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コング“シルバーバック”

第40話 執事とメイド 〜認定試験篇〜

 竜夜も同じ宿に部屋を予約していたらしく、四人で宿へと向かった。

「ーーーってことがあったんですよ!」

「マジかよ! お前ついてねぇな!」

 移動の間に奏鳴と竜夜は意気投合した。
 単細胞奏鳴はともかく、竜夜も割と気さくで明るくフレンドリーな奴だったので自然と馬が合ったようだ。

「お、着いたな」

 今日四人が泊まる宿は地元では割と有名だという、花園苑はなぞのえんだ。観光パンフレットにも載っている。

「伊鳴様ですね。お部屋は菊の間で御座います。相楽様は百合の間で御座います」

 フロントで鍵を受け取った四人は一度別れて、午後六時にフロントに再集合し夕食にすることにした。




「はぁ〜、疲れたぁ〜」

 奏鳴は部屋に入ると同時に床に倒れる。確かに悠火と光秀も疲れが溜まっている。
 悠火は壁にもたれかかり、光秀は椅子に座る。

「あぁ〜疲れ……」

「「それ以上言うな」」

 人が疲れたと言っているのを聞くとどうしてこうも疲れるのだろう。
 リラックスしていると、重たい瞼が降りてくる。この睡魔にはどうしても勝てる気がしない。決勝で戦った時の奏鳴より強いかも、などとくだらないことを考えている内に、悠火は睡魔に飲まれてしまった。




「………さん、……火さん!」

 悠火は誰かに呼ばれる声で覚醒した。

「……ん……あと五分……」

「ダメです! 起きて下さい!」

 悠火が重たい瞼を上げると、そこには竜夜がいた。

「……何でお前がいんの?」

 この部屋は悠火たちの部屋だ。竜夜がいるはずない。悠火は夢だと思い二度寝に徹することにした。

「竜夜代われ、俺がやる」

 奏鳴のような声が聞こえる。
 そして、耳元で囁いてきた。

「狐々愛ちゃんが実家に帰らせていただきます、だってよ」

「はぁ!?」

 急に起き上がった悠火の頭が奏鳴の顎を捉える。見事なクリーンヒットだ。

「狐々愛! おい、それ本当か! てか、実家ってどこだよ!?」

『何じゃ? 妾は何も言うておらんぞ』

「本当か!? 本当に帰らない? 本当だったらお父さん泣くよ?」

『よくわからんが泣くでない! あと、妾の父親面するでない!』

 結果的に奏鳴のはったりは悠火の意識を完全に呼び覚ますことに成功した。

「痛ぇ〜」

 奏鳴が顎を抑えながら起き上がる。少し涙目だ。

「おい奏! 変な嘘つくなよ!」

「だって悠火に一番効くのは狐々愛ちゃんじゃん!」

 確かにその通りだが、今のは趣味が悪い。すると竜夜が不思議そうに尋ねてきた。

「狐々愛って誰ですか? あ、悠火さんの彼女さんですか?」

 そういえばまだ竜夜に紹介していなかった。
 これから同じ隊としてやっていくのならいつかは話さなくてはならない。

「そういえば紹介がまだだったな。狐々愛!」

 悠火はブレスレットから狐々愛を呼び出す。
 狐々愛はいつもの和装幼女の姿だ。

「初めましてじゃな。妾の名は狐々愛。悠火の式神じゃ」

「え! 悠火さんって式神使いなんですか!? それも妖狐の!」

 何か感覚が麻痺してたが、これが普通の反応なのだ。
 特級妖怪を式神にするなどほとんど前例が無い。

「何か妖狐ってもっと怖いかと思ってました。特級妖怪ですし」

 竜夜は狐々愛を物珍しそうに見つめている。

「大丈夫。狐々愛は小さくて可愛いし。優しくて可愛いし。喋り方も可愛いから」

「可愛い、可愛いうるさい!」

 狐々愛は顔を赤くして悠火に鉄拳制裁を下す。

「あ、俺の式神も特級妖怪だぜ」

 奏鳴の式神である二人のことも説明しておいたほうがいいだろう。

「黒奈、真白」

 奏鳴の呼びかけに応じて、二人が姿を現わす。
 そういえば悠火も二人を見るのは久しぶりだ。
 修行の初めの方に見て以来だから約二ヶ月ぶりくらいだ。

「紹介する。こっちが黒鬼の黒奈。で、こっちが白鬼の真白だ」

「よろしくな」

「初めまして。これからお世話になります」

 初めて黒奈と出会った時は服はボロボロ、髪はボサボサ、言葉遣いは荒いと言った感じだったが、今の黒奈は黒を基調とした綺麗な服を着ている。黒のズボンに黒のベスト、肩の辺りで切り揃えた綺麗な漆黒の髪は艶めき、前髪は白いヘアピンで留められている。
 一言で言うなら執事のような佇まいだ。
 そして真白はと言うと。

「お疲れ様でしたご主人様。肩をお揉みしますね」

 その言葉からわかるように、まさにメイドだ。
 白を基調としたフリル付きの服にスカート。完全なるメイドだった。
 黒奈より少し長めの白い髪は黒奈のストレートヘアに対して少しウェーブがかかっている。フワフワしていて猫のようだ。そして前髪は黒奈とお揃いの黒いヘアピンで留められている。
 黒奈と真白で執事とメイド。主人の趣味が伺える。

「……奏鳴さんの趣味ですか?」

 竜夜も同じことを思ったらしい。
 特級妖怪を二人も従えていることより、そっちが気になったらしい。

「違ぇよ! メイド服見て真白が気に入ったんだよ! それで黒奈はメイドは恥ずかしいからって」

 二人も頷いている。
 それでも多少の趣味が反映されている気はするが。

「そろそろ晩御飯食べにいくよ」

 光秀に言われ時計を見ると約束の六時を二十分過ぎていた。

「そうだな。飯だ飯!」

 狐々愛と黒奈、真白はそれぞれの依代に戻る。
 そして、空腹を思い出したかのようにお腹が鳴る。
 四人は顔を見合わせると、ダッシュで食堂へと向かった。




読んでいただきありがとうございます。コングです。

ほのぼの回は書きやすいですな。
黒奈と真白の執事、メイドは初登場あたりから決まってました。
違う! 僕にそんな趣味はない! 筈だ

それではまた次回!



2020/5/12一部改稿

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