炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
50節 悪魔の先生のお話
「……カンカンカンカン起きてくださーい! 朝ですよー、また昼間で寝るつもりですか~? 」
大声でカンカンと耳元に叫び、イロクの頭を軽く叩きながらナノカはイロクを起こした。
「ナノカ、それがやりたいならせめて鍋を使ってくれ」
「……あぁ、沸騰したお湯を顔にかけられて起こされたいんですか。物好きですね」
いや、ちがう。そうじゃない。誰も火を起こせとも水を入れろとも言ってない。そんな痛そうな起こしかたなんてイロクは求めてなんかない。
「……冗談なのでそんな目をしないでください。流石にやりませんよ」
「うん、やったら怖いぞ」
うわー、と言うような目でイロクはナノカを見ていたが、ナノカは心も読んだのだろう。少し気まずそうに目をそらして答えた。
「……そ、それよりも! いい夢を見ていたようですね」
「ああ、とってもいい夢だったよ……」
「……見ればわかります。シアラ先生昔は可愛かったですね」
ナノカの露骨な話題のすり替えにイロクは、はぁ、と溜息を吐き、あきれたような笑みを浮かべた。しかし何故かそのあきれが心地よく思えた。もう終わりだと思えばいいことなのだろうか。
「そういえば、なんでシアラのことを先生って呼んだんだ? ヒサもそう呼んでいたが」
「……私とヒサ様、あと…………ラウカ様の秘密ですよ。私たちにとってはシアラ先生は『先生』で、イロク様は『先輩』なんですよ」
なんだか嬉しそうにナノカは子供が誰かの秘密を語るように幸せそうな楽しそうな笑顔でイロクに言った。そして、敷かれた布団の中にあるイロクの足元に座り、イロクの顔を見た。
「な、何だ……?」
イロクはナノカと違って相手の考えていることはわからない。そんな何かを企んでいるような笑顔で見られても何を企んでいるかまではわからない。
「……決めました」
ナノカは、目を閉じて清々しい笑顔で意思をイロクに伝えたかった。
「何をだ? 」
「……気が変わりました。今日はイロク様を質問攻めにするつもりでしたが、それをやめます。シアラ先生のことを教えてください」
ニッと笑ってナノカはイロクに頼んだ。ナノカは笑い方がころころころころ変わるなと思いながらとりあえず疑問を投げかけてみることにした。
「なんでまた……」
「……よくよく考えてみたら私、シアラ先生のことそんなに詳しく知らないんですよね。シアラ先生は神様のことをどっかの大悪魔様と違って心の底から嫌っています。まぁ、……理由はわかりませんが」
そこまで言われれば流石のイロクでもわかる。いや、恨みはしているが心の底から嫌っているのかは自分でもわかっていないイロクだったらわかる。イロクにいくつか質問するよりもイロクが知る限りのシアラについての情報を聞き出した方が正しい情報が得られるということだ。色々準備をしようとしていたイロクにとっては、ひどい話だ。
「いいが、シアラについては私の偏見と思い込みがかなり干渉してくるぞ」
「……そんなこと言われても、イロク様がシアラ先生のことだぁい好きなのは知ってますし」
「うるせぇ……」
イロクは必要だと思ったことを伝えただけなのにナノカはからかうように言った。顔は不機嫌そうにしかめただけなのに耳は赤い。
ナノカはにっこりと悪気がなかったと言うように笑っていた。
大声でカンカンと耳元に叫び、イロクの頭を軽く叩きながらナノカはイロクを起こした。
「ナノカ、それがやりたいならせめて鍋を使ってくれ」
「……あぁ、沸騰したお湯を顔にかけられて起こされたいんですか。物好きですね」
いや、ちがう。そうじゃない。誰も火を起こせとも水を入れろとも言ってない。そんな痛そうな起こしかたなんてイロクは求めてなんかない。
「……冗談なのでそんな目をしないでください。流石にやりませんよ」
「うん、やったら怖いぞ」
うわー、と言うような目でイロクはナノカを見ていたが、ナノカは心も読んだのだろう。少し気まずそうに目をそらして答えた。
「……そ、それよりも! いい夢を見ていたようですね」
「ああ、とってもいい夢だったよ……」
「……見ればわかります。シアラ先生昔は可愛かったですね」
ナノカの露骨な話題のすり替えにイロクは、はぁ、と溜息を吐き、あきれたような笑みを浮かべた。しかし何故かそのあきれが心地よく思えた。もう終わりだと思えばいいことなのだろうか。
「そういえば、なんでシアラのことを先生って呼んだんだ? ヒサもそう呼んでいたが」
「……私とヒサ様、あと…………ラウカ様の秘密ですよ。私たちにとってはシアラ先生は『先生』で、イロク様は『先輩』なんですよ」
なんだか嬉しそうにナノカは子供が誰かの秘密を語るように幸せそうな楽しそうな笑顔でイロクに言った。そして、敷かれた布団の中にあるイロクの足元に座り、イロクの顔を見た。
「な、何だ……?」
イロクはナノカと違って相手の考えていることはわからない。そんな何かを企んでいるような笑顔で見られても何を企んでいるかまではわからない。
「……決めました」
ナノカは、目を閉じて清々しい笑顔で意思をイロクに伝えたかった。
「何をだ? 」
「……気が変わりました。今日はイロク様を質問攻めにするつもりでしたが、それをやめます。シアラ先生のことを教えてください」
ニッと笑ってナノカはイロクに頼んだ。ナノカは笑い方がころころころころ変わるなと思いながらとりあえず疑問を投げかけてみることにした。
「なんでまた……」
「……よくよく考えてみたら私、シアラ先生のことそんなに詳しく知らないんですよね。シアラ先生は神様のことをどっかの大悪魔様と違って心の底から嫌っています。まぁ、……理由はわかりませんが」
そこまで言われれば流石のイロクでもわかる。いや、恨みはしているが心の底から嫌っているのかは自分でもわかっていないイロクだったらわかる。イロクにいくつか質問するよりもイロクが知る限りのシアラについての情報を聞き出した方が正しい情報が得られるということだ。色々準備をしようとしていたイロクにとっては、ひどい話だ。
「いいが、シアラについては私の偏見と思い込みがかなり干渉してくるぞ」
「……そんなこと言われても、イロク様がシアラ先生のことだぁい好きなのは知ってますし」
「うるせぇ……」
イロクは必要だと思ったことを伝えただけなのにナノカはからかうように言った。顔は不機嫌そうにしかめただけなのに耳は赤い。
ナノカはにっこりと悪気がなかったと言うように笑っていた。
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