マグ拳ファイター!!

西順

3

「いいか、マグ拳てのは剣や拳で闘いこともあれば、魔法も使う。何でもありの武術だ。その戦型は、プレイヤーの数だけあると言っても過言ではない」
「ふむふむ」頷くオレ。
「魔法を使うには当然魔力が必要だ。このマグ拳ワールドでは魔力は大きく分けて二つに分類される。潜在魔力と顕在魔力だ」
「なるほど」頷くオレ。
「潜在魔力ってのは、まだ発現していない、効果を発揮していない魔力のこと。他のゲームでいうMPってやつな」
「MP?」首を傾げるオレ。
「MPってのは、マジックパワーとかマジックポイントの略語で、このポイントを消費することで魔法が使えるってのが、普通のゲームだ」
 なるほど、ポイントカードで商品がもらえるみたいなことか。
「ただこのゲームにおいてはMPもHPもステータスも、全部隠しパラメータになってるけどな」
「えっ、隠されてるの?」
 隠されていたら自分がいくらポイントを持ってて、いくら使ったのか分からないじゃないか。
「まあ仕方ないんだよ。ちょっと見てろ」
 アキラは地面の砂をギュッと掴むと、それだけで石に変えてしまう。
「このゲーム、魔法で相当細かいことまでできるから。砂を固めて石を作るのに、いちいち砂の数を数えるの面倒だろ?」
 いまいちよく分からんが、相当細かくポイント分けされているようだ。
「で、もう一つが顕在魔力だ。これは端的に言えば発現した後の魔力、MPで消費された魔力のこと。火とか水とかに変化した後の魔力だな。まあこのゲームに火とか水とかの魔法は存在しないだけど」
「えっ、そうなのか?」
 本の中のような魔法は使えないのか。がっかりだな。
「でもまあ、組み合わせ次第だな」
「組み合わせ?」
「基礎魔法でもマテで火とか水を造り出せるけど、それらを操るのは応用魔法の領域だからな」
 何を言っているのか、さっぱり分からない。
「とりあえず、このゲームをやっていけば、火とか水とかは使えるようになるんだな?」
「なる」
 ならいい。ゲームの中だけとは言え、魔法が使える。今更ながらちょっとワクワクしてきたな。
「で、ここからが本番。この顕在魔力には五つ種類がある」
「五つの……種類?」首を傾げるオレ。
「要するに、大まかに分けると五つのパターンに変化する。五つの魔法があるってことだ。これが基礎魔法と呼ばれている」
「基礎魔法……!」 さっき聞いた言葉だ。

コメント

コメントを書く

「SF」の人気作品

書籍化作品