俺の高校生活がラブコメ的な状況になっている件

ながしょー

第32話

 翌日の昼休み。
 俺は相談があると言って、校舎の屋上に呼び出した美月と昼食を食べていた。

 「それで相談って何?」

 「ああ、それなんだが……」

 こうして美月と一緒に昼食を食べるのも久しぶりのような気がする。
 相変わらずたが、パンと牛乳だけで本当に足りるのか、心配である。

 「これ見てくれないか?」

 「ん?」

 俺は昨日から悩みの種である謎のラブレターを手渡した。
 美月は首を傾げつつも、それを受け取り、中に入っている手紙を取り出した。

 「どうだ?」

 「ど、どどどうだって言われても…………」

 なぜか美月の顔が急激に赤くなってきた。
 
 「お、おい、大丈夫か?めっちゃ顔赤いぞ?」

 「み、みみみ見ないで!」

 そう言って、両手で顔を隠してしまった。
 ――もしかして照れてるのか?まぁ、いい。それよりこの謎のラブレターに対しての感想を聞かなければ!

 「なぁ、これを読んで、どう思った?」

 「い、いいいい今応えないと……ダメ?」

 美月は隠している両手の隙間から目だけを覗かせると、潤んだ目でそう言った。
 ――なんか……可愛いなぁ。

 「今応えてもらわないと困る」

 でないと、この謎のラブレターが第三者から見て、本物か偽物か分からない。
 ここは何としても第三者からの意見が欲しいところだ。

 「しょ〜ゆわれてもぉ……」

 だが、なぜか美月の顔がどんどん真っ赤になっていき、湯気が見えるのでは……と、思うほどだ。

 「お願い!頼む!」

 俺は手を合わせて必死に頼み込んだ。

 「むぅ〜………………分かった」

 「本当にか?!」

 「うん…………一生ずぅっと一緒だよ?」

 美月は吐息がかかるのではと思うぐらい近づいてきて、上目遣いでそう言った。
 ――相変わらず可愛いが……

 「は?」

 俺は美月が何を言っているのか分からなかった。
 ――一生ずっと一緒?いったいなんのことだ?
 そして、俺の疑問の声を聞いた美月も、

 「え……え?」

 と、困惑した表情を浮かべていた。
 うーん。
 うーん。
 これは俺の推測だが……美月のやつ…………勘違いしてるな。
 たぶん、あの謎のラブレターを俺が書いたと思っているに違いない。
 
 「あのー。それ、俺が書いたものじゃないからね?」

 「…………え?」

 その瞬間、美月の手から謎のラブレターが地面へと落ちた。
 それと同時に次は違う意味で顔が真っ赤になっていき……

 「し、ししししょーたのバカぁぁぁッ!!!」

 と言って、校舎の入口へと逃げるように猛ダッシュして立ち去って行った。
 残された俺は一度空を見上げる。
 そして、――ああ……今日もいい天気だな!
 ちなみに今日の天気は午後から曇りだった。

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