鬼神兄妹の世界征服

miru_

⑤顔面狂気

 その女は、一歩、また一歩、と俺の方へ向かって歩いてくる。まだ俺とは少し距離があるが、長い髪に、綺麗に整った顔立ちなのがすぐに分かる。女はモデルでもしているのか、スラッとしている。
俺は、少し大きめの声で女に話しかけた。

「…アンタ…誰だ?」

すると、女は小走りで、座っている俺の目の前に来た。俺は、女の顔を見ようと顔をあげた。

そして俺はその女を目の前にしてこう思った_

…俺は、何を勘違いしていたんだ。

そこには、先程俺が思っていたような女とは全く違う、一言で言ってしまえばとてつもなくブスな女が立っていたのだ。
小顔だが目がすごく小さく、肌にはニキビと言えよう出来物がこれでもかという程顔中に出来ている。
長い髪は、色こそ綺麗なもののきちんと手入れされていないのか、寝癖やらなんやらでボサボサだ。
そして、スラッとしているというか、やせ細っていただけだった。

この女を見て、どう思う?

10人ぐらいに聞いたうち、多分全員こう答えるだろう___

"穢らわしい"

まさにその言葉通りというか、その言葉を代表するかのような外見だ。人を外見で判断してはいけないと言うけれど、やっぱり人は外見が一番なのだと俺は実感した。

…じゃあ、何故俺はこんなブスを美人と間違えたのか_その理由は明確だった。
俺、ゲームのしすぎで視力がDなんだった…
ゲームのしすぎって良くないね。こんな形で視力の低下を後悔する事になるとは思いもよらなかった。
それは置いといて、俺は女の話を聞くことにした。
「…で、アンタ、俺になんの用?一応こんな状況だし聴いてやるけど、しょうもない用だったら去ってもらうからな。戦争はまだ続いてるっぽいし、危ない。今は何も被害は無いけど、ここも直に爆弾とかで潰されそうだしな」
俺が吐き捨てる様にそう言うと、女は困ったように笑みを浮かべ、言った。
「…では、早速ですが、用件を言わせてもらいますね?」
「おう、さっさと言いやがれ。勿体ぶってたら聴いてやんねーからな」
俺がそう言うと、女は、ゆっくりと…口を開いた。

「貴方の隣で倒れている女の子…どうか、私にお譲りいただけますでしょうか」

「はへ?!?」
俺はビックリしすぎて、思わず素っ頓狂な声を出してしまった。
「はい!?まって!?この子欲しいって聞こえたんだけど、俺の聞き間違い?」
俺は少女を指さして女に問いかけた。
「いえ、聞き間違えていませんよ?私は確かに、そう言いましたが」

_頼む、聞き間違いだと言ってくれ。
そうじゃないと俺、頭おかしくなりそう。

「いや、だとしてもさ、なんで??(理由を聞いたところで譲る気は皆無)」
「…その子、死んでいらっしゃるでしょう?だからですよ」

…はぁ?意味分かんねぇんだけど。俺の頭がおかしいの?

あ、もしかしたら、この少女を埋葬してくれるのかも。それなら__
(いや、待つんだ俺!!)
まず、この少女は死んではいない。

__でも、俺が引き取った所で俺に何が出来る?家事は刃月に任せっぱなしだったし、母親みたいな事なんにもできねぇし…そんな中で、この少女と共に生きるのはかなりキツそうだ。刃月がいないというこの空間でさえも、俺には凄くキツいものなのに…。そう生半端な気持ちでは、命は救えないのだ。

「なぁ、こいつ死んでな」

死んでない、と言いかけた所で、俺は猛ダッシュした。

__女が、少女を抱えて一直線にどこかに向かって猛スピードで走り出していたのだ!!!!!

「クソッッ、油断した!!!!!」
俺はまだ動く自慢の足で女を追いかける。

だが、女も足が早いようで、地面の死体をひょいひょい、と避けて、すごいスピードで駆けていく。
俺は全力で追いかけながら、女に大声で問いかけた。
「おい!!!!待てよアンタ!!!!!クソッッ、何が目的なんだよ!!!!!」
だが、女は振り返る余裕が無いのか、無言で走る。

一向に距離は縮まらない。このままでは、俺の体力が切れるのが先か___

すると、女は、ある建物・・・・の前で立ち止まった。

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