貰えますか?」
「ふふっ……そうね、わかったわ」
「……ああ、それと。出来るだけ手近なところでお願いします。 これから色々と用事があるので……」
「そう。わかったわ」
「……よかったです。ルセリアさんが話の分かる人で」
センリがそう言うと、苦笑してルセリアが訊ねてきた。
「話が通じないように見えたかしら?」
「いや、そうではなくて……なんというか、すごく"真面目な人"って感じだったので……」
「真面目、ね……例えば、どんなところが?」
そんな事を訊ねられる。
ハッキリ言って見た目からして真面目キャラだが、そんな事を言っても彼女は納得しないだろう。
こういう場面は、具体的に言えば納得してくれると、昔、姐さんに言われた。
なので、
「しっかりと、仕事をしているところですよ」
「…………。別に、生徒会の人間なら、見回りくらい普通だと思うけれど?」
「……なら聞きますが、その生徒会のメンバーで、今現在、貴女以外に見回りをしている人は、一人でもいますか?」
「…………。いないわね。 でもそれは、決してサボっている訳ではなく、他の仕事を生徒会室で行っているだけよ?」
「なら、貴女は他のメンバーのように、生徒会室で仕事をしなくても大丈夫なんですか?」
「生徒会室でやる仕事ならとっくに終わらせたわ」
「……つまり、必要以上に仕事をしているという事ですね?」
「……それの何がいけないの?」
先程までの穏やかな口調から、少し声が低くなる。
しかし、無視してセンリが続ける。
「……別にいけない訳ではありませんよ。ですが、何故、わざわざ人の少ない夏休み期間中に見回りをするんです?」
「……それは、生徒たちが安心して学院生活を送れるよう、日々日頃から―――」
「違いますね。確かに"そう"も思っているでしょうが……。一番の理由は他にあるんじゃないですか?」
「……ッ……!?」
「……まあ、これ以上、詮索するのは止めておきます。ですが、忠告はしておきますよ?」
「…………」
「いつまでもそんな生活を続けていたら、いつか本当に後悔する日が必ず来ます。 努力するのは結構ですが、努力し過ぎるのは体に毒ですよ?」
「…………。貴方からの忠告、感謝するわ。確かに貴方の言う通りかもしれない……。けれど、私はこの生活を変えるつもりはないの」
そう、キッパリと宣言するルセリア。
それに呆れ半分にため息を吐きつつも……
「いえ、最終的に決めるのは自分自身ですから……私に言われたからと言って、無理に変える必要はないと思います」
「そう。……ねぇ、センリくん。もう一つ質問、いいかしら?」
「……はい?なんです?」
そうセンリが訊ねると、蒼穹色の瞳で此方を真っ直ぐ見据えたルセリアが問いかけてきた。
「―――貴方は一体、何者? 貴方はその歳で、一体どんな経験をしたというの?」
「…………。……は、はははっ」
「…………?」
「私が何者か、ですって? 見ての通り、ただのしがない編入生ですよ!」
「……そう」
「…………」
センリはそう答えたが、センリの表情が一瞬、ほんの一瞬だけ曇った事にルセリアは気づいていた。
しかし、誰にでも言いたくない事くらいある。
ルセリアは見なかった事にして、センリの案内を始める事にした。
「―――それではセンリくん。改めて、聖グラムハート学院を案内するわ」
「はい。よろしくお願いします」
そう言って、ルセリアが歩きだす。
センリもその後を追うように付いていく。
そして、歩きながら聖グラムハート学院の事をわざわざ説明してくれる。
「聖グラムハート学院は、ここ、バンダグラムだけでなく、帝国中の生徒たちが通っているの。この学院には3千人以上も在籍しているのよ」
「なるほど、本当に大きいんですね」
「ええ。設備や教育体制までなんでも整っている、最新の学院ね」
それから俺は様々な場所を案内して貰った。
ルセリアが在籍している荘厳な扉のある生徒会室。
この学院の教師たちが集まっている職員室。
他にも色々と案内され……そして、俺たちは学院の中央にある広い場所へとやってきた。
―――エントランスホール。
いわば、この学院の玄関だ。
「学院はエントランスホールを中心に各棟へ行けるようになっているのよ。とりあえず迷ったらこのエントランスホールに戻ってきて、ここの案内板を確認するのがいいと思うわ」
「……なるほど」
「ちなみに、こちらが研究棟。こっちが技術棟に部室棟。そしてあっちに体育館やプールがあって……そこの階段を下りれば昇降口から外へ出られる。 ……ふぅ、多すぎて全ては案内しきれないわね」
案内開始から30分以上は経った。
それでも回りきれないほど、この学院は広かった。
まあ、一万人も在籍しているのならば、当然かもしれないが。
だが、いい加減そろそろ切り上げて、リリアナを探さなければならない。
なので、センリが社交辞令というお世辞を口にする。
「いいえ、もう結構です。ですが、本当に助かりました。学院の事は大体分かったと思います ありがとうございました」
そう言って、会釈する。
それに微笑みながら、
「いいえ、私も楽しかったわ。では、センリくん。これから、よろしくね」
そう言って、ルセリアがスッと手を差し出してきた。
「はい、こちらこそ」
そう言って、俺も手を出して彼女の誠意に答える。
ルセリアの手はひんやりとしていて冷たかったが、どこか意思を持った力強さを感じた。
「それにしても、握手で挨拶なんて珍しいですね」
「……あっ、そういえばそうね。 どうして私、握手をしたのかしら?」
「…………?」
「いえ、握手なんてあまりしたことがなかったの……」
「そうなんですか?」
「不思議……なんでかしら……?」
小首を傾げながらルセリアが考え込む。
顎に手を当てる仕草が、思ったより似合っていた。
「……あ。ご、ごめんなさい。 そういえばセンリくんは、この後用事があるのよね」
「……ええ、それでは」
そう言って二人は別れた。
―――しかし、その時センリは知らなかった。
このエントランスホールでのルセリアとの、たった一度の"握手"が、これからの学院生活に大きく影響する事になるとは……。
ルセリアと別れ、ようやく一人になれたセンリは、階段を下りて昇降口へと向かい、学院を出る。
「あー、疲れた……。ったく、なんで俺が敬語なんか……」
大きなため息を吐きながら、校門へと向かう。
「……大体、ユリウスもユリウスだ。 あの野郎、人を異世界に呼んでおいて大した説明もせず『それは言えないな……』だの、『……君が知る必要のない事だ』だのと……クソかっての!! あの馬鹿!阿呆!頓馬!!」
そんな事を言いながら、校門を抜けようとした瞬間、背後から聞き覚えのある女の声がした。
「……それ以上、ユリウス様を愚弄するのは許しませんよ?」
センリは声がした方に振り向く。
すると、そこには濃紺のブレザーを着た小柄な少女が立っていた。
長い黒髪に、黒い瞳。
眠たげに細められた目で、此方を睨み付けてくるその少女は、センリの監視役であるリリアナ・クリシュトフ。
此方もリリアナを睨み返し、訊ねる。
「……いつからいた?」
センリの問いかけに、リリアナが短く答える。
「最初からですよ」
「…………」
「……私は貴方の"監視役"だと言ったはずです。 その私が、貴方を見過ごすわけないじゃないですか」
「……あっそ。どんな手を使って監視していたのか知らねーが、せめて姿は見せてくれないか?」
「嫌ですよ。貴方と一緒にいるところを見られたくないですし」
「…………」
などと、ツンデレの可愛さの欠片もない一言。
恐らく照れ隠しなどではなく、本心からそう思っているのだろう。
なので、センリは諦めて質問を変える。
「……俺はこれからどうすればいい……?」
「貴方の好きにすればいいじゃないですか。別に、貴方が何処で何をしようと私の知った事ではありませんので。……あ、でも犯罪だけはやめてくださいよ?」
「んな事するかっ!!……大体、ステータスプレートがあるなら、犯罪なんか出来ねーだろうが」
「……それもそうですね」
「…………」
「ああ、そうそう。どうしようもない貴方に一つ、忠告しておきます」
「……あ?なんだよ」
"どうしようもない" とか聞こえた気がするが、リリアナと対話するに当たって、いちいちそんな『些細な事』を気にしていたら切りがない。
リリアナの余計な一言は無視して訊ねる。
「……あ、でもその前に一度、貴方のステータスプレートを見せていただけませんか?」
「…………?」
リリアナからの突然の要求。
一瞬、不審に思ったが、とりあえずポケットからステータスプレートを取り出して、リリアナに渡す。
それを受け取ったリリアナは、俺のステータスプレートをじっくりと見てから、先程の忠告を言い出した。
「……ステータスプレートとは、犯罪や実績などの経歴を記録する物と同時に、個人を特定する為の物でもあるんです。 なので、個人情報となるコレは、あまり他人に見せびらかさないようにした方がいいですよ」
などと、言ってくる。
センリは一瞬、何を言われたのか分からないように固まって……そして、直ぐに理解できた。
「……てめぇ、クソッ!! 返しやがれ!!」
慌てて、リリアナが持っている俺のステータスプレートへと手を伸ばす。
しかし、リリアナはその俺の手を華麗に躱し、一瞬で俺から距離を取った。
「……何もする事がないんでしたよね?
でしたら、私と少しゲームをしましょう」
「ふざけんな!!」
センリが怒鳴る。
しかし、それを無視してリリアナが続ける。
「私はコレを持って逃げます。貴方は私を捕まえて、私から"これ"を奪い取ってください。 ルールは学院の外に出ない。それ以外でしたら何でもアリです。そして制限時間は今から一時間。 ……それでは、よーいスタート」
それだけ言って、とてつもない速さで走り去り、校舎の中に入って行くリリアナ。
それを、ただただ呆然と見つめ……思い出したようにセンリも駆け出し、
「オラッ!待ちやがれ、この狸女!!」
怒声を上げながら、リリアナの後を追う。
※
―――その頃、理事長室では。
「……クリシュトフ。少しは加減しておけよ? お前が本気で逃げれば、今の彼では決して捕まえられないだろうからな」
私の主であるユリウス様の言葉に、軽く頭を下げてから答える。
「……ええ。勿論、分かっております」
「……ならいい」
「……しかし、どうしてこのような事を彼にさせるのでしょうか?」
これをやれと言ったのは、他の誰でもなく、ユリウスなのだ。
正直、こんな"追いかけっこ"にあまり意味があるとは思えない。
そして、私の質問にユリウス様の反応は……。
「…………」
……無反応。
つまり、"話す必要のない事"という事だ。
私は直ぐに理解し、謝罪の意味を込めて再び頭を下げる。
「……クリシュトフ」
「はい」
「彼を……センリ・ヴァンクリフの事をよろしく頼む」
「…………」
「彼は人類最後の希望だ。
……今後、彼の身に幾度となく危険が及ぶだろう。
……その時は、お前の命に代えても彼を護ってやってくれ」
―――人類最後の希望。
ユリウス様はそう言うが、見たところ、私自身の命を懸けてまで護る価値が、彼にあるとは思えない。
そして、彼が人類の希望というのが本当かどうかも分からない。
だが、私にとってそんな事はどうでもよかった。
彼が人類の希望であろうとなかろうと、ユリウス様に護れと言われたのだ。
なら、私の答えは既に決まっている。
「……仰せの通りに」
「助かる」
「……それでは、失礼しました」
ユリウス様の言葉に、私はもう一度頭を下げて、理事長室を後にした。
そして、
「……すまん。リリアナ……」
リリアナが消えたドアの向こうを暫く見つめた後、目を伏せて小さく呟く。
本来、自分の従者に命に関わるような危険な命令はしたくない。
しかし、アルバート公爵家の次期当主候補である以上、彼の事を24時間365日、監視している事は不可能だ。
だから、数多くいる俺の従者の中でも特に優秀な人材であるリリアナに、彼の監視役を口実とした"護衛役"を頼んだ。
彼女は自分が死ぬかもしれない危険な命令を、大した説明も無しに快く引き受けたのだ。
彼女には感謝しているが、半分、申し訳ない気持ちもある。
―――しかし、
「……そんな甘い事を言っていても、人類に勝ち目はない。……そうだろう?ジェラード」
ジェラード・ヴァンクリフ。
魔王を討つべく共に旅をした、今は亡き友人の名を静かに呟く。
と、そこで、ユリウスの背後から女の声がした。
「……なーに、辛気臭い顔して窓の外を眺めてんのよ?貴方らしくないわねぇ」
妙に馴れ馴れしい言葉遣いに、ユリウスが忌ま忌まし気に振り返る。
するとそこには、見た目はユリウスと同じくらいの歳で、スタイルのいい茶髪の女が、苦笑しながら此方を見つめていた。
「ロゼリアか……今はあの頃と違い、理事長と教授という立場だろう? 少しは上の者に対して、敬語の一つでも使ったらどうだ?」
ロゼリア・ヴァンクローネ。
今はそう名乗っている。
彼女も我々と共に旅をした仲間の一人だ。
かつては『戦慄の魔女』と恐れられ、最恐の魔法使いと称されるほどの実力者だった。
そのロゼリアが、笑いながら言い返してくる。
「そう言う貴方も、少しは年輩の女性に敬語の一つでも使ったらどうなの? 剣の事しか能が無かった貴方に魔法を教えたのは一体誰だったか、忘れたわけではないわよね?」
「……そんな事を言う為だけに、わざわざ此処へきたのか?」
「いーえ。私もそんなに暇ではありませぇーん」
「…………。(……嘘つけ)」
昨日もここで大量の酒を飲み散らかしていた奴が何を言っている?
そして現に今、ロゼリアの片手には一本の酒瓶が握られていた。
しかし、そう言いたい気持ちをグッと抑え、話を変える。
「……君の息子、センリ・ヴァンクリフが、自分に姉がいると言っていた。……それは本当か?」
もしそれが本当なら、その姉も護衛対象にする必要がある。
そんな事を考えるユリウスに、ロゼリアが答える。
「……んふふ~……。 ……ええ。いるわよ~」
「……ッ……!! ……今、何処にいる?」
「……んー?……ここにいるじゃな~い……」
―――此処にいる。
しかし、理事長室には、俺とロゼリアの二人しかいなかった。
「……何処にもいないだろう?」
「わたしぃ~」
「巫山戯るな。……もしや貴様、半分酔っているな?」
「……別にふざけてなんていないわよ~?
実際、あっちの世界で優真に『君の姉だ』って名乗ったんだから~。 まあ、優真は姉さんじゃなく、姐さんってしか呼んでくれなかったけど……」
「…………」
「……でも、あんま優真をいじめないで頂戴ねぇ~?
……私、怒るとちょ~っと怖いんだぞぉ?」
などと、へらへら笑いながら言ってくるロゼリア。
しかし、そんな彼女から一瞬、ほんの一瞬だけ殺気を感じた。
それはかつての『戦慄の魔女』と恐れられていた頃のロゼリアを思い出す、圧倒的な絶望を相手に与える威圧。
それを、正面から受け止め、
「(……なるほど。警告しにきた、というわけか……)」
心の中でユリウスがそう呟く。
しかし、
「……うふふ~ん……」
5秒前、現・人類最強の聖騎士と称される『光の剣聖』に殺気を放った女とは思えない呑気な面で、酒を呷り出すロゼリア。
そして、
「……ユ~リ~ウ~スぅ~、貴方も一杯ど~う?」
「帰れ!!」
※
―――学院のエントラスホールにて。
「……ぜぇ、ぜぇ……くそ、が……なんで捕まえられねぇんだよ……ッ!!」
学院内を走り回り、リリアナを追いかける事50分。
追いつめた、と思ってリリアナに手を伸ばすも、何故かスルリと躱される。それの繰り返しだ。
そして、今のリリアナといえば、逃げる事を止め、
「……そろそろ、1時間経ちますよ~?
少しは学習してください」
「……るっ、せぇ……はぁ、はぁ……」
センリは息を荒くしてリリアナを睨む。
そんなセンリに近づいて、訊ねる。
「……さて。どうして貴方が私を捕まえられないか、理由は分かりますか?」
しかし、センリは動かない。
先程まで、リリアナにこの距離まで近づいても、触れる事すら出来なかったのだ。
なので、センリは忌ま忌まし気に言い放つ。
「……分かってたらとっくに捕まえてるっての!!」
「……まあ、それもそうですね。 何度も言いますが、相手の動きを読まなければ、一生私を捕まえられませんよ?」
「だ・か・ら! それが分かんねぇって言ってんだろうが!!」
「…………」
―――本当に、彼に私の命を懸けてまで護衛する価値があるのだろうか。
動きもワンパターンで、学習しているのか分からない。
学院の外に出なければ何でもありのこのゲームで、一切魔法を使おうとする気配もない。
先日、彼がエルフの森を焼き付くしたとユリウス様に聞き、自分の護衛対象は一体どんな人なのだろうかと気になっていたのだが、ユリウス様の言葉も疑ってしまう程に彼は弱かった。
ハッキリ言って、今の彼にエルフと戦える力があるとは思えない。
それに、完全に戦場を知らない人間だ。
一体、ユリウス様は何を考えているのか。
そして、彼で一体何をしようとしているのか。
それを考えたところで無駄だとは分かりつつも、やはり気になる。
そんな事を考えていると、気づけばゲーム開始から1時間が経っていた。
「……おやおや。時間ですね」
「……あ?」
時間になったので、ここでゲームは終了だ。
私は彼から数歩だけ離れて、彼のステータスプレートを取り出し、投げ返す。
そして彼はそれを受け取り、此方を睨み付けながら訊ねてくる。
「……なんのつもりだ?」
「……いえ。"それ"がなくては、今後貴方は何も出来ないので、お返し致します」
「……なら、一体何の為にこんな"くだらない遊び"をしたんだ?」
「……さぁ?どうしてでしょう?」
「……お前なぁ……」
彼が呆れたようにため息をつく。
しかし、私も同じだった。
なんの為にこんな事をしたのか、最初は理解出来なかったが、ここでようやく、ユリウス様が何を考えてこの"遊び"をしたのか理解出来た。
「……貴方、もしかして魔法が使えないんですか?」
「…………」
私の質問に、彼が黙る。
図星だ。
最後の最後まで、彼は一切魔法を使わず、結局、自力で私からステータスプレートを奪う事が出来なかった。
そして、ユリウス様が何故"追いかけっこ"をさせたのも、彼が魔法を使えないと分かった今なら理解できる。
このゲームをする事で、彼の動きの癖や息遣いなどの、総合的な基礎戦闘能力を見る事が出来る。
それを私に見せ、現状の深刻さを伝える為にこのような事をさせたのだ。
そして、ユリウス様が私にそんな事をさせた理由も、もう分かっている。
「(……護衛しながら、彼を鍛えろという事ですね……?)」
最強の種族、吸血鬼といえど、魔法が使えないのでは本当に使い物にならない。
主からの過去最大難易度の命令に苦笑しながらも、当然、私に拒否するつもりはない。
「……夏休みは長くありません」
「……は?」
突然、意味不明な事を言い出すリリアナに、首を傾げる。
そして、リリアナが補足して続けた。
「あと約1週間の間で、貴方には何としても魔法を使えるようになって頂きます。 今日は宿にでも泊まってください。 そして、明日からは猛特訓です。……覚悟してくださいね?」
そして、たった約1週間の間で魔法を使えるようにするという、無理難題の命令に答えられるよう、彼専用の効率の良いカリキュラムを組むべく、思慮を巡らす為にその場を立ち去るのだった。
―――そして一人、学院のエントラスホールに取り残されたセンリは……
「だ・か・ら! その宿が何処にあるんだって聞いてんだよ!!」
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