マグ拳ファイター!!
184
 ドゴンッッ!!
 オレは重力魔法で強引に天使の棺桶を突き破り、皆を連れて天に舞った。
 三郎はすぐに翼を開き、少女とタマを受け取る。
「バカな!?」
 死んだと思っていたオレたちが、棺桶から出てきたことで、ヒューマさんたち発掘チームが驚きながら空を見上げている。その中に脱天集会のメンバーも含まれていた。やっぱりつるんでたか。
「三郎」
「ああ」
 オレと三郎は頷き合うと、下の人間たちが何か仕掛けてくる前に、ウーアから東へと全速力で逃げ出した。
 話は地上に出る前に戻る。
「子供たちを連れて地上に出るには、問題がある」
 と三郎。
「上の発掘チームか」
「ああ」
「発掘チーム?」
 と少年少女が首を傾げる。
「上では、このウーアの地の発掘が行われているんだ」
 発掘と聞いても首を傾げる二人。発掘という言葉自体を知らないらしい。なんとか二人に上がどういう状態なのか説明をする。
「つまり、地上はその悪の発掘チーム? に占領されているんだな?」
「悪と断定するのはどうかと思うが、敵対はしているな」
 オレの歯切れの悪さに、首を傾げる二人。
「敵なら悪じゃないのか?」
「悪かどうかは立場で替わる。向こうからしたらオレたちの方が悪だろう」
 やはり、分からない、と言った感じで首を傾げる二人だった。
「まあ、とにかく、そいつらが邪魔してくることは確定だ」
 と思う。
「厄介なのは、天使の力を無効化する何かをあいつらが仕掛けてくる可能性が高いことだな」
「イビルカルコスの力だ」
「イビルカルコス?」
 と言う少年の言葉に、オレと三郎が首を傾げる。
「ここで採れる石だ。それが天使の力を無効化するって母さんが言ってた。それが大量に採れるから、ウーアは人間の前線基地になっているんだ」
 なるほどな。天使からしたら、このウーアは土地自体が忌むべき土地なのか。
「しかし、そんなものがあるなら、益々地上に出られないな。戦っても敗けるのが目に見えてる」
 と三郎。
「いや、逃げれば良いだろ? 何で戦う前提なんだよ? こっちは小さい子がいるんだぞ?」
「そりゃ、今は逃げれば良いさ。でも長期的に見れば、こちらには打つ手が無いことに代わりがない」
 まあ人間にはイビルカルコスは効かないみたいだけどな。いや、待て。時計塔では二種類の怪音波が発せられて、NPCの人間であるブルースやマーチもやられていた。
「人間に効く石もあるのか……?」
 オレがぼそりと発した言葉に、少年少女が驚く。
「それはデウスカルコスだ。知ってたのか? デウスカルコスは天使の力を増幅し、人間の力を減衰させる。母さんが言ってた」
「それって、イビルカルコスと対ってこと?」
「ああ」
 ふむ。ということはイビルカルコスには人間の力を増幅させる効果もあるのか? でもここに来てもオレは別段変わった感じはしないが? いや、時計塔でもプレイヤーには効かなかったな。ということは、NPC限定ってことか? もしかしたら、プレイヤーの力を増幅させる石も世界にはあるかも知れないが、まだ発見されてない、と考えるべきだな。何せ神話時代にプレイヤーはいない訳だし。
「その、デウスカルコスのある場所は、分かるか?」
 三郎が少年少女に尋ねる。
「ウーアの南にその鉱山があるって母さんが言ってた」
「南と言っても結構広いな?」
 と首を傾げる三郎だったが、
「いや、それだけでも大体の予想がつく」
 オレは鉱山の場所がかなり絞れていた。
「本当か?」
「ああ、おそらくアウルムとカルトランドの国境付近だ」
「なぜ言い切れるんだ?」
「そこら辺でオレたちが浮遊島に渡ったからだよ」
 正確には国境付近で倒れていた天使と一緒に連れ去られたんだが。
「おそらく、浮遊島はアウルムとカルトランドの国境付近をいつも飛んでいるんだろう。理由は、そのデウスカルコスの鉱山に近かったから」
「なるほどな。筋は通っているか。我々でも何故あそこら辺を漂っていたのか不思議だったが、その理由が地上の鉱山だったとはな」
 とオレと三郎の二人だけ得心顔をしても、少年少女はキョトンである。
「とにかく、デウスカルコスのおおよその場所は分かってるってことだ」
 オレは少年少女を元気付けるためににこりと笑ったが、不評で、二人は助けを求めるように三郎を見て、三郎が力強く頷いてやっと笑顔を見せてくれたのだった。
 で、何故東に向かったのか、当然ブラフである。東のノルデンスタッドでブルースと合流するように見せかけて、途中で南に方向転換したのだ。
「リン、できればこのままヴォルケランドかレーゲンランドに向かわせてくれ? そこで二人を保護したい」
 確かに、幼子二人を連れて脱天集会と戦うことはできないな。
「分かった」
 オレたちはまず先に浮遊島に向かった。
 オレは重力魔法で強引に天使の棺桶を突き破り、皆を連れて天に舞った。
 三郎はすぐに翼を開き、少女とタマを受け取る。
「バカな!?」
 死んだと思っていたオレたちが、棺桶から出てきたことで、ヒューマさんたち発掘チームが驚きながら空を見上げている。その中に脱天集会のメンバーも含まれていた。やっぱりつるんでたか。
「三郎」
「ああ」
 オレと三郎は頷き合うと、下の人間たちが何か仕掛けてくる前に、ウーアから東へと全速力で逃げ出した。
 話は地上に出る前に戻る。
「子供たちを連れて地上に出るには、問題がある」
 と三郎。
「上の発掘チームか」
「ああ」
「発掘チーム?」
 と少年少女が首を傾げる。
「上では、このウーアの地の発掘が行われているんだ」
 発掘と聞いても首を傾げる二人。発掘という言葉自体を知らないらしい。なんとか二人に上がどういう状態なのか説明をする。
「つまり、地上はその悪の発掘チーム? に占領されているんだな?」
「悪と断定するのはどうかと思うが、敵対はしているな」
 オレの歯切れの悪さに、首を傾げる二人。
「敵なら悪じゃないのか?」
「悪かどうかは立場で替わる。向こうからしたらオレたちの方が悪だろう」
 やはり、分からない、と言った感じで首を傾げる二人だった。
「まあ、とにかく、そいつらが邪魔してくることは確定だ」
 と思う。
「厄介なのは、天使の力を無効化する何かをあいつらが仕掛けてくる可能性が高いことだな」
「イビルカルコスの力だ」
「イビルカルコス?」
 と言う少年の言葉に、オレと三郎が首を傾げる。
「ここで採れる石だ。それが天使の力を無効化するって母さんが言ってた。それが大量に採れるから、ウーアは人間の前線基地になっているんだ」
 なるほどな。天使からしたら、このウーアは土地自体が忌むべき土地なのか。
「しかし、そんなものがあるなら、益々地上に出られないな。戦っても敗けるのが目に見えてる」
 と三郎。
「いや、逃げれば良いだろ? 何で戦う前提なんだよ? こっちは小さい子がいるんだぞ?」
「そりゃ、今は逃げれば良いさ。でも長期的に見れば、こちらには打つ手が無いことに代わりがない」
 まあ人間にはイビルカルコスは効かないみたいだけどな。いや、待て。時計塔では二種類の怪音波が発せられて、NPCの人間であるブルースやマーチもやられていた。
「人間に効く石もあるのか……?」
 オレがぼそりと発した言葉に、少年少女が驚く。
「それはデウスカルコスだ。知ってたのか? デウスカルコスは天使の力を増幅し、人間の力を減衰させる。母さんが言ってた」
「それって、イビルカルコスと対ってこと?」
「ああ」
 ふむ。ということはイビルカルコスには人間の力を増幅させる効果もあるのか? でもここに来てもオレは別段変わった感じはしないが? いや、時計塔でもプレイヤーには効かなかったな。ということは、NPC限定ってことか? もしかしたら、プレイヤーの力を増幅させる石も世界にはあるかも知れないが、まだ発見されてない、と考えるべきだな。何せ神話時代にプレイヤーはいない訳だし。
「その、デウスカルコスのある場所は、分かるか?」
 三郎が少年少女に尋ねる。
「ウーアの南にその鉱山があるって母さんが言ってた」
「南と言っても結構広いな?」
 と首を傾げる三郎だったが、
「いや、それだけでも大体の予想がつく」
 オレは鉱山の場所がかなり絞れていた。
「本当か?」
「ああ、おそらくアウルムとカルトランドの国境付近だ」
「なぜ言い切れるんだ?」
「そこら辺でオレたちが浮遊島に渡ったからだよ」
 正確には国境付近で倒れていた天使と一緒に連れ去られたんだが。
「おそらく、浮遊島はアウルムとカルトランドの国境付近をいつも飛んでいるんだろう。理由は、そのデウスカルコスの鉱山に近かったから」
「なるほどな。筋は通っているか。我々でも何故あそこら辺を漂っていたのか不思議だったが、その理由が地上の鉱山だったとはな」
 とオレと三郎の二人だけ得心顔をしても、少年少女はキョトンである。
「とにかく、デウスカルコスのおおよその場所は分かってるってことだ」
 オレは少年少女を元気付けるためににこりと笑ったが、不評で、二人は助けを求めるように三郎を見て、三郎が力強く頷いてやっと笑顔を見せてくれたのだった。
 で、何故東に向かったのか、当然ブラフである。東のノルデンスタッドでブルースと合流するように見せかけて、途中で南に方向転換したのだ。
「リン、できればこのままヴォルケランドかレーゲンランドに向かわせてくれ? そこで二人を保護したい」
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