人外と友達になる方法

コング“シルバーバック”

第34話 認定試験開始 〜認定試験篇〜

 解放軍幹部との修行を経て、悠火たちは妖術師認定試験当日を迎えた。

「あ〜、緊張してきた〜」

「確かにね、でもあんなに修行したんだから大丈夫だよ」

「う、思い出しただけで気分が悪くなってきた」

 奏鳴はトイレへと駆け込んで行った。

「あいつどんな修行だったんだろ……」

「さあ……」

 修行は三人別々に行ったため実は未だに互いの成果を知らない。
 悠火は天狗に、光秀はぬらりひょんに、奏鳴は天空にそれぞれ修行を付けてもらった。

「どうだ光秀、合格出来そうか?」

「試験内容がわからないから何ともね……」

 試験内容は当日、試験直前に発表される。
 あと十分としないうちに発表の時間だ。

「あ〜、スッキリした。もう大丈夫だ」

 奏鳴とも合流し、三人は広場に設置されているベンチに腰掛ける。
 辺りを見渡すと、集中力を高めている者もいれば、ボクシングのシャドーをしている者もいる。
 何やら強面の集団にひたすら頭を下げている者もいる。
 果たしてあいつは、合格出来るのだろうか。

「よろしく頼むぜ、狐々愛!」

 狐々愛は今ブレスレットの中にいる。
 黒鬼と白鬼も同様に奏鳴の指輪の中にいる。
 指輪に向かって楽しそうに話しかけている。
 光秀は天空から貰った本を読み直して最終チェックをして最終調整をしている。

『任せるのじゃ! 絶対に合格するぞ!』

 狐々愛もやる気十分だ。

「注目!」

 広場の真ん中に立つ男が大声で叫ぶ。
 いよいよ試験内容の発表だ。

「今年の試験内容の発表を行う。諸君らには三つの試験を受けてもらう!」

 毎年試験内容は複数あるが三つが妥当だ。

「第一の試験は筆記試験である! 会場に移動せよ!」

 筆記だと!? 
 悠火と奏鳴は顔を見合わせた。
 知っての通り二人はバカだ。
 これはいきなりのピンチだ。
 会場となる建物に入り席に着く。
 普通の勉強すらままならないのに、ましてや今回は妖術に関しての筆記だ。

「始め!」

第一次試験が始まった。




「「終わった……」」

 光秀が二人の方を見ると二人は死んでいた。

「大丈夫だって、試験はあと二つあるんだし」

「「だよな!」」

 二人は一瞬で息を吹き返した。

(ホント単純)

 三人は次の試験会場の建物に向かった。
 そこは円形のドームのような建物だった。
 中には正方形の台がいくつも並んでいる。

「やけに広いな……」

 参加者全員で三百人以上はいた筈だ。
 その全員が入っても、かなりゆとりがある。

「第二の試験は戦闘だ! 対戦表はこちらで決めさせてもらった! 予選の後に決勝リーグだ!」

 ステージの上のスクリーンに対戦表が映し出される。
 三人のブロックは別れており、この予選では潰し合うことはない。

「それぞれの八つのブロックに分かれて戦ってもらう。ルールはシンプル、相手を場外にするか気絶、又は敗北を認めさせれば良い! 制限時間は五分、それ以内に決着がつかない場合は受けたダメージの多い方の負けとする! それではブロックに別れよ!」

 三人はブロックがバラバラのため一旦別れることになった。

「お、俺第一試合じゃん」

 悠火は闘技台に上がる。
 相手は筋骨隆々の壮年の男だ。

「すまんな若いの。手加減は出来んぞ?」

「いいよ、負けないから」

 そして試合開始のゴングが鳴る。

「試合開始!」

 男が一瞬で距離を詰めてくる。
 図体の割に素早い奴だ。
 それだけに惜しい。
 初戦が悠火ではなかったらいいところまで行っていただろうに。

「ふぅん!」

 男の拳が悠火を捉える。
 しかし、悠火はその場からピクリとも動かずに片腕で受け止める。

「それじゃ今度は俺の番だな!」

 悠火は男の腹に掌底を打ち込む。
 すると、男は気絶して膝から崩れ落ちた。

「Dブロック勝負あり!」

 悠火の勝利がアナウンスされる。
 その後も三人は苦戦することなくそれぞれのブロックの決勝まで進んだ。
 そして、そのまま三人とも決勝リーグに進出が決まった。




 戦闘の行われているドームの映像を見ながら彼女は紅茶を飲んでいる。

「つまらないものね、どれもこれも大して良いのはいないわね……まったくパパったら……」

 彼女は退屈そうにモニターで試合を眺める。
 欠伸をしているところを見るに、本当に退屈なようだ。

「十三点、二十一点、二十八点。どれもパッとしないわね」

 モニターを眺めながら受験者たちに次々と点数をつけて行く。
 どうして父親は自分にこんな退屈なことをするよう命じたのだろうか。
 この試験を通して、私に友達を作ってもらいたいのだろうか。
 確かに自分は幼い頃より妖術のいろはを叩き込まれ、友達と呼べる存在はいないが、欲しいとも思わない。
 今年ようやく認定試験を受けることを許されたが、試験は受けなくてもいいらしい。
 裏口合格というやつだ。

「パパは何が言いたかったのかしら」

 彼女は今朝父親の言っていたことを思い出す。

『今日、お前にとって人生を変える出会いがある』

 そんなものあるわけない。
 そんな出会いがあるとしても、それは今日ではない。
 そんな確信に近いものがあった。
 この瞬間までは。

(六十四点!)

 彼女は咄嗟にモニターを見る。
 そこには悠火が映っていた。
 彼女の突出した特技。
 それは他人の内なる力を肌で感じられることだ。
 いくら隠しても彼女にはその者の力がわかる。
 だからこそ、彼女はいつも他人を見下してきた。
 自分より点の低い者に興味はなかったからだ。
 それなのに、まさか自分をここまで高鳴らせる存在に認定試験で出会えるとは思っても見なかった。

「パパが言ってたのはこのことなの?」

 彼女はいてもたってもいられなくなり試験会場へと向かった。



読んでいただきありがとうございます。コングです。

修行風景は番外編として出すつもりです。もしかしたら本編で触れるかもですが。

早速新キャラ1人目です!

認定試験の試験管の男の声は脳内で蝶野正洋さんの声でリピートされています。
僕は結構声優さんとか詳しい方だと思うのですが、書いてるとたまにセリフが好きな声優さんで再生されます。
前話の貴人は小山力也さんでした。

それではまた次回!



2020/5/5一部改稿

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