仕事やめて神の代行者始めました
勇者の生まれた町
「はぁ」
「起きたかどうしたシガミ、魔法は解いてやったというのに随分と眠たそうだな」
「おかげさまでな」
「?」
結局あまり眠れなかった、強い力を手に入れたと言っても寝不足には勝てないか。
「ところで町長がシガミが起きたら降りてくるよう言っておったぞ」
あぁ、そうだったな今日は隣町まで荷物を持っていくんだった、顔を洗うとすぐに一階に降りる。
「起きられましたな、昨夜はゆっくり眠れ…なかったのですかな?」
「いえ、眠れましたとも」
「目の下に隈をつけて言われても説得力がないぞクックック」
「イータうるさい、それより依頼の件を」
「そうじゃった、早速で悪いのだがこの荷物を運んでもらいたい、というより町までの護衛が主な内容です」
見ると面に荷台に乗せられた風呂敷が山のようにある。
「結構ありますね」
「お願いできますかな?」
「はい、問題ありません」
「てはこちらが依頼料です」
「完了してからでなくてよろしいのですか?」
「ほっほ、既に森の魔物を討伐していただいたのです、この分も含まれておりますのでどうぞお受け取りください」
町長はそう言うとお金が入っているであろう袋を手渡した。隣町までは結構な距離があるらしい、聞くと徒歩で朝でて夕方ごろには着くとのこと、最近運動不足気味だったので不安だったがどうやら問題ないらしいこれもソウルとやらが多いお陰なのだろうか。後ろをチラリと見ると最初は「うむ、たまには歩くのも良かろう」とかいって張り切ってたイータだったが一時間程歩いただろうか、その辺りからぐったりしている。
「シガミそろそろ休憩しないか?」
「まだ一時間くらいしか歩いてないだろ」
「私、もう限界なのだけど」
「急がないと夕方までに着かないだろ?」
「むー、なぜ空間転移を使わぬのだ教えたであろう」
実は出発する前、空間転移なるものが出来ることを聞かされたのだがその呪文のカッコ悪さに却下したのである。
「やだよ、カッコ悪いし僕をこの星に送るときに使ったやつだろ?はらりんなんとかっていう」
「ええい格好を気にしておる場合か!」
「それに空間転移って普通の人はまず使うことのできない上位の魔法なんだろ?そんなの使ったら目立つし」
まだこの世界に来たばかりで何の情報もないまま目立つと、いきなりボスのようなものと会う可能性だってある。いくら今の僕が強いとはいえこの世界にきたばかりの素人だ、言うなればレベル百でゲームを始めたばかりの状態だ、そんな状態で目をつけられるのは避けたい。
「むー、もう歩けない疲れたおんぶしてー!」
「お前はお子さまか!」
「どうもこの肉体は体力がまるでないのだ」
なら何故そんな体にしたのだ神様よ。先導していた役人が心配そうに振り替えってきたが大丈夫のサインを送る。
「仕方ないな、ほれ」
僕が屈むと、イータはすぐに背中に飛び込んできた。それを軽々背負うと再び歩きだす。
「ところでイータもっとこうカッコよくて実用的な魔法はないの?」
「あるぞ、エル-ドラクマナハトという魔法がある」
「おおお、なんかカッコいい!どんな魔法なの!?」
「腹痛に良く効く魔法だ、私みたいな神には役に立たないが、そなたら人間達にはかなり役に立つ魔法だろう」
「つっかえねぇ魔法だな!」
「何を言っておる、使えぬ魔法などこの世にはない、いいか魔法と言うものはだな呪文さえ知っていれば誰でも使えると思ったら大間違いだ。その魔法を編み出すのに絶え間ない努力をして作り出された魔法はその作者の色々な思いが込められておるのだ。それをそんな風に無下に扱っては使える魔法も本来の力を発揮できぬ」
「悪かったよ今の失言は撤回する、確かにその腹痛に効く魔法も誰かを思って作られた魔法なんだろうな」
「うむ、分かったならよい」
「神様もたまにはいいこと言うんだな」
「私はいつもためになることしか言っておらぬぞ?」
「ソダネー」
イータの言葉を左に流しながら辺りを見回す、この辺りは平原で見渡しも良く魔物の気配もなく道は一本道で地平線まで続いていた。僕は次の町の情報を聞くため先導者に近づく。
「あの」
「はいなんでしょう」
「今向かっている町はどんなところなんですか?」
「おや、行かれたことがないのですか?この辺りではかなり有名な町なのですが」
「はい、最近旅を始めたばかりでして」
「そうでしたか今私たちが向かっている町グレビアは、数百年前魔王を倒したと言われる勇者がいた町なのです」
「へぇ、勇者のいた町か」
「はい、そのせいか町には大きなギルドがあり各地のハンター達が我こそは次の勇者になると集まる最大の都市と言っていいでしょう」
勇者にハンターにギルドか、どれも前の世界には無かったものだ。少し興味が湧いてきたぞ決めた、任務が終わったらその町を見て回ろう。
どれくらい歩いただろうか、辺りは夕暮れに染まってきた。
「ほれ、見えてきましたあれが勇者の生まれた町グレビアです」
先導者が指差した先を見ると、遠くでも分かるくらい大きな建造物があるのが見える。それは近づくにつれてその迫力を増していく。最初に行った町とは二まわり以上大きく町中はところ狭しと沢山の店や露店があり、まるでお祭りかのように多くの人で賑わっていた。
「それではこれで依頼も完了です、有り難うございました」
「いえ、こちらこそ護衛らしいことはなにもしていませんが」
途中魔物に襲われることもなく、ただついてきただけで報酬を受け取るのは正直後ろめたさがあったがともかく何事もなく依頼は完了した。イータに目をやるといつの間にか寝てしまっている、のんきなやつだ結局僕が最後までおぶってやったんじゃないか。
「ん、うむ着いたようだな」
どうやら起きたらしいイータは背中から飛び降りると背伸びをしながらもその目はまだ眠そうだ。
「これからどうするのだ?」
「取り敢えずギルドってところに行ってみるか」
あの先導の話では、ハンター達をまとめているギルドの本部がここにあるらしい、予め場所を教えてもらっていたのだが何せ大きな町と言うこともあり見つけるのに苦労したがなんとか目的地にたどり着く事ができた。
「いらっしゃいませ!」
中に入ると受付らしい女性が話しかけてくる。
「ようこそ、ギルド統括所へ今回はどのようなご用件でしょうか」
「いえ、少し見学に…」
「初めての方でございますね?それではまずこちらに登録されることをお勧めします、こちらに登録されますと色々な特典や依頼の受注、ギルドへの参加など加入していないと出来ないことができちゃいます!」
「へぇ、面白そうだな」
「ではまずこちらにお名前と登録手数料として200ラリー頂きます!そちらの小さい子は…」
「金とるのかよまぁそのくらいなら、この子供は関係ないから僕だけで」
「そうですか、それでは200ラリーと今なら加入特典としてポーション3つ150ラリーです」
「え、いや別にポーションはいらな…」
「駄目ですよ!ポーションは冒険には必需品持ってない何て言ったら他のハンターさんたちに笑われちゃいますよ!」
「えっと…」
「それでは、登録手数料200ラリーとポーション3つ150ラリーで計350ラリーになります!」
「その…」
「350ラリーになります!」
「…」
「ご登録有り難うございましたー!」
結局勢いに負けて買ってしまった、こういうの断れないのは日本人の悪いところだよなぁ…。
「それでは、こちらが加入者の証であるこのブロンズのバッチとポーションです」
「このバッチは?」
「バッチはですねそのハンターの階級のようなものです。ブロンズから始まって、シルバー、ゴールド、プラチナ、ダイヤと上がっていきます、階級があがればより上位の依頼もご紹介出来るでしょう」
「なるほどね」
「えーっと、シガミ様はまだ入ったばかりの新米さんなのでギルドに入ることをお勧めします、またギルドを自分で作る場合は別料金として500ラリー頂きますが」
「いやいいよ」
「そうですか、因みにここギルド統括所には122のギルドと394のハンターが登録しています。何か困ったことがあれば先輩のハンターさんや私達もお力になるでしょう、目指せ次世代の勇者!私達はハンターさん達を応援しております」
「あ、ありがとう」
バッチとポーションを受けとるとその場を後に出口へ向かう、建物を出ようとしたとき一人の男が駆け寄ってくる。
「起きたかどうしたシガミ、魔法は解いてやったというのに随分と眠たそうだな」
「おかげさまでな」
「?」
結局あまり眠れなかった、強い力を手に入れたと言っても寝不足には勝てないか。
「ところで町長がシガミが起きたら降りてくるよう言っておったぞ」
あぁ、そうだったな今日は隣町まで荷物を持っていくんだった、顔を洗うとすぐに一階に降りる。
「起きられましたな、昨夜はゆっくり眠れ…なかったのですかな?」
「いえ、眠れましたとも」
「目の下に隈をつけて言われても説得力がないぞクックック」
「イータうるさい、それより依頼の件を」
「そうじゃった、早速で悪いのだがこの荷物を運んでもらいたい、というより町までの護衛が主な内容です」
見ると面に荷台に乗せられた風呂敷が山のようにある。
「結構ありますね」
「お願いできますかな?」
「はい、問題ありません」
「てはこちらが依頼料です」
「完了してからでなくてよろしいのですか?」
「ほっほ、既に森の魔物を討伐していただいたのです、この分も含まれておりますのでどうぞお受け取りください」
町長はそう言うとお金が入っているであろう袋を手渡した。隣町までは結構な距離があるらしい、聞くと徒歩で朝でて夕方ごろには着くとのこと、最近運動不足気味だったので不安だったがどうやら問題ないらしいこれもソウルとやらが多いお陰なのだろうか。後ろをチラリと見ると最初は「うむ、たまには歩くのも良かろう」とかいって張り切ってたイータだったが一時間程歩いただろうか、その辺りからぐったりしている。
「シガミそろそろ休憩しないか?」
「まだ一時間くらいしか歩いてないだろ」
「私、もう限界なのだけど」
「急がないと夕方までに着かないだろ?」
「むー、なぜ空間転移を使わぬのだ教えたであろう」
実は出発する前、空間転移なるものが出来ることを聞かされたのだがその呪文のカッコ悪さに却下したのである。
「やだよ、カッコ悪いし僕をこの星に送るときに使ったやつだろ?はらりんなんとかっていう」
「ええい格好を気にしておる場合か!」
「それに空間転移って普通の人はまず使うことのできない上位の魔法なんだろ?そんなの使ったら目立つし」
まだこの世界に来たばかりで何の情報もないまま目立つと、いきなりボスのようなものと会う可能性だってある。いくら今の僕が強いとはいえこの世界にきたばかりの素人だ、言うなればレベル百でゲームを始めたばかりの状態だ、そんな状態で目をつけられるのは避けたい。
「むー、もう歩けない疲れたおんぶしてー!」
「お前はお子さまか!」
「どうもこの肉体は体力がまるでないのだ」
なら何故そんな体にしたのだ神様よ。先導していた役人が心配そうに振り替えってきたが大丈夫のサインを送る。
「仕方ないな、ほれ」
僕が屈むと、イータはすぐに背中に飛び込んできた。それを軽々背負うと再び歩きだす。
「ところでイータもっとこうカッコよくて実用的な魔法はないの?」
「あるぞ、エル-ドラクマナハトという魔法がある」
「おおお、なんかカッコいい!どんな魔法なの!?」
「腹痛に良く効く魔法だ、私みたいな神には役に立たないが、そなたら人間達にはかなり役に立つ魔法だろう」
「つっかえねぇ魔法だな!」
「何を言っておる、使えぬ魔法などこの世にはない、いいか魔法と言うものはだな呪文さえ知っていれば誰でも使えると思ったら大間違いだ。その魔法を編み出すのに絶え間ない努力をして作り出された魔法はその作者の色々な思いが込められておるのだ。それをそんな風に無下に扱っては使える魔法も本来の力を発揮できぬ」
「悪かったよ今の失言は撤回する、確かにその腹痛に効く魔法も誰かを思って作られた魔法なんだろうな」
「うむ、分かったならよい」
「神様もたまにはいいこと言うんだな」
「私はいつもためになることしか言っておらぬぞ?」
「ソダネー」
イータの言葉を左に流しながら辺りを見回す、この辺りは平原で見渡しも良く魔物の気配もなく道は一本道で地平線まで続いていた。僕は次の町の情報を聞くため先導者に近づく。
「あの」
「はいなんでしょう」
「今向かっている町はどんなところなんですか?」
「おや、行かれたことがないのですか?この辺りではかなり有名な町なのですが」
「はい、最近旅を始めたばかりでして」
「そうでしたか今私たちが向かっている町グレビアは、数百年前魔王を倒したと言われる勇者がいた町なのです」
「へぇ、勇者のいた町か」
「はい、そのせいか町には大きなギルドがあり各地のハンター達が我こそは次の勇者になると集まる最大の都市と言っていいでしょう」
勇者にハンターにギルドか、どれも前の世界には無かったものだ。少し興味が湧いてきたぞ決めた、任務が終わったらその町を見て回ろう。
どれくらい歩いただろうか、辺りは夕暮れに染まってきた。
「ほれ、見えてきましたあれが勇者の生まれた町グレビアです」
先導者が指差した先を見ると、遠くでも分かるくらい大きな建造物があるのが見える。それは近づくにつれてその迫力を増していく。最初に行った町とは二まわり以上大きく町中はところ狭しと沢山の店や露店があり、まるでお祭りかのように多くの人で賑わっていた。
「それではこれで依頼も完了です、有り難うございました」
「いえ、こちらこそ護衛らしいことはなにもしていませんが」
途中魔物に襲われることもなく、ただついてきただけで報酬を受け取るのは正直後ろめたさがあったがともかく何事もなく依頼は完了した。イータに目をやるといつの間にか寝てしまっている、のんきなやつだ結局僕が最後までおぶってやったんじゃないか。
「ん、うむ着いたようだな」
どうやら起きたらしいイータは背中から飛び降りると背伸びをしながらもその目はまだ眠そうだ。
「これからどうするのだ?」
「取り敢えずギルドってところに行ってみるか」
あの先導の話では、ハンター達をまとめているギルドの本部がここにあるらしい、予め場所を教えてもらっていたのだが何せ大きな町と言うこともあり見つけるのに苦労したがなんとか目的地にたどり着く事ができた。
「いらっしゃいませ!」
中に入ると受付らしい女性が話しかけてくる。
「ようこそ、ギルド統括所へ今回はどのようなご用件でしょうか」
「いえ、少し見学に…」
「初めての方でございますね?それではまずこちらに登録されることをお勧めします、こちらに登録されますと色々な特典や依頼の受注、ギルドへの参加など加入していないと出来ないことができちゃいます!」
「へぇ、面白そうだな」
「ではまずこちらにお名前と登録手数料として200ラリー頂きます!そちらの小さい子は…」
「金とるのかよまぁそのくらいなら、この子供は関係ないから僕だけで」
「そうですか、それでは200ラリーと今なら加入特典としてポーション3つ150ラリーです」
「え、いや別にポーションはいらな…」
「駄目ですよ!ポーションは冒険には必需品持ってない何て言ったら他のハンターさんたちに笑われちゃいますよ!」
「えっと…」
「それでは、登録手数料200ラリーとポーション3つ150ラリーで計350ラリーになります!」
「その…」
「350ラリーになります!」
「…」
「ご登録有り難うございましたー!」
結局勢いに負けて買ってしまった、こういうの断れないのは日本人の悪いところだよなぁ…。
「それでは、こちらが加入者の証であるこのブロンズのバッチとポーションです」
「このバッチは?」
「バッチはですねそのハンターの階級のようなものです。ブロンズから始まって、シルバー、ゴールド、プラチナ、ダイヤと上がっていきます、階級があがればより上位の依頼もご紹介出来るでしょう」
「なるほどね」
「えーっと、シガミ様はまだ入ったばかりの新米さんなのでギルドに入ることをお勧めします、またギルドを自分で作る場合は別料金として500ラリー頂きますが」
「いやいいよ」
「そうですか、因みにここギルド統括所には122のギルドと394のハンターが登録しています。何か困ったことがあれば先輩のハンターさんや私達もお力になるでしょう、目指せ次世代の勇者!私達はハンターさん達を応援しております」
「あ、ありがとう」
バッチとポーションを受けとるとその場を後に出口へ向かう、建物を出ようとしたとき一人の男が駆け寄ってくる。
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