炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
23節 嫌なことを思い付いた
「七日、やれ」
数十分ワカナは石を溶かし続けていた。飽きもせずに六日が石を飛ばし続け、それが刺さるのをワカナが防ぐ。そして、ワカナの顔に段々と疲れではないが、恐れのようなものに染まり始めた。それに気がついたアノニムが近くにいた七日に命じるように言った。
「了……解っ!」
待ってましたと言うように七日が六日に向けて角材を振り下ろす。アノニムの声が小さかったからか、六日自身にも疲れが出ていたからか六日は抵抗することもなく後頭部を殴られて倒れた。
「七日、感謝します。……七日とコトも結界に入ってください。何かムカつくので六日さんを殺します。感謝しているので巻き込みたくありません」
「構わないけど、おねーちゃんにムカついてんのはワカナだけじゃないからね」
最後の一つを溶かしたワカナが少しずつ降りてきながら言う。そして、七日は若干先が赤く染まった角材を肩に担いでワカナの言葉に返す。
「わかってはますが、六日さんは七日では殺せません。何をしたのかわかりませんが、殴り続けても燃やしても六日さんは死にません。人間ではないですね。なので、元から溶かします。たぶん後ろの壁も溶けるので気を付けてくださいね」
ワカナは軽く頷いて七日を睨む。そうしたつもりはなかったが、六日に対する殺意のせいか目を赤く光らせ、力を入れてしまっていた。眉を寄せ、地面に足をつけても六日の方に向かうのを嫌がっているようにも見える。
「躊躇う必要はないわ。やりなさい、若菜」
黙っていた麗菜がそう言った。優しく暖かい笑みを若菜に見せながら穏やかな黒い目を細める。
「……はいっ!」
ワカナは今まで麗菜がいたことを忘れていたのか麗菜を見つけたワカナが頬を赤くして元気に返事をした。
「じゃあ、お姉ちゃんも良いって言ってますし、遠慮なく……」
ワカナは自分の全身を炎で包んだ。都合よく手袋とリボンだけが焼け落ち、鋭い爪が露になり、長い黒髪が結っていた力を失いフワッと広がる。
「遠慮なく殺すとしま……すっか」
そう言ってワカナが六日の首を握る。窒息で殺せないとしてもワカナが持つ吸血鬼の腕力があれば逃げられることはない。
「目、覚めてるな。そんなに寝てる振りしてんととりあえず首を胴体から引き剥がすぞ。起きろ」
首を持った手を少し持ち上げて違和感を感じたワカナが目が笑っていない微笑みで六日に言う。握った手に力を入れて六日の首にシワができる。
「コホコホ……。何がしたいのよ、若菜さん」
首が絞まったことは苦しいのか、軽く咳をした六日がワカナに尋ねる。
「さあ、何がしたいのかはわからない。ただ貴女を殺さないといけない気しかしないんだよなぁ。だから私のために形を保ったまま魂を溶かそうかと。情けをかけてるんだから感謝は?」
ワカナがさらに六日の首を握る力をさらに強くする。そして、ニコニコと微笑みながら言い、自分の中にある熱を外へ外へと広げる。
「……っ」
「何か言ったか?」
息ができないのに苦しくない六日が何かを話そうとした。しかし、握られ潰された喉からは空気すらも出ずにワカナの怒りを煽る。
「感謝は無くて良いや。だから黙って死ね」
にこりと最大限の笑みを浮かべたワカナがそう言い、自分の外に出した熱を六日に向ける。
「……ぁ……つ」
「黙れって言いました。熱くても無反応を求めますよ。あー、それが感謝をしない代わりだ。敬語になれるとこっちの方が難しいんだな」
腹の奥の方から熱が襲い、六日の喉から微かに声が漏れる。それが耳に入り、ワカナは六日の喉に爪を突き立て、皮膚を破る。
「あ、黙ってくれたな。そうだな、せっかく観客もいるんだし、見た目を派手にしようか」
ワカナは嫌なことを思い付いた。
六日を掴んでいない方の手に小さな炎を灯す。それをちょうどワカナの目のたかさ辺りにある六日の腹に押し付ける。その内側はワカナが送った熱で溶けそうになっているだろう。
「──っ」
内側からも外側からも熱を加えられているが、ワカナが首を握る力が強く、完全に潰れてしまった六日の喉からは声がもうでない。息ができない苦しさはないのにワカナが加える熱は苦しい。涙を流し、転がり回りたいと思ってもワカナがそれを許さない。
「遠慮すんなよ。魂が溶けきるまでこれを続けるんだからこれが最期の感覚になるぞ。遠慮せず楽しめ」
数十分ワカナは石を溶かし続けていた。飽きもせずに六日が石を飛ばし続け、それが刺さるのをワカナが防ぐ。そして、ワカナの顔に段々と疲れではないが、恐れのようなものに染まり始めた。それに気がついたアノニムが近くにいた七日に命じるように言った。
「了……解っ!」
待ってましたと言うように七日が六日に向けて角材を振り下ろす。アノニムの声が小さかったからか、六日自身にも疲れが出ていたからか六日は抵抗することもなく後頭部を殴られて倒れた。
「七日、感謝します。……七日とコトも結界に入ってください。何かムカつくので六日さんを殺します。感謝しているので巻き込みたくありません」
「構わないけど、おねーちゃんにムカついてんのはワカナだけじゃないからね」
最後の一つを溶かしたワカナが少しずつ降りてきながら言う。そして、七日は若干先が赤く染まった角材を肩に担いでワカナの言葉に返す。
「わかってはますが、六日さんは七日では殺せません。何をしたのかわかりませんが、殴り続けても燃やしても六日さんは死にません。人間ではないですね。なので、元から溶かします。たぶん後ろの壁も溶けるので気を付けてくださいね」
ワカナは軽く頷いて七日を睨む。そうしたつもりはなかったが、六日に対する殺意のせいか目を赤く光らせ、力を入れてしまっていた。眉を寄せ、地面に足をつけても六日の方に向かうのを嫌がっているようにも見える。
「躊躇う必要はないわ。やりなさい、若菜」
黙っていた麗菜がそう言った。優しく暖かい笑みを若菜に見せながら穏やかな黒い目を細める。
「……はいっ!」
ワカナは今まで麗菜がいたことを忘れていたのか麗菜を見つけたワカナが頬を赤くして元気に返事をした。
「じゃあ、お姉ちゃんも良いって言ってますし、遠慮なく……」
ワカナは自分の全身を炎で包んだ。都合よく手袋とリボンだけが焼け落ち、鋭い爪が露になり、長い黒髪が結っていた力を失いフワッと広がる。
「遠慮なく殺すとしま……すっか」
そう言ってワカナが六日の首を握る。窒息で殺せないとしてもワカナが持つ吸血鬼の腕力があれば逃げられることはない。
「目、覚めてるな。そんなに寝てる振りしてんととりあえず首を胴体から引き剥がすぞ。起きろ」
首を持った手を少し持ち上げて違和感を感じたワカナが目が笑っていない微笑みで六日に言う。握った手に力を入れて六日の首にシワができる。
「コホコホ……。何がしたいのよ、若菜さん」
首が絞まったことは苦しいのか、軽く咳をした六日がワカナに尋ねる。
「さあ、何がしたいのかはわからない。ただ貴女を殺さないといけない気しかしないんだよなぁ。だから私のために形を保ったまま魂を溶かそうかと。情けをかけてるんだから感謝は?」
ワカナがさらに六日の首を握る力をさらに強くする。そして、ニコニコと微笑みながら言い、自分の中にある熱を外へ外へと広げる。
「……っ」
「何か言ったか?」
息ができないのに苦しくない六日が何かを話そうとした。しかし、握られ潰された喉からは空気すらも出ずにワカナの怒りを煽る。
「感謝は無くて良いや。だから黙って死ね」
にこりと最大限の笑みを浮かべたワカナがそう言い、自分の外に出した熱を六日に向ける。
「……ぁ……つ」
「黙れって言いました。熱くても無反応を求めますよ。あー、それが感謝をしない代わりだ。敬語になれるとこっちの方が難しいんだな」
腹の奥の方から熱が襲い、六日の喉から微かに声が漏れる。それが耳に入り、ワカナは六日の喉に爪を突き立て、皮膚を破る。
「あ、黙ってくれたな。そうだな、せっかく観客もいるんだし、見た目を派手にしようか」
ワカナは嫌なことを思い付いた。
六日を掴んでいない方の手に小さな炎を灯す。それをちょうどワカナの目のたかさ辺りにある六日の腹に押し付ける。その内側はワカナが送った熱で溶けそうになっているだろう。
「──っ」
内側からも外側からも熱を加えられているが、ワカナが首を握る力が強く、完全に潰れてしまった六日の喉からは声がもうでない。息ができない苦しさはないのにワカナが加える熱は苦しい。涙を流し、転がり回りたいと思ってもワカナがそれを許さない。
「遠慮すんなよ。魂が溶けきるまでこれを続けるんだからこれが最期の感覚になるぞ。遠慮せず楽しめ」
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