炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
40節 悪魔と大天使と天使と悪魔
「イロク様だ! ようやく来てくださった! 」
イロクが宮殿中央の入り口に付いただけで多くの天使と悪魔に歓迎された。そのまま手を引かれて奥まで連れていかれた。
「お急ぎください! 大天使様とナノカ様がお待ちですので! 」
大天使……。どうせ実力でカオルとナノカが大天使と大悪魔になっているだろうとイロクは思っていたが、イロクを引っ張る悪魔はナノカと呼んでいた。なれていないからなのかとも思えるが、イロクは嫌な予感がした。
「大天使様、ナノカ様、イロク様をお連れしました」
中央にある会議室にそのまま入れられてそこには見慣れた三人の顔があった。
「……なんだ夢か。それじゃあ私は帰る」
「……待ってください。信じられないかもしれませんが、これは紛れもない現実です。シアラが大天使となり、あなたが大悪魔、そしてナノカと私で補佐を勤めます……」
シアラが大天使の服に袖を通している。死んだと思っていた友人がそこで生きている。自分用の大悪魔の服がそこにかかっている。
イロクにとっては十分異様な光景だった。とりあえず夢ということにしたかったが、それはカオルに拒まれた。現実だと認識するしかないらしい。
問題はシアラだ。仕方なかったとはいえわかっていた結果なのに逃がさず当時の大天使と大悪魔に渡してしまった罪悪感のイロク。計画だったとはいえ弟を殺してしまった気まずさのシアラ。初めはシアラが目を合わせていたが、だんだんと下を向いていった。
「あぁ! もう! 俺はイロクと話がしたいわ! カオルとナノカは出ていって! 」
「……構いませんが、気不味いからとイロク様を逃がすようなことはダメですよ」
シアラが叫ぶようにカオルとナノカに命じると、ナノカがじーっとシアラを見てから言った。気まずいということは読まれていたようだ。
「俺を逃がさなかった悪魔を逃がすと思うの? 」
「……思いません。カオル、出ようか」
ナノカの目をにらんでシアラは反論する。カオルとイロクはだんだんとその場にいたくなくなるような険悪な雰囲気だが、ナノカが仕方なさそうに笑って出ていくことを承諾した。
カオルの手を強引に引いてナノカが出ていくと、らしくないイロクと頭を押さえたシアラだけがその部屋に残った。いつもの強気のイロクは完全にどこかへと消えていた。
「イロク、話があるわ」
「私は無いので帰りたいんだが」
「却下します」
ナノカが扉を閉めてからかなり早い段階でシアラは声を出した。話をするから椅子に座るようにと手で指示したが、イロクは帰りたいと言った。そんなことさせるわけがない。
イロクは仕方なく。本当に仕方なく椅子に座って話をすることにした。今日のシアラはなんだか怖い。
「ねぇイロク。ヒサとかラウカとかナノカに聞いたのだけど何か勘違いしてない? 」
「え? 何のことだ? 」
イロクが宮殿中央の入り口に付いただけで多くの天使と悪魔に歓迎された。そのまま手を引かれて奥まで連れていかれた。
「お急ぎください! 大天使様とナノカ様がお待ちですので! 」
大天使……。どうせ実力でカオルとナノカが大天使と大悪魔になっているだろうとイロクは思っていたが、イロクを引っ張る悪魔はナノカと呼んでいた。なれていないからなのかとも思えるが、イロクは嫌な予感がした。
「大天使様、ナノカ様、イロク様をお連れしました」
中央にある会議室にそのまま入れられてそこには見慣れた三人の顔があった。
「……なんだ夢か。それじゃあ私は帰る」
「……待ってください。信じられないかもしれませんが、これは紛れもない現実です。シアラが大天使となり、あなたが大悪魔、そしてナノカと私で補佐を勤めます……」
シアラが大天使の服に袖を通している。死んだと思っていた友人がそこで生きている。自分用の大悪魔の服がそこにかかっている。
イロクにとっては十分異様な光景だった。とりあえず夢ということにしたかったが、それはカオルに拒まれた。現実だと認識するしかないらしい。
問題はシアラだ。仕方なかったとはいえわかっていた結果なのに逃がさず当時の大天使と大悪魔に渡してしまった罪悪感のイロク。計画だったとはいえ弟を殺してしまった気まずさのシアラ。初めはシアラが目を合わせていたが、だんだんと下を向いていった。
「あぁ! もう! 俺はイロクと話がしたいわ! カオルとナノカは出ていって! 」
「……構いませんが、気不味いからとイロク様を逃がすようなことはダメですよ」
シアラが叫ぶようにカオルとナノカに命じると、ナノカがじーっとシアラを見てから言った。気まずいということは読まれていたようだ。
「俺を逃がさなかった悪魔を逃がすと思うの? 」
「……思いません。カオル、出ようか」
ナノカの目をにらんでシアラは反論する。カオルとイロクはだんだんとその場にいたくなくなるような険悪な雰囲気だが、ナノカが仕方なさそうに笑って出ていくことを承諾した。
カオルの手を強引に引いてナノカが出ていくと、らしくないイロクと頭を押さえたシアラだけがその部屋に残った。いつもの強気のイロクは完全にどこかへと消えていた。
「イロク、話があるわ」
「私は無いので帰りたいんだが」
「却下します」
ナノカが扉を閉めてからかなり早い段階でシアラは声を出した。話をするから椅子に座るようにと手で指示したが、イロクは帰りたいと言った。そんなことさせるわけがない。
イロクは仕方なく。本当に仕方なく椅子に座って話をすることにした。今日のシアラはなんだか怖い。
「ねぇイロク。ヒサとかラウカとかナノカに聞いたのだけど何か勘違いしてない? 」
「え? 何のことだ? 」
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