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人外と友達になる方法

コング“シルバーバック”

第2話 秘密基地は男のロマン 〜洞窟篇〜

 噂の洞窟はなかなかの雰囲気だった。

「おぉ〜、ここが噂の洞窟か〜。いい雰囲気じゃんか!」

 洞窟は薄暗く、ジメジメとしている。
 これでは幽霊が出るなんて噂が広まるのも仕方がないだろう。
 幽霊を信じない悠火でも、用がなければ近づきたくない雰囲気だ。

「ゆ、悠火……あんまりはしゃぐなよ」

「そう言う奏は僕の後ろに隠れるのやめなよ」

 息巻いて来たはいいものの、奏鳴は光秀の後ろに隠れてしまっている。
 到着してからずっとこんな感じだ。

「で? 肝試しって何すんだ?」

 来たはいいが計画無しで来たのでこの後何をするのかが決まっていない。
 なのでとりあえず一番頭のいい光秀に話を振る。

「ん〜、悩んでてもしょうがないし、とりあえず、中に入る?」

「よし! そうと決まれば善は急げだ!」

「善ではないと思うけど……」

 悠火にツッコミを入れつつ、光秀も洞窟へと足を踏み入れる。
 洞窟の中は五メートル先が見えないくらいの暗闇だった。
 悠火たちは持ってきた懐中電灯やスマホのライト機能を使って奥へと進んで行く。
 かなり奥に来たので日の光は入ってこないとは言え、洞窟の中は六月とは思えないほど涼しかった。

「寒いな…」

 先頭を歩いていた悠火がポツリと呟く。

「確かに。洞窟と言ってもこれは異常だ」

「奥に何かあるかもしれねぇ。行くぞ」

 悠火と光秀はどんどんと奥へと進んでいく。
 その後を半泣きになりながら奏鳴が追いかける。
 奥へと進むこと数分、周囲に変化が起き始めた。

「ん? これ……水か?」

 悠火は足に何か液体のようなものを踏んだ感覚を覚えた。
 足元をライトで照らすと、そこには水溜りがあり少し先を照らすと奥には大きな水溜りがあった。

「おかしい……こんな巨大な水溜りがあるなんて」

 最後尾にいた奏鳴がそう呟いた。

「おかしいって、何で?」

「二人には言ってなかったけど、俺、噂が広がる前、ここに秘密基地作ってたんだ。その時はこんな水溜りなんてなかった」

「それはいつ頃の話だ?」

 奏鳴は必死に思い出そうとして頭を抱えている。
 そしてはっと顔を上げて言った。

「多分四月末ぐらいだったと思う」

 それを聞いた光秀が顎に手を当てて思考を巡らせている。
 数秒考えた光秀は小さく頷いた。

「たった二カ月では普通こんなことにはならない……。これは異常だ、一度帰った方が良さそうだ」

 光秀がこんなに真剣になるのはそれほどまでにこの状況が異常のだろう。
 悠火も奏鳴もその提案を拒否するつもりはない。

「じゃあ、帰ろぜ。な?」

「そうだな、光秀が言うんだ。よし、帰ろう」

 三人は来た方向へと向き直し来た道を戻る。
 またしても悠火が先頭だ。

「帰さねぇよ……」

 ふとそんな言葉が聞こえた。

「ん? 奏何か言ったか?」

 先頭の悠火が振り返って確認する。

「は? 今のは悠火だろ?」

 最後尾の奏鳴は悠火の言葉にそう言い返す。

「俺は何も言ってねぇよ?」

「俺もだ…じゃあ、誰が?」

「もちろん僕でもないよ」

 三人の間に沈黙が流れる。
 三人は誰でもない声を確かに聞いたのだ。

「と、とりあえずここ出ようぜ。えっと灯りはっと」

 奏鳴がスマホのライトを使おうと電源を入れる。
 スマホの画面の明かりで薄暗い洞窟の中が少しだけ明るくなる。
 その時、悠火は信じられないものを見た。

「奏! 後ろ!」

「え?」

 悠火の声に驚いた奏鳴はスマホの画面から目を離し悠火の方を見る。
 それ同時に奏鳴の体が洞窟の壁に吹き飛んだ。
 鈍い音を立てて奏鳴が壁に衝突する。

「がはっ!」

 奏鳴は地面に倒れ込む。
 しかし、悠火と光秀は地面に倒れる奏鳴ではなく、先程まで奏鳴が立っていた場所に立っている、異形の生物を見ていた。
 緑色で、湿っている肌。手足の指と指の間に見える薄い膜。背中に乗っている巨大な甲羅。鳥類のような嘴。そして、頭の上に乗った皿。
 二人の目の前に立っているのは、正に河童そのものだった。
 


 読んでいただきありがとうございます。コングです。

 今回登場した河童ですが。河童って地方で色々と姿が違ったりしますよね。
 ですが作者はそんなこといちいち気にせず書いてるので、もしかすると「は?何これ全然知ってるのと違うんだけど」的なことになるかもしれません。
 もしそうなったら、新種の妖怪だと思ってください。

それではまた次回!



2020/3/25一部改稿

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