転生したけど記憶がないようです
15話
「なんだあれは……」
自室の窓から上空を見上げるガヌルは茫然と呟く。
本来、一個人では絶対に対処しえない存在である魔族が上空に10人ほど並んでる。
その中央には神話級の存在であるドラゴンの姿も見える。
「我らが……、我らが何をしたというんだ! 魔族との盟約は守っているではないか!」
彼には現状を悲観することしかできることはなかった。
ーやれ、プリュムー
ーはい!パパ!ー
俺の指示でプリュムがブリザードブレスを吐き出す。
城全体が凍っていくが、要所要所は凍っていない。
恐らく対抗できるだけの魔力を持っているのだろう。
「一番上には俺が行く。お前たちは周りの強者を屠れ。ただし、信念に基づいて戦っていないものは生かしておけ。むしろ心からこの国に仕えているものほど決して逃すな。確実に始末しろ。では行け!」
ランドール以外の全員が高速移動で消える。
「お前は行かないのか?」
「私はお供させていただきたいのですが、よろしいですか?」
人数は足りてるみたいだしな。
「わかった。だが、誰かが苦戦していたら応援にいってやれ」
「心得ました」
さて。
「キィラ。助けに来たよ」
俺はご丁寧にも誰かさんが開けてくれた窓にプリュムに近寄ってもらい、声をかける。
「え? でも、え? ユウト?」
どうやらキィラはまだ事態が呑み込めていないようだが、とりあえずはキィラの身の安全が第一なのでキィラを運び出す。
「ふぇ? こ、こらユウト降ろして!」
俺がキィラをお姫様抱っこで運び出すと暴れだした。ちなみに身体強化をかけてあるのでキィラ程度の重さならどうにもならない。
「? 降ろしていいのか?」
「……やっぱダメ」
キィラが抵抗し始めたころには既にプリュムの背に移動しており、常人では怖い高さに浮かんでいたのだ。
「ほんとに離さないでよ!」
「わかったって……」
一度下を見てしまってからキィラは目をつぶって俺から離れようとしない。
むしろ首を絞められてかなり苦しい。
「おのれ小娘……。私よりも先に……!」
「? どうしたシル」
「なんでもございませんよ?」
「……そうか」
まぁいいや。
優先順位もあるしな。
ーよし、一番上まで頼むー
バルコニーまで上がってもらい、俺とキィラ、ランドールが降り立つ。
ー人間に戻ってくれー
ーわかったー!-
プリュムには人間に戻ってもらい、キィラを任せる。
「え? あれ? ドラゴンが……」
余計混乱させたようだが。
ガシャアァァン!!
ランドールがバルコニーへと続くガラス製の扉を蹴破り、その後に続いて俺たちも入る。
「さて、一応話だけは聞いておいてやろうかな。王様は……ん」
「下がれ下郎が! ここはお前らのような者たちが足を踏み入れてよい場所ではない! 我ら近衛騎士団が王には指一本触れさせん!」
「へぇ、せいぜい頑張れ」
近衛騎士団の面々が振り返ると、玉座の横には既に俺が立っていた。
「いつの間に……!」
元の場所に戻り、俺は言う。
「とまぁ、やろうと思えばすぐにでも触れられるわけだが、それも面白くないしな。折角だからランドール、相手してやってくれ」
「御意」
その一言と共にランドールが進み出る。
「彼らはどうしましょうか?」
「そうだな……。近衛騎士団というからには王への忠誠がある者たちだろうがな……」
「ねぇ……」
キィラが袖を引っ張るので振り向く。
「どうしたの? 下がっててって言ったのに」
「私の時だけ口調を柔らかくしなくていいよ……。それより、あの人なんだけど……」
キィラが近衛騎士の一人を指さす。
「あいつがどうした?」
「私を攫った人だと思う……」
「ランドール、決まったぞ」
「は」
「皆殺しだ」
自室の窓から上空を見上げるガヌルは茫然と呟く。
本来、一個人では絶対に対処しえない存在である魔族が上空に10人ほど並んでる。
その中央には神話級の存在であるドラゴンの姿も見える。
「我らが……、我らが何をしたというんだ! 魔族との盟約は守っているではないか!」
彼には現状を悲観することしかできることはなかった。
ーやれ、プリュムー
ーはい!パパ!ー
俺の指示でプリュムがブリザードブレスを吐き出す。
城全体が凍っていくが、要所要所は凍っていない。
恐らく対抗できるだけの魔力を持っているのだろう。
「一番上には俺が行く。お前たちは周りの強者を屠れ。ただし、信念に基づいて戦っていないものは生かしておけ。むしろ心からこの国に仕えているものほど決して逃すな。確実に始末しろ。では行け!」
ランドール以外の全員が高速移動で消える。
「お前は行かないのか?」
「私はお供させていただきたいのですが、よろしいですか?」
人数は足りてるみたいだしな。
「わかった。だが、誰かが苦戦していたら応援にいってやれ」
「心得ました」
さて。
「キィラ。助けに来たよ」
俺はご丁寧にも誰かさんが開けてくれた窓にプリュムに近寄ってもらい、声をかける。
「え? でも、え? ユウト?」
どうやらキィラはまだ事態が呑み込めていないようだが、とりあえずはキィラの身の安全が第一なのでキィラを運び出す。
「ふぇ? こ、こらユウト降ろして!」
俺がキィラをお姫様抱っこで運び出すと暴れだした。ちなみに身体強化をかけてあるのでキィラ程度の重さならどうにもならない。
「? 降ろしていいのか?」
「……やっぱダメ」
キィラが抵抗し始めたころには既にプリュムの背に移動しており、常人では怖い高さに浮かんでいたのだ。
「ほんとに離さないでよ!」
「わかったって……」
一度下を見てしまってからキィラは目をつぶって俺から離れようとしない。
むしろ首を絞められてかなり苦しい。
「おのれ小娘……。私よりも先に……!」
「? どうしたシル」
「なんでもございませんよ?」
「……そうか」
まぁいいや。
優先順位もあるしな。
ーよし、一番上まで頼むー
バルコニーまで上がってもらい、俺とキィラ、ランドールが降り立つ。
ー人間に戻ってくれー
ーわかったー!-
プリュムには人間に戻ってもらい、キィラを任せる。
「え? あれ? ドラゴンが……」
余計混乱させたようだが。
ガシャアァァン!!
ランドールがバルコニーへと続くガラス製の扉を蹴破り、その後に続いて俺たちも入る。
「さて、一応話だけは聞いておいてやろうかな。王様は……ん」
「下がれ下郎が! ここはお前らのような者たちが足を踏み入れてよい場所ではない! 我ら近衛騎士団が王には指一本触れさせん!」
「へぇ、せいぜい頑張れ」
近衛騎士団の面々が振り返ると、玉座の横には既に俺が立っていた。
「いつの間に……!」
元の場所に戻り、俺は言う。
「とまぁ、やろうと思えばすぐにでも触れられるわけだが、それも面白くないしな。折角だからランドール、相手してやってくれ」
「御意」
その一言と共にランドールが進み出る。
「彼らはどうしましょうか?」
「そうだな……。近衛騎士団というからには王への忠誠がある者たちだろうがな……」
「ねぇ……」
キィラが袖を引っ張るので振り向く。
「どうしたの? 下がっててって言ったのに」
「私の時だけ口調を柔らかくしなくていいよ……。それより、あの人なんだけど……」
キィラが近衛騎士の一人を指さす。
「あいつがどうした?」
「私を攫った人だと思う……」
「ランドール、決まったぞ」
「は」
「皆殺しだ」
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