What should I do?
ep.10
早く部屋に戻って風呂に入らないと、榮が帰って来る。
ゆっくりとお風呂にも入れなくなるのかと売店を横通るとふっと見えた窓から満月が雲の隙間から現れる。
「今日は満月か」
窓の側で一瞬立ち止まり眺める氷真だったが、雲に隠れ見えなくなり手を握り締めエレベーターへと足を動かした。
「ん?
中庭にいた新入生か」
その聞き覚えのある声に振り向くと、あの俺を貶したとても美形な先輩だ。
最悪だと思う俺の顔を見てふっと笑う先輩。
「お前ぐらいだ、俺を見てそんな顔をする者は」
顔に出てしまったか。
気を付けないと…いや、気を付けなくてもいいか。
嫌なものは嫌なんだし。
「会いたくなかったんで」
「直に言われたのも初めてだ」
不快な言葉だろうに面白そうにする先輩だ。
笑った顔が凄く格好いいのも嫌な理由でもある。
羨ましい限りだ、本当に。
「食堂か?」
「まぁ、はい」
売店から出て来た先輩は沢山入ったポリ袋を片手に持ち、ちらっと中を見ると野菜や肉類etc…。
ちょっと意外だ。
「料理するんですね」
「少しはな。
お前は食堂か?」
「はい。
食堂に行かないんですか?」
「煩いからな」
春と悠人と榮がいてあれだけ煩かったなら、こいつなら更に煩くなるのか。
それは嫌だな。
絶対俺不機嫌になる自信がある。
「俺も先輩とは行きたくないです」
「だろ。
作ってやろうか?」
「結構です」
返答が分かっているのだろう、笑っていた。
嫌われるのがそんなに嬉しいのか?
変態か?
「ん?
何で下がった?」
「嫌、嫌われて嬉しがるとかへんた…」
「ほぉー、俺にそんな事言う奴もお前ぐらいだ。
この顔で嫌われた事が無いからな」
「自慢ですね。
俺にとっては嫌みに聞こえる」
イケメン顔を見たくないので前を向きエレベーターのボタンを押して早く来いと願うのみ。
「俺はお前の顔が不細工だとは言ってないぞ」
「スルーって固定って事ですよね?」
「自虐的な奴にフォローしても無駄だろ」
…うん、確かに。
自分で自分の顔を貶してたっけ?
じゃぁ、悪いの俺なわけ?
いや、でもやっぱフォローするべきじゃね?
少し納得してしまい、思ってた以上に嫌な奴じゃないかもしれない。
「お前を不細工だとは思っていないし」
「じゃあ否定しろよ」
「触れられたくないのかと思ってな」
どちらかと言えば美形に顔をどやかく言われるのは嫌だな。
よく理解してらっしゃる。
てか会って直ぐ分かるのものかな?
「何、エスパー?」
「お前の場合は顔に直ぐ出るから分かる」
隠す意味無いし。
「でも俺嘘バレた事ないけど」
「隠す気無いから分かりやすいだけで隠す場合は上手いだけだろ。
見抜いてやろうか?」
冗談か本当か、此方を見ている事に気付くも氷真は向くことは無い。
「出来るものなら」
「やってやる」
含み笑う先輩のその言葉に返答を間違えたかもしれないと思った。
挑ませてるようなもので、俺の自業自得でしかない。
俺の嘘は全てバレそうな気がする。
美形で察しがいい奴はやっぱ嫌いだ。
エレベーターの着く音が鳴り、俺は中に入るも先輩は入らない。
「名前聞いてなかったな」
「名前を聞くなら「俺は紅条都毅。
で、お前は?」…」
俺の言う言葉が分かっていたのか直ぐに答えた先輩。
面と向き目が合う。
反らせば負けな気がして反らせない。
「四宮氷真」
「そうか。
じゃあな、氷真」
すっきりしたようなそんな笑みを浮かべエレベーターの扉が閉まった。
上がらないならエレベーター前で待つなよ。
俺はあいつと真逆で腹の中がもやもやする。
笑った顔がイケメン過ぎるのもムカつくが、何だろうかあいつのぶれなさそうなそういう感じか凄く嫌だ。
自分の思った通りにやれて、実力があって自分に自信がある感じ。
本当に真逆、思った通り生きれない、自信の無い自分。
鬱憤ばらしで暴れてそれでも自由に生きられない。
あんな風に出来たらと思った瞬間に懐かしい過去の記憶がふっと思い出した。
満月を見たからかもしれない。
満月を見ながら庭でよくご飯を食べたっけ。
暑い夏でも寒い冬でも満月が好きだと言った母さんに付き合う父さんと俺。
大丈夫、俺は大丈夫。
羨ましがらない、今のままでいい。
腕を爪が食い込む程力を入れて前を向く。
負けない泣かない、絶対に。
「この生活に慣れないようにしないと」
こんな日々が三年続くのかと思うと辛い。
今から離れるのもの出来ないな。
さっさと風呂に入って寝よ。
ポケットからカードキーを出し鍵を開けて部屋に入った。
次回、8月13日投稿予定
(後回しにしてしまいそうなので、期限決めました。
過ぎたら申し訳ございません!)
ゆっくりとお風呂にも入れなくなるのかと売店を横通るとふっと見えた窓から満月が雲の隙間から現れる。
「今日は満月か」
窓の側で一瞬立ち止まり眺める氷真だったが、雲に隠れ見えなくなり手を握り締めエレベーターへと足を動かした。
「ん?
中庭にいた新入生か」
その聞き覚えのある声に振り向くと、あの俺を貶したとても美形な先輩だ。
最悪だと思う俺の顔を見てふっと笑う先輩。
「お前ぐらいだ、俺を見てそんな顔をする者は」
顔に出てしまったか。
気を付けないと…いや、気を付けなくてもいいか。
嫌なものは嫌なんだし。
「会いたくなかったんで」
「直に言われたのも初めてだ」
不快な言葉だろうに面白そうにする先輩だ。
笑った顔が凄く格好いいのも嫌な理由でもある。
羨ましい限りだ、本当に。
「食堂か?」
「まぁ、はい」
売店から出て来た先輩は沢山入ったポリ袋を片手に持ち、ちらっと中を見ると野菜や肉類etc…。
ちょっと意外だ。
「料理するんですね」
「少しはな。
お前は食堂か?」
「はい。
食堂に行かないんですか?」
「煩いからな」
春と悠人と榮がいてあれだけ煩かったなら、こいつなら更に煩くなるのか。
それは嫌だな。
絶対俺不機嫌になる自信がある。
「俺も先輩とは行きたくないです」
「だろ。
作ってやろうか?」
「結構です」
返答が分かっているのだろう、笑っていた。
嫌われるのがそんなに嬉しいのか?
変態か?
「ん?
何で下がった?」
「嫌、嫌われて嬉しがるとかへんた…」
「ほぉー、俺にそんな事言う奴もお前ぐらいだ。
この顔で嫌われた事が無いからな」
「自慢ですね。
俺にとっては嫌みに聞こえる」
イケメン顔を見たくないので前を向きエレベーターのボタンを押して早く来いと願うのみ。
「俺はお前の顔が不細工だとは言ってないぞ」
「スルーって固定って事ですよね?」
「自虐的な奴にフォローしても無駄だろ」
…うん、確かに。
自分で自分の顔を貶してたっけ?
じゃぁ、悪いの俺なわけ?
いや、でもやっぱフォローするべきじゃね?
少し納得してしまい、思ってた以上に嫌な奴じゃないかもしれない。
「お前を不細工だとは思っていないし」
「じゃあ否定しろよ」
「触れられたくないのかと思ってな」
どちらかと言えば美形に顔をどやかく言われるのは嫌だな。
よく理解してらっしゃる。
てか会って直ぐ分かるのものかな?
「何、エスパー?」
「お前の場合は顔に直ぐ出るから分かる」
隠す意味無いし。
「でも俺嘘バレた事ないけど」
「隠す気無いから分かりやすいだけで隠す場合は上手いだけだろ。
見抜いてやろうか?」
冗談か本当か、此方を見ている事に気付くも氷真は向くことは無い。
「出来るものなら」
「やってやる」
含み笑う先輩のその言葉に返答を間違えたかもしれないと思った。
挑ませてるようなもので、俺の自業自得でしかない。
俺の嘘は全てバレそうな気がする。
美形で察しがいい奴はやっぱ嫌いだ。
エレベーターの着く音が鳴り、俺は中に入るも先輩は入らない。
「名前聞いてなかったな」
「名前を聞くなら「俺は紅条都毅。
で、お前は?」…」
俺の言う言葉が分かっていたのか直ぐに答えた先輩。
面と向き目が合う。
反らせば負けな気がして反らせない。
「四宮氷真」
「そうか。
じゃあな、氷真」
すっきりしたようなそんな笑みを浮かべエレベーターの扉が閉まった。
上がらないならエレベーター前で待つなよ。
俺はあいつと真逆で腹の中がもやもやする。
笑った顔がイケメン過ぎるのもムカつくが、何だろうかあいつのぶれなさそうなそういう感じか凄く嫌だ。
自分の思った通りにやれて、実力があって自分に自信がある感じ。
本当に真逆、思った通り生きれない、自信の無い自分。
鬱憤ばらしで暴れてそれでも自由に生きられない。
あんな風に出来たらと思った瞬間に懐かしい過去の記憶がふっと思い出した。
満月を見たからかもしれない。
満月を見ながら庭でよくご飯を食べたっけ。
暑い夏でも寒い冬でも満月が好きだと言った母さんに付き合う父さんと俺。
大丈夫、俺は大丈夫。
羨ましがらない、今のままでいい。
腕を爪が食い込む程力を入れて前を向く。
負けない泣かない、絶対に。
「この生活に慣れないようにしないと」
こんな日々が三年続くのかと思うと辛い。
今から離れるのもの出来ないな。
さっさと風呂に入って寝よ。
ポケットからカードキーを出し鍵を開けて部屋に入った。
次回、8月13日投稿予定
(後回しにしてしまいそうなので、期限決めました。
過ぎたら申し訳ございません!)
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