俺の高校生活がラブコメ的な状況になっている件

ながしょー

第39話

 「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」

 「あ…………いたた……」

 目を覚ますと目の前に中学生の顔があった。
 非常に整った顔でロングで長い黒髪が俺の首やら額やらに当たってくすぐったい。
 顔と顔の距離は10cmあるのだろうか。
 さっきから吐息がかかり、なんか変な気分になる。
 それに頭の下が妙にやわらかい。
 クッションとまではいかないものの、なにか温かいものに包まれてるようで安心する。
 正直、このまま眠ってしまいたい……。

 「……って、な、なな何をしてるんだ?!」

 俺は勢いよく飛び起きた。
 殴られたり、蹴られたりした影響か脳の思考回路が完全に麻痺していた。
 
 「何って…膝枕じゃないですかぁ」

 中学生は少し寂しそうな表情を浮かべている。
 膝枕だろうが、知らない女からされてたまるかッ!
 ……いや。
 今の考えは間違いだな。
 ブスはともかく、こんな美少女に膝枕されるなんて夢みたいじゃないか。
 むしろ死んでもいいぐらいだ。

 「そ、それより不良たちはどこいったんだ?」

 俺は一つ咳払いをしてそう聞いた。
 すると、中学生は『お兄ちゃんをボコボコにした後、逃げるようにどこかに行ったよぉ』と答えた。
 俺をボコボコにした後、逃げるようにどこかに行ったとは何かあったのだろうか。
 そこが少し気になったが、どうせ警察官か何かを近くで見かけたのだろうと解釈した。
 
 「ケガとかしてないよな?何か変なこともされてないよな?」

 「うん!お兄ちゃんのおかげで何もされてないよ」

 「そうか、それならよかった」

 まぁ、これでひとまずは安心した。
 かっこよく助けることはできなかったが、この中学生が無事ならそれでいい。

 「ところでお兄ちゃん。目の上腫れてるけど痛くないの?」

 「ああ。さっきから見えずらいと思ったらこれか」

 触ってみると、火傷でもしたかのようにヒリヒリして痛い。
 アニメのようにテニスボール並みではないが、ゴルフボールくらいには腫れている。
 それに喉の奥がイガイガすると思ったら、鼻血が逆流して喉につまっていた。

 「とりあえずウチの家に来る?手当するよ?」

 「ああ、頼む」

 俺はそう言ってふらつく足で立ち上がると、中学生に支えられながらその子の住む家に向かった。

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