炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
16節 お姉ちゃん……
ボスッ。そんな柔らかいものがつぶれる様なもう一度聞きたいとは思えない音で五日は落ちてきた。その隣でコツっと良い音を鳴らしてワカナがさっきまでのスピードが嘘のように優雅に軽く降りた。
「おにーちゃん!」
七日が落ちてきた五日に駆け寄る。
「……七日か」
瞑っていた目を開き、五日は七日の顔を見て呟いた。強く瞑りすぎたせいで目の前がチカチカとしているらしい、眩しそうに眉を顰めた。
「っ! そうだ七日! お前俺を殺した理由……っ」
「影ちゃん電気」
五日が元気よく起き上がって叫ぶので、その五日を包んでいる影に七日が頼んだ。
「外傷とかもなくて安心した。おにーちゃん、ちょっと痺れてて」
弱々しく倒れていれば良いものの、いきなり叫ぶのだから七日は鬱陶しそうに五日を対処した。声も出さずにバタッと五日が倒れ、何度か痙攣をしている。死なない程度、気絶する程度の電流。この日だけで五日を傷つけずに無力化するために何度か使ったのでもう完璧だ。
「さっきまでの心配してたようには見えないわね」
「うっさ」
「落ちてきたらどうしよう、とか、おにーちゃんが死んだら嫌だぁ、とか言ってたのにねぇ」
「うっさい! あと言ってないし、麗菜は私よりも話をするのがいるでしょ!」
麗菜にからかわれて頬を赤く染めて七日は言う。麗菜の言っていたことは半分正解だが、半分は間違いだ。心配はしていたが、残念ながら五日の心配ではなく、この空間で誰かが死んだ前例がないため、どうなるのか気が気でしょうがなかったのだ。まあ、少しは……いや、かなり、半分くらいは五日のことも心配していたが。
「ふふ。妹になるはずだった子で遊びたかったのよ。まあ、吸血鬼の名残で大人振るのはこの辺にしときましょうね……」
麗菜は口に手を当てて七日に上品に笑って見せる。そして、その手を下ろし、じっと降りてきてアノニムの方を見ているワカナの方を見て地面を蹴った。
「若菜!」
一気に年齢が下がった。声のトーンが上がり、圧し殺していた幸せを吐き出すようにして妹の名前を呼んだ。
「……お姉ちゃん」
麗菜の声に気が付いてワカナが振り向く。
「……おいで」
両手を広げて麗菜はワカナに言った。その麗菜にワカナが抱きつく。
「お姉ちゃん……。お姉ちゃん」
「辛いことがあったら話して。お姉ちゃんじゃ何の力にもならないかも知れないけど、きっと楽になるわ」
ワカナの背中を麗菜がポンポンと叩く。ワカナは涙こそ流していないものの、麗菜に顔を埋めて籠った声でずっと、お姉ちゃん、と呼んでいる。
「あれ、二人だけの世界にできるか?」
「あ、いたんだ。あの二人だけを書庫に送ることならできるよ」
突然姉妹愛を見せつけられても、と言いたげな顔でワカナと麗菜を眺めていたアノニムが七日の方を見てこっそりと口を開いて七日に尋ねた。
そして、その言葉に七日がアノニムと同じような顔をして答えた。そして、右手を翳してから握ると、二人が消えた。
「これで良いね。話が終わったら戻ってくるようにしたから」
鬱陶しいものが消えて清々しい笑顔で七日が言った。
「そうだな!」
アノニムも同じ顔で柄にもなく元気に言う。そして、目を伏せて下に転がる五日をアノニムは睨んだ。
「で、こいつの処分をどうするかだな。七日、起こせ」
「はいはーい」
「おにーちゃん!」
七日が落ちてきた五日に駆け寄る。
「……七日か」
瞑っていた目を開き、五日は七日の顔を見て呟いた。強く瞑りすぎたせいで目の前がチカチカとしているらしい、眩しそうに眉を顰めた。
「っ! そうだ七日! お前俺を殺した理由……っ」
「影ちゃん電気」
五日が元気よく起き上がって叫ぶので、その五日を包んでいる影に七日が頼んだ。
「外傷とかもなくて安心した。おにーちゃん、ちょっと痺れてて」
弱々しく倒れていれば良いものの、いきなり叫ぶのだから七日は鬱陶しそうに五日を対処した。声も出さずにバタッと五日が倒れ、何度か痙攣をしている。死なない程度、気絶する程度の電流。この日だけで五日を傷つけずに無力化するために何度か使ったのでもう完璧だ。
「さっきまでの心配してたようには見えないわね」
「うっさ」
「落ちてきたらどうしよう、とか、おにーちゃんが死んだら嫌だぁ、とか言ってたのにねぇ」
「うっさい! あと言ってないし、麗菜は私よりも話をするのがいるでしょ!」
麗菜にからかわれて頬を赤く染めて七日は言う。麗菜の言っていたことは半分正解だが、半分は間違いだ。心配はしていたが、残念ながら五日の心配ではなく、この空間で誰かが死んだ前例がないため、どうなるのか気が気でしょうがなかったのだ。まあ、少しは……いや、かなり、半分くらいは五日のことも心配していたが。
「ふふ。妹になるはずだった子で遊びたかったのよ。まあ、吸血鬼の名残で大人振るのはこの辺にしときましょうね……」
麗菜は口に手を当てて七日に上品に笑って見せる。そして、その手を下ろし、じっと降りてきてアノニムの方を見ているワカナの方を見て地面を蹴った。
「若菜!」
一気に年齢が下がった。声のトーンが上がり、圧し殺していた幸せを吐き出すようにして妹の名前を呼んだ。
「……お姉ちゃん」
麗菜の声に気が付いてワカナが振り向く。
「……おいで」
両手を広げて麗菜はワカナに言った。その麗菜にワカナが抱きつく。
「お姉ちゃん……。お姉ちゃん」
「辛いことがあったら話して。お姉ちゃんじゃ何の力にもならないかも知れないけど、きっと楽になるわ」
ワカナの背中を麗菜がポンポンと叩く。ワカナは涙こそ流していないものの、麗菜に顔を埋めて籠った声でずっと、お姉ちゃん、と呼んでいる。
「あれ、二人だけの世界にできるか?」
「あ、いたんだ。あの二人だけを書庫に送ることならできるよ」
突然姉妹愛を見せつけられても、と言いたげな顔でワカナと麗菜を眺めていたアノニムが七日の方を見てこっそりと口を開いて七日に尋ねた。
そして、その言葉に七日がアノニムと同じような顔をして答えた。そして、右手を翳してから握ると、二人が消えた。
「これで良いね。話が終わったら戻ってくるようにしたから」
鬱陶しいものが消えて清々しい笑顔で七日が言った。
「そうだな!」
アノニムも同じ顔で柄にもなく元気に言う。そして、目を伏せて下に転がる五日をアノニムは睨んだ。
「で、こいつの処分をどうするかだな。七日、起こせ」
「はいはーい」
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
140
-
-
768
-
-
124
-
-
59
-
-
4503
-
-
20
-
-
58
-
-
4405
-
-
11128
コメント