炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
46節 大悪魔のかわいい部下
結局見ただけでナノカをその場に放置したままイロクは会議室から出た。大悪魔の能力を使った結果も知りたかったし、もう死んだものに興味がなかった。
扉を開けて足を外に出す。既に何人かの倒れた頭は見えるけれど何もおかしなところはない。いつも通り姿が見えたイロクの近くに影が集まってキャーキャーワーワー騒いでいる。声があるわけではないが、そんな感じがする。
「体力の無駄遣いだったな、暇になった」
数人身体を起こしてみたり落としてみたり叩いてみたりしたが、何一つとしていつも通りの死体にイロクは用がない。探索とか無駄なことはしないで会議室に引き籠ることにした。
「あ、そーだ。三つくらいいればナノカ動かせるだろ? 暇だから誰かにいてほしいし、たのむ」
イロクはまだ自分に戻る前の影に頼んだ。シアラに頼まれたことはすぐに終わってしまったし、シアラとカオルはいつ戻ってくるかわからない。一人でこの狭い会議室にいるのは寂しすぎる。
「……あー、あー、すごい、話せるし動ける」
「厳密に言えばまだ生きてる身体だからな。身体と影の関係性は切ってあるからナノカが入っても……って、せめて許可をとってから入れな」
ナノカの身体に入ったのがナノカの影だとすぐに気づいてイロクは笑って行った。そして、ナノカはその言葉に笑って返した。
「……すみません、一度死んだのでよくわかりませんでした~」
「あ~のさ、私が悪かったからそんなに怒らないでくれ……な? 」
ナノカが明らかにイラついている雰囲気で目の前で仁王立ちしているもんだからイロクは気まずくなってとりあえず謝ってしまった。こんなに早く再開して話すことになるとは全く考えていなかったからか、何も言葉が出てこない。
「……別に怒ったりなんかしませんよ。ただ、影たちから聞いたことを考えていただけです」
ナノカの声にイロクは、反らしていた目線をナノカの顔に合わせた。
「あぁ~、感動したわぁ~」
「は? 」
ナノカの顔をしっかり見たイロクは目を潤ませて小声で言った。その声を聞いたナノカはとっさに出た掠れた声で聞き返した。
「あ、忘れろ。考えてるなら考えててくれ」
「……はぁ、わかりました」
上にはどうやっても敵わない。下には怠けていても負けない。相手の考えていることを把握してその相手に合った返事をする。時々上に対して躊躇いなく事実を突きつける。そうすればそこそこ個性は出る。それで何も考えないで過ごしていた。
そんなナノカが目の前で眉間にシワがよるほど真剣に考え事をしているのだ。イロクが感動しないわけがない。
結果、しっかりと悩んでいる部下を目の前にニマニマしながらそれを眺めている上司という最悪な絵柄になってはいるが、それを気にしていては話が進まない。マジで。
「考えがまとまったら話してくれな」
「……考えがまとまりそうにないので、話ながら考えても? 」
「いーよ」
かわいい部下だなぁとは思う。
扉を開けて足を外に出す。既に何人かの倒れた頭は見えるけれど何もおかしなところはない。いつも通り姿が見えたイロクの近くに影が集まってキャーキャーワーワー騒いでいる。声があるわけではないが、そんな感じがする。
「体力の無駄遣いだったな、暇になった」
数人身体を起こしてみたり落としてみたり叩いてみたりしたが、何一つとしていつも通りの死体にイロクは用がない。探索とか無駄なことはしないで会議室に引き籠ることにした。
「あ、そーだ。三つくらいいればナノカ動かせるだろ? 暇だから誰かにいてほしいし、たのむ」
イロクはまだ自分に戻る前の影に頼んだ。シアラに頼まれたことはすぐに終わってしまったし、シアラとカオルはいつ戻ってくるかわからない。一人でこの狭い会議室にいるのは寂しすぎる。
「……あー、あー、すごい、話せるし動ける」
「厳密に言えばまだ生きてる身体だからな。身体と影の関係性は切ってあるからナノカが入っても……って、せめて許可をとってから入れな」
ナノカの身体に入ったのがナノカの影だとすぐに気づいてイロクは笑って行った。そして、ナノカはその言葉に笑って返した。
「……すみません、一度死んだのでよくわかりませんでした~」
「あ~のさ、私が悪かったからそんなに怒らないでくれ……な? 」
ナノカが明らかにイラついている雰囲気で目の前で仁王立ちしているもんだからイロクは気まずくなってとりあえず謝ってしまった。こんなに早く再開して話すことになるとは全く考えていなかったからか、何も言葉が出てこない。
「……別に怒ったりなんかしませんよ。ただ、影たちから聞いたことを考えていただけです」
ナノカの声にイロクは、反らしていた目線をナノカの顔に合わせた。
「あぁ~、感動したわぁ~」
「は? 」
ナノカの顔をしっかり見たイロクは目を潤ませて小声で言った。その声を聞いたナノカはとっさに出た掠れた声で聞き返した。
「あ、忘れろ。考えてるなら考えててくれ」
「……はぁ、わかりました」
上にはどうやっても敵わない。下には怠けていても負けない。相手の考えていることを把握してその相手に合った返事をする。時々上に対して躊躇いなく事実を突きつける。そうすればそこそこ個性は出る。それで何も考えないで過ごしていた。
そんなナノカが目の前で眉間にシワがよるほど真剣に考え事をしているのだ。イロクが感動しないわけがない。
結果、しっかりと悩んでいる部下を目の前にニマニマしながらそれを眺めている上司という最悪な絵柄になってはいるが、それを気にしていては話が進まない。マジで。
「考えがまとまったら話してくれな」
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「いーよ」
かわいい部下だなぁとは思う。
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