人外と友達になる方法

コング“シルバーバック”

第11話 引っ張り狐 〜学校篇〜

 狐々愛が学校に通い始めて、一週間が経過したある日の昼休み。

「悠火!」

「な、何?」

 いつもの三人で弁当を食べていた悠火の元に狐々愛がやって来た。

「私も部活に入りたい!」

「どうした急に?」

 今までそんなことはまったく言ってなかったのに、一体どういう風の吹き回しだろう。
 そう悠火が不思議に思っていると、孤々愛の後ろにいた女子が一歩前に出て来る。

「だって狐々愛ちゃん、めっちゃ運動神経いいんだもん!」

「そうそう! 運動部に入らないのはもったいないよ!」

 どうやら今日の授業であったバスケが原因らしい。
 まあ、確かにあれはやり過ぎたと悠火も思う。




「悠火。このばすけというのはどんなものなのじゃ?」

 狐々愛は二人の会話になるとたまにいつもの口調に戻ってしまう。
 家に帰ったら注意しとかないと。

「ルールを簡単に言うと、両端にある籠みたいなのがあるだろ? あれに球を投げ込むんだ。でも球は持つんじゃなくて、つくんだぞ?」

「成る程、大体わかった」

 次が狐々愛のチームの番だったらしく、狐々愛はビブスを着てコートに入る。
 ここまでは良かった。
 うん、ここまでは。
 狐々愛は開始早々、女子バスケ部のマークを難なくすり抜け、めちゃくちゃなフォームで放ったボールをリングに入れた。
 一点先取の勝ち残りのため、狐々愛のチームはそのまま次のチームと対戦になる。
 その後も狐々愛はどんどんシュートを決めまくり、合計十試合も連続ですることとなった。




「と、言うわけで。狐々愛ちゃんは絶対にバスケ部に入るべきだよ!」

「いいや、あの底なしの体力は陸上でこそ生きるもの。陸上部に来るべき!」

「バスケ!」

「陸上!」

 バスケ部と陸上部の2人が狐々愛を取り合っている。

「で、狐々愛は何部に入りたいんだ?」

「入りたいのがあるんじゃなくて、その、何というか……」

 孤々愛はモジモジと恥ずかしそうに俯く。
 しかし、狐々愛が何を言いたいのかが悠火には何となくわかる。

「友達が欲しいのか?」

「………うん」

 どうやら狐々愛は部活に入って友達を作りたいらしい。
 となると、何部に入るかが問題になる。

「じゃあ、チームスポーツのバスケ部に来なよ!」

「いや、うちの陸上部は人数が多いから沢山友達できるよ!」

 この議論はどこまで行っても平行線だ。
 この話は狐々愛が家でゆっくり考える、ということで一時停戦した。




 学校が終わり、悠火、狐々愛、奏鳴の三人は帰り道が途中まで同じということもあって、いつも三人で帰っている。
 光秀も家の方向は一緒だが、塾に通っているため下校の時間は別々だ。

「奏鳴君は何か部活入ってるの?」

「ん? 俺は陸上部だよ。でも、たまに助っ人とかしてる」

「助っ人?」

「大会とか、人手が足りない時に一時的にその部活に入るんだよ」

 確かに奏鳴は三人の中でもズバ抜けて運動能力が高い。
 体育は小学校からずっと五を取り続け、校内体力テストでは不動の一位。
 全国でも一桁に入るレベルに運動が出来るのだ。
 悠火も並より運動能力はいいのだが、奏鳴と比べると小学生のようなものだ。

「そんなこともできるんだ……悠火は?」

「俺は入ってない。部活ってどうも性に合わなくて」

 人付き合いが得意とは言えない悠火にとって部活は楽しみより、苦痛が多い場だ。
 仲のいい友達が多ければ話は別だが。

「じゃ、俺はここで」

 そんな話をしているうちにいつも奏鳴と別れる分かれ道にやって来た。

「うん、またね奏鳴君」

「じゃあな」

 奏鳴と別れ、二人で家に向かって歩く。
 狐々愛は真剣に部活について考えているみたいなので、話しかけることもせず歩くことにした。




「「ただいまー」」

 今日は珍しく静香の姿がない。
 そういえば昨日用事があるから夕方は出かけると言っていた気がする。
 狐々愛の部屋は無いため、いつも勉強机で悠火が、テーブルで狐々愛が宿題をしている。

「悠火この問題教えてくれぬか?」

「ん? どれどれ……ああ、ここは分数を消してから計算すると楽だぞ」

「分数を消す……これでどうじゃ!?」

 狐々愛の学習能力は凄まじく、社会と理科は一度でほとんど完璧に覚えてしてしまう。
 一度年の功だと言ったらめちゃくちゃ怖い目で睨まれたので二度と口にしないと誓っている。
 しかし数学と、英語は苦手らしく、今は中学一年生のテキストを解いている。

「うん、初めのは正解、あとは不正解」

「うぅ……難しいのじゃ……」

 今のところまだ抜かれる心配はなさそうだ。
 その後も小一時間勉強し、宿題と予習を済ませ息抜きをすることにした。

「部活……どうするかのぉ……」

「別に部活に入らなくても友達は作れるぞ?」

「そうじゃが、部活仲間というものに憧れるではないか」

 まあ、わからないこともない。悠火だって入れることなら部活に入りたいのだ。
 それにしても悠火の部屋にはバトル漫画ばかりが置いてあるのに、どこからそんな学園知識を仕入れるのだろうか。

「取り敢えず、両方の部活を少しやってみるかのう」

「あれ? そうなると、俺はどうなるんだ?」

「あ、そうか……よし、悠火もやろう!」

「はぁ!? 女子バスケ部と、陸上部女子だぞ!」

「……しまった盲点じゃった」

 一晩考えた結果、悠火と狐々愛が一緒に部活ができる案が浮かばず、狐々愛の部活参加は見送ることになった。



読んでいただきありがとうございます。コングです。

今回はあんまり話が進みませんでした。ごめんなさい。

ちなみに作者は運動はからっきしです。

それではまた次回!



2020/4/13一部改稿

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