マグ拳ファイター!!
156
 舞台上で二人の乙女が対峙する。
「吠え面かかせてあげるわ」
「ワンワン。これで満足かしら?」
 バッチバチで乙女感ゼロだな。
 睨み合う二人。今にも相手に飛び掛かりそうな雰囲気に、シンと静まり返った会場中からも熱い視線が注がれる。
 開始の銅鑼がなった直後、互いに向かって駆け出していく。
 マヤは大盾に手斧。カルーアは千王を大ハサミにしていきなりクライマックスだ。
 大ハサミで大盾ごとマヤを両断しようとしたカルーアだったが、マヤの大盾にカルーアの千王の刃は通じなかった。
 ガキッと言う刃が硬いものに当たった音の後、カルーアは突進してきたマヤの大盾によって吹っ飛ばされた。
 その光景は、カルーアが小さな少女の姿なこともあり、さながら子供がトラックに吹っ飛ばされる交通事故を想起させるものだった。
 一気に舞台端まで吹き飛ばされたカルーアを、マヤが追撃する。が、さすがにそれを避けるカルーア。いつの間にか分解され双剣となった剣を片方をマヤに投げることで牽制し、マヤから距離を取る。
「はあ、はあ、くそ!」
「どうしたの? そっちが吠え面かいたみたいになってるけど?」
 煽るなあマヤさん。カルーアが地団駄踏んでるよ。
 だが切り換えは早いようだ。ワイヤーで繋がった双剣の片割れを、ワイヤーを引いて回収するや、そこに全員の視線が集中した隙に、もう片方の剣をマヤに投げ付ける。
 それでもマヤは冷静にそれを大盾で防いでみせた。しかしこれはカルーアも想定内だったらしく、弾かれた剣、戻ってきた剣を柄で合体させることで、槍に変え、鋭い連続突きをマヤにお見舞いする。それを大盾でいなしていくマヤ。
 カルーアの攻撃の間断に差し込むように、マヤが手斧で攻撃するが、それをワイヤーで素早く巻き取り、マヤから奪ってみせるカルーア。が、マヤも素早くポーチから二本目の手斧を取り出し構え、追撃を試みるが、今度は槍で払われる。
 そこに今度はマヤの大盾が突き出されるが、紙一重でかわしたカルーアは、千王をすでに双剣へ変えていて、片方をマヤの上空へ。
 マヤがこれを大盾で防ごうとしようとすれば、マヤの前面が隙だらけになる。そこを突こうという作戦だろうが、マヤはこれを大盾を拡張させることで、上部も前面もカバーしてみせる。
 「くっ」
 通じないと分かるやいなや、カルーアは剣を回収し弓に変え、遠距離攻撃に戦型を変える。
 弓なんてマヤの大盾に通じない、と思っていたが、カルーアの射った矢は射ち損じかと思いきや、そこから曲がってきた。
「ぐっ」
 マヤも思っていなかった展開に、体を無理に捻ってその矢を防ぐが、カルーアの次矢がマヤの体を掠める。
「ふふ」
 大盾を持つ肩を掠めたことで、気を良くしたカルーアが、三矢四矢と次々と矢を射っていくが、掠めた程度でマヤの大盾捌きは揺るがない。その見事な大盾捌きでカルーアの矢は全て防いでいるが、矢継ぎ早とはこのことと言うほどのカルーアの連続攻撃で、マヤもは中々攻撃に転じることができなかった。
 マヤは防御に手一杯で、カルーアも攻撃決め手を欠けていた。どちらかが何かしらを仕掛けなければならない状況で、先に動いたのは、カルーアだった。
 矢継ぎ早の連続を一旦止め、ワイヤーの張りを二度三度確認したかと思うと、ギリギリと全身の筋肉を引き絞るように弓を引いていくカルーア。その様子から、ワイヤーの張りが今までの弓とまるで違い、強力になっているのが分かる。さらに矢まで光輝き始めれば、それがカルーアの必殺技であることは明白だ。
 射ち出させまいとマヤが駆け寄るが、それでは間に合いそうない。マヤはカルーアが弓を引ききるよりも早く、手斧をカルーアに向けて投げ付ける。
 それを冷静に紙一重で避けたカルーアだったが、その余計な時間分マヤを近くに引き寄せてしまった。
 すでに眼前、息がかかるほどに肉薄する両者。これだけ近ければ攻撃の衝撃が自らにも及ぶのは頭を過っただろうに、カルーアは躊躇なくワイヤーから手を離した。
 
 ドンッ!
 炸裂音が会場中に響き渡り、肉薄していた二人の乙女が音の中心から吹き飛ばされる。
 互いに舞台の端と端まで吹き飛ばされ、動けずにいる。マヤの大盾とカルーアの千王は、ともに破壊されボロボロだ。
「うう……」
「うぐっ……」
 そんな中で二人もボロボロになりながら立ち上がろうとしていた。
「うおおおおおお!!」
 気合いとともに立ち上がったのはマヤだった。カルーアは立ち上がれず戦闘不能とみなされ、そこでマヤの勝利が決まった。やはり大盾が壊されたとはいえ、防御に優ったマヤに軍配は上がったのだ。
 会場中から両者を讃える拍手が鳴り止まない中、マヤがカルーアの手を取って引き起こす。
「ふふん。ま、今回は私の勝ちってことで」
「次出会った時、覚えてなさいよ」
 などと言いながら舞台袖まで戻ってきた二人だったが、烈牙さんを見たカルーアが、
「じいじ、あの野蛮女が私のこといじめるよー」
 と烈牙さんにすり寄っていくのを見て、マヤが静かにキレてるのがオレには分かった。
「吠え面かかせてあげるわ」
「ワンワン。これで満足かしら?」
 バッチバチで乙女感ゼロだな。
 睨み合う二人。今にも相手に飛び掛かりそうな雰囲気に、シンと静まり返った会場中からも熱い視線が注がれる。
 開始の銅鑼がなった直後、互いに向かって駆け出していく。
 マヤは大盾に手斧。カルーアは千王を大ハサミにしていきなりクライマックスだ。
 大ハサミで大盾ごとマヤを両断しようとしたカルーアだったが、マヤの大盾にカルーアの千王の刃は通じなかった。
 ガキッと言う刃が硬いものに当たった音の後、カルーアは突進してきたマヤの大盾によって吹っ飛ばされた。
 その光景は、カルーアが小さな少女の姿なこともあり、さながら子供がトラックに吹っ飛ばされる交通事故を想起させるものだった。
 一気に舞台端まで吹き飛ばされたカルーアを、マヤが追撃する。が、さすがにそれを避けるカルーア。いつの間にか分解され双剣となった剣を片方をマヤに投げることで牽制し、マヤから距離を取る。
「はあ、はあ、くそ!」
「どうしたの? そっちが吠え面かいたみたいになってるけど?」
 煽るなあマヤさん。カルーアが地団駄踏んでるよ。
 だが切り換えは早いようだ。ワイヤーで繋がった双剣の片割れを、ワイヤーを引いて回収するや、そこに全員の視線が集中した隙に、もう片方の剣をマヤに投げ付ける。
 それでもマヤは冷静にそれを大盾で防いでみせた。しかしこれはカルーアも想定内だったらしく、弾かれた剣、戻ってきた剣を柄で合体させることで、槍に変え、鋭い連続突きをマヤにお見舞いする。それを大盾でいなしていくマヤ。
 カルーアの攻撃の間断に差し込むように、マヤが手斧で攻撃するが、それをワイヤーで素早く巻き取り、マヤから奪ってみせるカルーア。が、マヤも素早くポーチから二本目の手斧を取り出し構え、追撃を試みるが、今度は槍で払われる。
 そこに今度はマヤの大盾が突き出されるが、紙一重でかわしたカルーアは、千王をすでに双剣へ変えていて、片方をマヤの上空へ。
 マヤがこれを大盾で防ごうとしようとすれば、マヤの前面が隙だらけになる。そこを突こうという作戦だろうが、マヤはこれを大盾を拡張させることで、上部も前面もカバーしてみせる。
 「くっ」
 通じないと分かるやいなや、カルーアは剣を回収し弓に変え、遠距離攻撃に戦型を変える。
 弓なんてマヤの大盾に通じない、と思っていたが、カルーアの射った矢は射ち損じかと思いきや、そこから曲がってきた。
「ぐっ」
 マヤも思っていなかった展開に、体を無理に捻ってその矢を防ぐが、カルーアの次矢がマヤの体を掠める。
「ふふ」
 大盾を持つ肩を掠めたことで、気を良くしたカルーアが、三矢四矢と次々と矢を射っていくが、掠めた程度でマヤの大盾捌きは揺るがない。その見事な大盾捌きでカルーアの矢は全て防いでいるが、矢継ぎ早とはこのことと言うほどのカルーアの連続攻撃で、マヤもは中々攻撃に転じることができなかった。
 マヤは防御に手一杯で、カルーアも攻撃決め手を欠けていた。どちらかが何かしらを仕掛けなければならない状況で、先に動いたのは、カルーアだった。
 矢継ぎ早の連続を一旦止め、ワイヤーの張りを二度三度確認したかと思うと、ギリギリと全身の筋肉を引き絞るように弓を引いていくカルーア。その様子から、ワイヤーの張りが今までの弓とまるで違い、強力になっているのが分かる。さらに矢まで光輝き始めれば、それがカルーアの必殺技であることは明白だ。
 射ち出させまいとマヤが駆け寄るが、それでは間に合いそうない。マヤはカルーアが弓を引ききるよりも早く、手斧をカルーアに向けて投げ付ける。
 それを冷静に紙一重で避けたカルーアだったが、その余計な時間分マヤを近くに引き寄せてしまった。
 すでに眼前、息がかかるほどに肉薄する両者。これだけ近ければ攻撃の衝撃が自らにも及ぶのは頭を過っただろうに、カルーアは躊躇なくワイヤーから手を離した。
 
 ドンッ!
 炸裂音が会場中に響き渡り、肉薄していた二人の乙女が音の中心から吹き飛ばされる。
 互いに舞台の端と端まで吹き飛ばされ、動けずにいる。マヤの大盾とカルーアの千王は、ともに破壊されボロボロだ。
「うう……」
「うぐっ……」
 そんな中で二人もボロボロになりながら立ち上がろうとしていた。
「うおおおおおお!!」
 気合いとともに立ち上がったのはマヤだった。カルーアは立ち上がれず戦闘不能とみなされ、そこでマヤの勝利が決まった。やはり大盾が壊されたとはいえ、防御に優ったマヤに軍配は上がったのだ。
 会場中から両者を讃える拍手が鳴り止まない中、マヤがカルーアの手を取って引き起こす。
「ふふん。ま、今回は私の勝ちってことで」
「次出会った時、覚えてなさいよ」
 などと言いながら舞台袖まで戻ってきた二人だったが、烈牙さんを見たカルーアが、
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