炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
27節 天使と酒と悪魔
「いたたたた……。お前ら何やってんだ? 」
カオルとナノカが空を穏やかな目で眺め始めてからしばらくするとイロクが目を覚ました。イロクは、軽く伸びをして横を向くと、普段見ない組み合わせの二人がのんびりと座っているのが見えて状況がわからなくなった。
「……イロク様、起きましたね。これからはちゃんと寝てくださいね」
「……あ、イロクも飲みますぅ? 何もせずに待ってると暇ですよぉ……」
訳もわからず飲み物を渡された。顔色よし、穏やかよし。この状態のカオルが出す飲み物は美味しいだろう。イロクにもそれはわかっていたが、それ以上に気になることがある。
「ナノカ、この状況を私に説明しろ」
「……メンドクサ」
「おい、聞こえてんぞ」
説明しろと言われたナノカは、イロクと反対の方を向いて小声で言ったのに聞かれていて振り向くに振り向けなかった。
「……仕方ないですねぇ、特別に私が説明してあげますよぉ……」
おい、とナノカを呼ぶイロクの顔の前に飛び出てのほほんとした笑顔で言った。いつもと様子が違うカオルにイロクは顔を青くするしかなかった。
「酔ってるだろ」
「……え~酔ってないよぉ~酔ってないよ! 酔ってないですよぉ~……」
「酔ってるな」
顔との距離が近いから酒臭い。手に持ってる食べかけの果物は樹液から酒が取れる木の実。顔は赤いしこれじゃ仕事もできない。よく見るとナノカがプルプル震えてる。
「はい、カオルちゃーん。こっち見てくださいねー」
遠い目をしながらイロクはカオルに呼び掛けた。この場にいるのが他にナノカだけとはいえ、これはかなり恥ずかしい。ナノカはずっとプルプル震えている。
「……なんですかぁー? イロクぅ……」
「じゃあ私のお手々を見ててねー」
左手で右手のひらに少し細工をしてからぶつかるほど近くに手を見せた。
「……見るぅー……」
「……流石イロク様。催眠術までの流れが早いですね」
「睡眠術な。酔うと幼児化するやつは寝かせるのが一番楽だな」
イロクの右手を見て二秒ほどでカオルは壁にコテンと頭をつけてすやすや眠ってしまった。イロクは、やれやれとカオルの隣に置いてあった大天使の上着をかけた。
「何があったかは思い出したからいい。ただし、私が今から言うことは誰にも言うなよ」
イロクは色々としている間にこの状況を思い出したらしい。左手で顔を押さえて話していた。また始まるなー、とナノカはお茶と果物を両手にもった。
「ラウカのやつ、思いきり叩きやがって……力はない癖に痛いんだよ、あの馬鹿。親の顔が見てみたいもんだ」
「……あの、イロク様。バレてるからって私以外が聞いてないとわかった瞬間大悪魔様の悪口いうのやめてもらえますか? あと親は同じです」
手に持っていた果物を飲み込むとナノカはイロクに言った。それはさっきカオルが食べていたものと同じだったが、ナノカは酔わないらしい。いくつも食べている。
「それは言うな。あんなのを弟だとか思いたくない。それに宮殿の外には出るなとあれだけ言ってたのにな、風邪引いて寝込んだらその間誰が代理をすると思ってるんだ」
「……イロク様ですね。No.2であり兄である貴方が適任かと」
食べる手と飲む手は一切止めないままナノカはイロクの愚痴の相手をしていた。最初聞いたときには何て返せば良いのかわからなかったが、流石に何十年も相手をしていれば返す言葉は決まってくる。
「正論で返すのやめてくれないか」
「……後ろ向きに検討します」
カオルとナノカが空を穏やかな目で眺め始めてからしばらくするとイロクが目を覚ました。イロクは、軽く伸びをして横を向くと、普段見ない組み合わせの二人がのんびりと座っているのが見えて状況がわからなくなった。
「……イロク様、起きましたね。これからはちゃんと寝てくださいね」
「……あ、イロクも飲みますぅ? 何もせずに待ってると暇ですよぉ……」
訳もわからず飲み物を渡された。顔色よし、穏やかよし。この状態のカオルが出す飲み物は美味しいだろう。イロクにもそれはわかっていたが、それ以上に気になることがある。
「ナノカ、この状況を私に説明しろ」
「……メンドクサ」
「おい、聞こえてんぞ」
説明しろと言われたナノカは、イロクと反対の方を向いて小声で言ったのに聞かれていて振り向くに振り向けなかった。
「……仕方ないですねぇ、特別に私が説明してあげますよぉ……」
おい、とナノカを呼ぶイロクの顔の前に飛び出てのほほんとした笑顔で言った。いつもと様子が違うカオルにイロクは顔を青くするしかなかった。
「酔ってるだろ」
「……え~酔ってないよぉ~酔ってないよ! 酔ってないですよぉ~……」
「酔ってるな」
顔との距離が近いから酒臭い。手に持ってる食べかけの果物は樹液から酒が取れる木の実。顔は赤いしこれじゃ仕事もできない。よく見るとナノカがプルプル震えてる。
「はい、カオルちゃーん。こっち見てくださいねー」
遠い目をしながらイロクはカオルに呼び掛けた。この場にいるのが他にナノカだけとはいえ、これはかなり恥ずかしい。ナノカはずっとプルプル震えている。
「……なんですかぁー? イロクぅ……」
「じゃあ私のお手々を見ててねー」
左手で右手のひらに少し細工をしてからぶつかるほど近くに手を見せた。
「……見るぅー……」
「……流石イロク様。催眠術までの流れが早いですね」
「睡眠術な。酔うと幼児化するやつは寝かせるのが一番楽だな」
イロクの右手を見て二秒ほどでカオルは壁にコテンと頭をつけてすやすや眠ってしまった。イロクは、やれやれとカオルの隣に置いてあった大天使の上着をかけた。
「何があったかは思い出したからいい。ただし、私が今から言うことは誰にも言うなよ」
イロクは色々としている間にこの状況を思い出したらしい。左手で顔を押さえて話していた。また始まるなー、とナノカはお茶と果物を両手にもった。
「ラウカのやつ、思いきり叩きやがって……力はない癖に痛いんだよ、あの馬鹿。親の顔が見てみたいもんだ」
「……あの、イロク様。バレてるからって私以外が聞いてないとわかった瞬間大悪魔様の悪口いうのやめてもらえますか? あと親は同じです」
手に持っていた果物を飲み込むとナノカはイロクに言った。それはさっきカオルが食べていたものと同じだったが、ナノカは酔わないらしい。いくつも食べている。
「それは言うな。あんなのを弟だとか思いたくない。それに宮殿の外には出るなとあれだけ言ってたのにな、風邪引いて寝込んだらその間誰が代理をすると思ってるんだ」
「……イロク様ですね。No.2であり兄である貴方が適任かと」
食べる手と飲む手は一切止めないままナノカはイロクの愚痴の相手をしていた。最初聞いたときには何て返せば良いのかわからなかったが、流石に何十年も相手をしていれば返す言葉は決まってくる。
「正論で返すのやめてくれないか」
「……後ろ向きに検討します」
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