炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
47節 悪魔は邪魔
「……私は影たちにイロク様が時々溢していた神への不満を聞きました。それがすべて事実と言うならば、私は神に対する考えを改めなければなりません」
「私はお前の意見の手のひら返しに驚いている」
さっきまで神は絶対みたいな顔をしていたくせに考えを変えようなんて全く、何を言ってんだかって話だ。
「……それはいいんです。いくつか聞きたいだけなので、嘘をつけばわかりますし」
あくまで自分のことはどうでもいいと。それで自分の能力まで使って嘘は許さないと。イロクはナノカが一回死んで自分勝手になった気がした。まあ、性格が変わる気持ちもわからなくないが。死ぬのは怖いから。
「そうか。で、聞きたいことは? 」
「……イロク様が一度死んだという話です」
ナノカにそう言われてイロクは、右見て左見て頭をコツコツ叩いて目を瞑ったり上を見て首をくるくると回してから答えた。
「悪いが、詳しくは覚えてない」
「……前までは覚えていましたよね? 物っ凄く鮮明に」
確かに前までは覚えていた。けれど、忘れてしまったわけではない。いわゆる自己防衛というものだ。意識上では覚えていても脳が思い出すのは無意識で拒否する。死んだ思い出なんてトラウマになるに決まっている。イロクは定期的に思い出して慣れようとしていたが、逆効果だった。殺された身体は忘れたかった。思い出せずになれることも拒否されていたが、その事に今気づいたのだ。
「私だって怖いさ。だが、覚えていることはある。それでよければ話してやるよ」
「……それでもいいです。教えてください」
誰がどうしてイロクを殺そうとしたかは思い出せなかったが、そのときの気持ちは思い出した。間違いすぎたか、笑って許してもらえないとはな。そう思って地面に寝そべっていた。
「あれ、死んでないのか? あいつ使えない。消しておこう」
そう言って誰かが寝そべっているイロクに近づいた。それが神だったことは覚えている。
神に殺されかけたのか、自分で手を出さずに。卑怯なのか身勝手なのか。
「神界に戻ってみればお前は来てないと言う。まあ私のミスだ。そんな能力をお前のような失敗作にあてるなんてな。死なないから動かないでもらう。反抗するなよ」
声を発するのが好きなのか思ったことが勝手に口から出るのか独り言を延々と話ながら神だと思われるその者はイロクの腕をつかんだ。
「どのくらいのパーツになれば最後まで邪魔しない。いや、くっつかせるのには悪魔が必要だが、そんなことしないはずだ。36分割でいいか」
イロクは何を言ってんだと思いながらそれを動けないまま、声もでないまま聞いていた。
そして、そのまま気づいたら……いや、記憶にあるのは影としてその場所にいたことだけ。流れからして神にバラバラにされたんだろう。死なないからって手を出してきて、卑怯だったようだな。
「私は影たちに助けられて生きてただけだ。神はどうせそれをわかってたんだろ。で、そのあと私は36分割されたパーツを全部集めてシアラに直されて今こうなってる。質問あるか」
「……ありません。他にも聞かせてもらえますか? 」
せっかく説明してやったのに、という顔をするイロクがさらに質問をするナノカを少し睨んだ。少しくらい興味をもってほしいという気持ちともうこれ以上聞かないでほしいという願望だ。
「なーにが知りたいんだ? 」
「……すみませんが、イロク様はもう寝てください」
「は? 」
「私はお前の意見の手のひら返しに驚いている」
さっきまで神は絶対みたいな顔をしていたくせに考えを変えようなんて全く、何を言ってんだかって話だ。
「……それはいいんです。いくつか聞きたいだけなので、嘘をつけばわかりますし」
あくまで自分のことはどうでもいいと。それで自分の能力まで使って嘘は許さないと。イロクはナノカが一回死んで自分勝手になった気がした。まあ、性格が変わる気持ちもわからなくないが。死ぬのは怖いから。
「そうか。で、聞きたいことは? 」
「……イロク様が一度死んだという話です」
ナノカにそう言われてイロクは、右見て左見て頭をコツコツ叩いて目を瞑ったり上を見て首をくるくると回してから答えた。
「悪いが、詳しくは覚えてない」
「……前までは覚えていましたよね? 物っ凄く鮮明に」
確かに前までは覚えていた。けれど、忘れてしまったわけではない。いわゆる自己防衛というものだ。意識上では覚えていても脳が思い出すのは無意識で拒否する。死んだ思い出なんてトラウマになるに決まっている。イロクは定期的に思い出して慣れようとしていたが、逆効果だった。殺された身体は忘れたかった。思い出せずになれることも拒否されていたが、その事に今気づいたのだ。
「私だって怖いさ。だが、覚えていることはある。それでよければ話してやるよ」
「……それでもいいです。教えてください」
誰がどうしてイロクを殺そうとしたかは思い出せなかったが、そのときの気持ちは思い出した。間違いすぎたか、笑って許してもらえないとはな。そう思って地面に寝そべっていた。
「あれ、死んでないのか? あいつ使えない。消しておこう」
そう言って誰かが寝そべっているイロクに近づいた。それが神だったことは覚えている。
神に殺されかけたのか、自分で手を出さずに。卑怯なのか身勝手なのか。
「神界に戻ってみればお前は来てないと言う。まあ私のミスだ。そんな能力をお前のような失敗作にあてるなんてな。死なないから動かないでもらう。反抗するなよ」
声を発するのが好きなのか思ったことが勝手に口から出るのか独り言を延々と話ながら神だと思われるその者はイロクの腕をつかんだ。
「どのくらいのパーツになれば最後まで邪魔しない。いや、くっつかせるのには悪魔が必要だが、そんなことしないはずだ。36分割でいいか」
イロクは何を言ってんだと思いながらそれを動けないまま、声もでないまま聞いていた。
そして、そのまま気づいたら……いや、記憶にあるのは影としてその場所にいたことだけ。流れからして神にバラバラにされたんだろう。死なないからって手を出してきて、卑怯だったようだな。
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