この狂った世界を壊すまで

ノベルバユーザー257223

プロローグ



           



3020年 日本 東京都
 

 4月29日 東京都
その日は、天皇誕生日、新政権発足10周年、5回目の五輪大会の開催地・・・等々いろいろな事が重なりお祭のような雰囲気となっていた。実際お祭をしている地域もあり実に楽しそうな感じだった。
 だが、そんな楽しい時間は長く続かなかった。
突然のことだった。天皇が苦しみだした。そして周りの人たちも苦しみだした。皆、普通の苦しみ方では無かった。まるで中に入ろうとするものを拒むようなそう表すのが一番しっくりくるそんな苦しみ方だった。3分後静かになった。そして天皇がゆっくりと起き上がった。それにつられて周りにいた人たちも起き上がった。そして歩き出した。何か不穏な雰囲気を残しながら。
 30分後、メディアが天皇邸に集まった、天皇に呼ばれたのだ。メディアも突然の呼び出しに疑問や興味等を隠せず隣の記者と内容を予想しあっていた。
天皇が出てきた。すぐさま大量のフラッシュが天皇に浴びせられた。そして気付く天皇の雰囲気が以前とまったく違うことに。
天皇がスッと手を挙げた。そうしてカメラのフラッシュを鎮めさせると、天皇が口を開いた
「今日、来てもらったのは私が皆さんに伝えたい事があるからです。」
人がだすことが出来ないような機械的な声を出した天皇
この時、メディアの人達は同時に思った。
"今、自分たちの前にいるのは天皇ではないそして人でもない。天皇のふりをした何かだ”と
その時だった。突然一人の記者が手を挙げた。
天皇が「そこの君」とその記者を材指さした。さされた記者は立ち上がり
「あなたは誰ですか?」と単刀直入に聞いた。
全員が"聞き間違えか?"と思った。
天皇に限っては、険しい顔をして睨んでいた。
天皇は「それはどういう意味かな?」と質問をした記者へと質問をした。
すると記者は「私の勝手な見解ですが、天皇は優しく聡明な方です。その従者もその名に恥じぬ素晴らしい従者ですそれなのに今は傲慢で強欲な人に見えます。その従者もいまは主の命に従うだけの傀儡に見えます。だから貴方に『あなたは誰ですか?』と聞きました。」
それを聞いた天皇は驚いたという様な表情のあと俯いた
少しだけ会場に沈黙が
だが、それも束の間、天皇が顔をあげた。
感情が欠如した様な無表情で。
天皇が喋りだした。
「『貴方は誰ですか?』と聞いてきたね。分かりきっているだろうに。私は・・・神だよ。」
このとき従者以外の人は同じことをおもっていた。
すなわち“コイツ何言ってんの?と
だが、その思いはすぐ壊された。質問をした記者と共に。
質問した記者の周りにいた人達は一瞬何が起きたのか理解できなかった。
質問をした記者の姿はそこに無くあるのは、その記者の物と思われる荷物とそれに付着している血肉だけだった。
それを見た記者達はパニックになった。
気絶する者、嘔吐する者、半狂乱状態になっている者・・・等々いろんな人達で埋め尽くされた。中には逃げ出そうとする人もいたが、それらは全ていつの間にか記者達の後ろにいた従者達に阻まれた。
「まだ逃げ出さないでくれよ。」
神と名乗った者がそう言うと記者達は落ち着きを取り戻したように静かになり自席に戻ろうとする。記者達の表情からはそれが自主的なものではないことが分かる。
嘔吐物や汚れも綺麗に取り払われ最初と一切変わらない状況ができた。違う所といえば、先程質問した記者の姿がない事と記者達の表情が蒼褪めてる事だろう。
“自分達もあの人と同じようにされるのか?”そんな不安が記者達を襲う。
すると、神と名乗る者が「そんなに身構えなくとも、これが終われば皆解放するよ。」と言った。それを聞いた記者達は一先ず本当に落ち着きを取り戻した。
「まず、私達の目的だが・・・」神と名乗る者が語りだした。
「まぁ簡単に言ってしまえば・・・粛清だ。」
記者達は体が強張るのが分かった。
「かつてバベルの塔をたてようとした時の様に傲慢な人間が増えてしまった。故に今の人類を排除し、もうこんな事がないように我々が監視及び管理をすることにした。」
そこで二人の記者が手を挙げた。
「そこの君。」神と名乗る者が右側の記者を指差す。
「はい。」右側の記者が立ち上がる。
「あなた方の目的は分かりました。ですが、なぜ天皇に憑依したのですか?」
記者はそう質問した。それに対し神と名乗る者は・・・
「単にこの体が掌握し易かったからだ。」簡潔にそう返した。
「そうですか、分かりました。」記者はそういい自席に座った。
「次に、そこの君」今度は左側の記者を指差す。左側の記者が立ち上がる。
「このような事は他の所でも起きているのですか?」記者が尋ねる
「ああ、他国でも国内でも同じことが起きているよ。」神と名乗る者が答える。
「そうですか・・・、分かりました。」記者が座る。
「これで私の話は終わりだ。」記者達は体が弛緩するのが分かった。
「皆、いい記事になることを期待しているよ。」神と名乗る者がそういった瞬間、後ろの扉が開いた。それと同時に、神と名乗る者は従者と共に姿を消した。
「急げ!!!」記者の一人が叫んだ。
その後、記者達が出口となる後ろの扉に駆け込んだ。
そして外に出た記者から順に自分達の会社に今回の内容を送った。
最初の記事は五分後にネットに載った。
その様子を神と名乗る者達は上から見ていた。
「ちゃんと記事書いてくれたね。それじゃ、始めようか粛清を。」
この後、世界は阿鼻叫喚の地獄と化した。
 

後にこの事象は『神罰』といわれ、それから発展した争いを『神敵大戦』といわれる
これから語る物語は『神敵大戦』から実に百年後のことである。



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