人外と友達になる方法

コング“シルバーバック”

第37話 鬼パワーMAX 〜認定試験篇〜

 いよいよ決勝戦。
 悠火と奏鳴の試合だ。

「さっきの技凄えな」

「まだまだあんなもんじゃねぇよ」

「楽しみにしとくぜ!」

 闘技台の上で両者が対峙する。
 準備は万端、あとは試合開始の合図を待つだけだ。
 そして、いよいよその時が来た。

「始め!」

「行くぞ! 俺に憑依しろ! 狐々愛!」

 開始と同時に悠火は狐々愛を憑依させる。
 先手必勝だ。
 しかし、奏鳴はそれを読んでいたようだ。

「憑依しろ! 真白ましろ!」

 奏鳴は修行の間に黒鬼と白鬼に名前を付けていた。
 黒鬼には黒奈くろな、白鬼には真白ましろと。

「「おりゃぁ!」」

 二人の拳がぶつかり合う。
 生み出した衝撃波に耐えかねたギャラリー数人が吹き飛ばされたり、尻餅をつく。
 まさに二人の実力は決勝に相応しいものだった。

「凄い……やっぱり悠火は僕の時はまだ本気じゃなかったんだ……」

 悔しいが自分の力が悠火と奏鳴の二人に遠く及ばないことを認めるを得ない。
 しかし、それも仕方のないことだ。
 何せあの二人は特級妖怪を使役する式神使いなのだ。
 実力で言えば試験など受けずに今すぐにでも妖術師になれるだろう。
 周りで見ていたギャラリーも二人の妖力ちからの凄さに気付き始めている。

「あいつら凄えな!」

「あんな奴らに勝てるかよ!」

「憑依ってなんだよ?」

 悠火と奏鳴が修行で身に付けた技の一つが憑依だ。
 憑依とは簡単に言えば妖怪を自身の体に宿すことだ。
 そうすることで自身の妖力量、身体能力、忍耐力などが格段に跳ね上がる。
 そもそも憑依とは妖怪が人間に取り憑き体を乗っとる事なのだが、それを利用して妖怪の力の一部を意のままに操ることができるようになった。
 しかし憑依の習得には絶対条件として、式神が必要だ。
 つまり光秀は憑依が出来ない。
 この会場にいる者のほとんどは式神を持たない者だ。
 なので憑依を知らないのも無理はない。
 天元は先ほど自分を負かした正体がわかって納得した様子だったが。

「へっ! やっぱりお前も憑依を覚えてたか奏!」

「当たり前だ! こっちは鬼コーチに特訓されてんだ!」

 二人は目にも留まらぬ速さで移動し、攻撃してまた移動する。
 光秀でも影を取られるのがやっとだ。
 他の参加者たちは何が起こっているかわからないだろう。
 パッと見た感じ、状況を理解できているのは光秀を入れて十人もいないだろう。

「やっぱり出し惜しみしてたら勝てねぇな!」

 奏鳴は悠火から距離を取る。
 そして術式の詠唱を始める。
 詠唱による術式の威力は主に二つの要素で決まる。
 一つ目が妖力の練り方、そして二つ目が術者の妖力量だ。
 光秀は前者、悠火と奏鳴は後者が強力なためかなりの威力を誇る。
 どうして三ヶ月という短い間に光秀が妖力を完璧に扱えるようになったのかはまた今度話すことにしよう。

「術式展開・白雷びゃくらい!」

 眩く輝く白い雷が悠火に迫る。

「術式展開・灼火之弓しゃっかのゆみ!」

 悠火は燃え盛る炎を弓に変え炎の矢を射った。
 それらは互いにぶつかり合い爆煙を上げる。
 これでは目の前すらまともに見えない。
 しかし、奏鳴にとっては何の問題でもなかった。

「白雷!」

 爆煙の中から奏鳴の声が聞こえる。
 悠火は放たれる攻撃を何とか避けるがこのままではジリ貧だ。
 しかし、奏鳴はこの煙の中どうやって悠火の位置を把握しているのだろうか。

『白鬼の妖力感知じゃな。彼奴の感知能力は妖怪の中でもトップクラス、妾より上じゃ!』

「マジかよ……厄介だな……狐々愛は向こうの位置わからないのか?」

『わからない事はない、が……』

「が?」

『こちらから攻めると返り討ちに遭うやもしれん』

 向こうの方が索敵に分がある以上、こちらから攻めるのは得策ではない。

「てことは、奏が攻撃してきたところを一気に叩くって感じだな」

『そうじゃな……』

 悠火は全身の神経を研ぎ澄ませて奏鳴の気配を探る。
 奏鳴は攻撃してすぐに高速移動しているためなかなか居所が掴めない。
 攻撃を避けては気配を探り、また避けては探る。

「くそっ……埒があかない」

 煙が晴れるまでもう少しかかりそうだ。
 白雷を避けること数発、悠火は遂に奏鳴の気配を捉えた。

「そこだ!」

 悠火は気配のした方へ向かって全力で距離を詰める。

「術式展開・灼火之剣しゃっかのつるぎ!」

 悠火は炎の剣を振るう。
 炎の剣は爆煙を裂く。
 しかし手応えがない。
 それにそこにはもう奏鳴の気配もなかった。

「惜しかったな、悠火」

 悠火の背後右斜め後ろから奏鳴の声がした。
 悠火は体を捻って反応しようとするが奏鳴の方が一瞬速かった。

「俺の勝ちだ!」

 奏鳴が悠火を突き飛ばす。
 白鬼の力を宿した奏鳴の腕力は、悠火を突き飛ばすには十分すぎる程だった。

「くそぉぉぉ……」

悠火の声がだんだん小さくなる。

「あ、やべ」

 憑依した力を人に使ったことがなかった奏鳴は力加減を誤ってしまった。
 鬼の力で突き飛ばされた悠火は軽く百メートルは飛んだ。
 そして、森の中に落ちていった。




読んでいただきありがとうございます。コングです。

第2試験終了です。さあ、いよいよ認定試験篇も大詰めです。
僕の頭の中ではこの話の後に修行期間の話が来ると思いますが、どうなることやら。

コメント欄に妖怪を書いていただけると、作品に登場するかもです。ただ、マイナー過ぎると無理かも…
調べて出てきたら登場させてみたいです。

それではまた次回!



2020/5/6一部改稿

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