炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
16節 五日とあゆみの悩み
▼▼
若菜、都若菜。彼女はあんな子だっただろうか。確かに暴力的ではあった。フォローしきれないほどの事件を起こしたこともあった。それでもあんな他人が傷つくことを普通に言うような子だっただろうか。
大切な妹の友人であり、兄の大切な人の妹であり、いつからかあの攻撃的な態度にも慣れ、自分も妹のように若菜のことを扱い出した。
確かに自分が調子に乗ったせいであの事件は起きた。自分は許してフォローしきれないほどの事件も何事もなく終わった。
俺は許した。若菜は許された。それでいいじゃないか。なのに若菜はその後俺によそよそしくなった。二日兄が作ってくれたゲームを六日や七日と一緒に若菜もやっていた。なのに、あの後はそんなこともなくなった。七日を変えたのもあいつだ。
俺は、兄弟とあの姉妹と、ただ仲良くしたかっただけだったんだ。俺は気にしていない。仲良くしたい。ただ若菜と話して遊んでしていたいだけだったんだ。
なのに、知らない。
あんな若菜は俺は知らない。
正直俺はかなり混乱している。刺されて死んだと思ったらよくわかんねぇことを説明されて何の実感も無い内にこんな姿でここに来たときよりも混乱している。背は低い、髪は長い、顔は女っぽくて声も高い。未だに鏡を見れば誰かと思う事より混乱している。
俺は、俺が知ってる若菜は、真面目に見えるけど真面目じゃなくて、喧嘩は強いけど力はあまりなくて、何だかんだ言って人のことよく考えてて、それでもやっぱり姉が一番で俺が入る隙なんてなくて……。
あぁ、結局若菜は俺にとって妹なのか好きな人だったのかわからないけど、大切な存在だったんだよなぁ。
あぁ、あぁ、……ああ。
そう無駄なことを考えながら五日は森をコトがいる宮殿のある方向に進み続ける。堪える必要がなくなった涙をボロボロと流しながら真っ暗なこの森を歩く。
五日はそう考えながらもずっと一つだけを思っていた。
七日に会いに行く。
コトの元にいる七日に会うために五日は歩く。話がしたいと言っても受け入れられることはないだろうが、若菜と対等に話すにはそれしかないと思っただけだ。
▲▲
▼▼
若菜は、あんな子だっただろうか。私の知っている若菜は、背が低くそれを気にしていて、お姉ちゃんからもらったと言って赤いリボンと手袋を嬉しそうにずっと付けている女の子だった。嫌、今もそれは変わってなどいなかった。
若菜とは何度も会ったことがあるわけではないから詳しくは知らないけれど、あの本の元になったお話を渡したとき、とても喜んでくれた。まだ小学生だった少女に褒めてもらって、それでも嬉しかった。
若菜は、私が知る若菜は、誰かを傷つけて平然としていられる少女じゃなかった。平気なように見えても罪悪感に刈られて何かしらの対策を打っていた。
麗菜への当たりは強かったけれど、あれは麗菜が悪かったのだから仕方がない。私にも周りにも優しいのが若菜だったはず。
いや、違う。麗菜が言っていたことがあった。「あの子、友達があんまりいないの」そう言っていた。私が若菜の友達として知っていた榊兄弟の七人が全てと言えるほどだったそう。優しいのではない、心を開かないからそう見えただけだった。
では、心を開いていたから五日にはあんな風に言ったのだろうか。
そうでもない。
若菜は知らない五日になったようで気まずいと言っていたじゃないか。
何故。何故。何故。
深い関係ではなかった私がわからないのは仕方ないかもしれない。五日ならばわかるかもしれないが、恐らくは宮殿に行ってしまっただろう。
わからない。わからない。わからない。
わからなくなって、何かが怖く感じて私も若菜にひどいことを言ってしまったのではないか。さっき私は若菜に何と言った? 覚えていない。
私は馬鹿なのかもしれない。
そう思いながらあゆみは自分を責める。若菜が部屋に行き、五日が出ていったこの家の一階で頭を抱える。
五日を慰めながら三人で飲もうと思っていたホットココアは既に冷めている。白いマグカップをテーブルに置いたまま、あゆみは一つ願っていた。
明日の朝、五日が無事に帰ってきますように。
目を瞑り、脳をかき混ぜられる様な悩みを溜め息に全て込めて吐き出す。
昼間から夜にかけて外を歩いていたのが疲れていたのか、気疲れが溜まっていたのか、あゆみはそのままテーブルに突っ伏して眠ってしまった。
ココアはそのまま。
▲▲
ハロー、ういちゃんですよ!
いやぁ、前回200話だったんだね。気づかなかったよ。2年で200ってのも何かサボってますねって感じなんだけどさ。
お祝いーってことで、感想くれてもいいのよ?
10月31日で二周年ですし。
忘れてない?
忘れてたでしょ。
お祝いしてくれると嬉しいな!
水華ういちゃんより、久々のあとがき雑談タイムでした!(2020年10月25日)
若菜、都若菜。彼女はあんな子だっただろうか。確かに暴力的ではあった。フォローしきれないほどの事件を起こしたこともあった。それでもあんな他人が傷つくことを普通に言うような子だっただろうか。
大切な妹の友人であり、兄の大切な人の妹であり、いつからかあの攻撃的な態度にも慣れ、自分も妹のように若菜のことを扱い出した。
確かに自分が調子に乗ったせいであの事件は起きた。自分は許してフォローしきれないほどの事件も何事もなく終わった。
俺は許した。若菜は許された。それでいいじゃないか。なのに若菜はその後俺によそよそしくなった。二日兄が作ってくれたゲームを六日や七日と一緒に若菜もやっていた。なのに、あの後はそんなこともなくなった。七日を変えたのもあいつだ。
俺は、兄弟とあの姉妹と、ただ仲良くしたかっただけだったんだ。俺は気にしていない。仲良くしたい。ただ若菜と話して遊んでしていたいだけだったんだ。
なのに、知らない。
あんな若菜は俺は知らない。
正直俺はかなり混乱している。刺されて死んだと思ったらよくわかんねぇことを説明されて何の実感も無い内にこんな姿でここに来たときよりも混乱している。背は低い、髪は長い、顔は女っぽくて声も高い。未だに鏡を見れば誰かと思う事より混乱している。
俺は、俺が知ってる若菜は、真面目に見えるけど真面目じゃなくて、喧嘩は強いけど力はあまりなくて、何だかんだ言って人のことよく考えてて、それでもやっぱり姉が一番で俺が入る隙なんてなくて……。
あぁ、結局若菜は俺にとって妹なのか好きな人だったのかわからないけど、大切な存在だったんだよなぁ。
あぁ、あぁ、……ああ。
そう無駄なことを考えながら五日は森をコトがいる宮殿のある方向に進み続ける。堪える必要がなくなった涙をボロボロと流しながら真っ暗なこの森を歩く。
五日はそう考えながらもずっと一つだけを思っていた。
七日に会いに行く。
コトの元にいる七日に会うために五日は歩く。話がしたいと言っても受け入れられることはないだろうが、若菜と対等に話すにはそれしかないと思っただけだ。
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若菜は、あんな子だっただろうか。私の知っている若菜は、背が低くそれを気にしていて、お姉ちゃんからもらったと言って赤いリボンと手袋を嬉しそうにずっと付けている女の子だった。嫌、今もそれは変わってなどいなかった。
若菜とは何度も会ったことがあるわけではないから詳しくは知らないけれど、あの本の元になったお話を渡したとき、とても喜んでくれた。まだ小学生だった少女に褒めてもらって、それでも嬉しかった。
若菜は、私が知る若菜は、誰かを傷つけて平然としていられる少女じゃなかった。平気なように見えても罪悪感に刈られて何かしらの対策を打っていた。
麗菜への当たりは強かったけれど、あれは麗菜が悪かったのだから仕方がない。私にも周りにも優しいのが若菜だったはず。
いや、違う。麗菜が言っていたことがあった。「あの子、友達があんまりいないの」そう言っていた。私が若菜の友達として知っていた榊兄弟の七人が全てと言えるほどだったそう。優しいのではない、心を開かないからそう見えただけだった。
では、心を開いていたから五日にはあんな風に言ったのだろうか。
そうでもない。
若菜は知らない五日になったようで気まずいと言っていたじゃないか。
何故。何故。何故。
深い関係ではなかった私がわからないのは仕方ないかもしれない。五日ならばわかるかもしれないが、恐らくは宮殿に行ってしまっただろう。
わからない。わからない。わからない。
わからなくなって、何かが怖く感じて私も若菜にひどいことを言ってしまったのではないか。さっき私は若菜に何と言った? 覚えていない。
私は馬鹿なのかもしれない。
そう思いながらあゆみは自分を責める。若菜が部屋に行き、五日が出ていったこの家の一階で頭を抱える。
五日を慰めながら三人で飲もうと思っていたホットココアは既に冷めている。白いマグカップをテーブルに置いたまま、あゆみは一つ願っていた。
明日の朝、五日が無事に帰ってきますように。
目を瞑り、脳をかき混ぜられる様な悩みを溜め息に全て込めて吐き出す。
昼間から夜にかけて外を歩いていたのが疲れていたのか、気疲れが溜まっていたのか、あゆみはそのままテーブルに突っ伏して眠ってしまった。
ココアはそのまま。
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ハロー、ういちゃんですよ!
いやぁ、前回200話だったんだね。気づかなかったよ。2年で200ってのも何かサボってますねって感じなんだけどさ。
お祝いーってことで、感想くれてもいいのよ?
10月31日で二周年ですし。
忘れてない?
忘れてたでしょ。
お祝いしてくれると嬉しいな!
水華ういちゃんより、久々のあとがき雑談タイムでした!(2020年10月25日)
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