炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
26節 大天使と大悪魔の話
塊の中に入っていった大悪魔はというと、不穏な空気が漂う二人を見つけ、近かったイロクの後頭部を思いきり叩いた。
「ラウカ! 何でここに来たのですか? あと、いきなり来てイロクを気絶させるのはやめてください。すごい勢いでしたよ……」
疲れもあってか、イロクは簡単に気絶した。気絶したと言うよりは緊張の糸が切れて眠ったに近いが。さすがに寝ないで何日もはキツかったらしい。
意識がなくなり、下に落ちていきかけたイロクの腕をなんとか引っ張った大悪魔は、冷たい目で大天使を見て言った。
「ヒサ、何か僕に言うことがあるとカオルに聞いたのだが、何だ? 」
謝ってくれると聞いて許そうという気持ちにはなっていたが、顔を見てしまうと怒りがまた沸いてきて少し怒ったような言い方になってしまった。
「ええ、お話しすることはあります。ですが、それはあなたの部屋でしましょう……」
自分の方を向いている大悪魔と眠ってしまったイロクを気遣うつもりで大天使は言ったが、それが大悪魔にはバカにされたような気がしたらしい。何故か。
「何故ヒサを部屋につれていかねばならない! 僕はここで話を聞くぞ」
子供みたいに融通が聞かないのか、それとも大天使の言葉が足りなかったのか。後者であってくれと思って大天使は言葉を足すことにした。
「もしイロクが落ちてしまえば大変ですし、ラウカの顔色も良くありません。熱出しますよ? ……」
大悪魔は顔色が悪いと聞いてペタペタと自分の顔をさわって体温が下がっていることを認識した。そこまで寒い時期でもないのにと言うのを顔に出して自分の頬をしばらく叩いていた。大天使に指摘されたことが気にくわないらしい。
「死にたくなければ部屋に行く。死にたいならばここで話す。これでいかがですか? 後はあなたが決めてください……」
「…………部屋いく」
判断を任せれば子供は大抵おとなしくなると思い、なんとなく任せてみたが、拗ねないで少し照れて大悪魔は部屋に戻ると言った。やはり、子供だ。
「じゃあ、行きましょうか……」
大天使がパチンと指をならすと、白と黒で三人を囲んでいたものが消えた。外の様子が見え、大天使の目にはほのぼのと果物を食べているカオルとナノカが映った。
「彼女たちは何をしているのでしょうか……」
「え? あぁ、おそらく部屋に戻れないし広間から入ったら遠回りになるからそこで待ってたんだろ」
出てきた三人を見てカオルとナノカはそっちの方に飛んでいった。近づいてくる二人に大悪魔は手のひらを向けて話した。
「申し訳ないが、もう少し外で待っていてくれ。僕たちは二人で話がある」
本当に申し訳なさそうに自分の着ていた上着をナノカに渡して、イロクをカオルに頼んで大悪魔は部屋に入った。大天使も一応着ていた上着をカオルに渡してそのあとに続いて扉を閉めた。
「……どうしろと? ……」
「……とりあえず、暖かい飲み物と果物。座って待ってるしかないですよ」
寒いのわかってて外で待っていろと言うなんて自分達の上司はどこか抜けてる。二人はもう確信していたことを再認識した。
「……イロクは? ……」
「……落とさないように寝かせとく。イロク様のことだからすぐ起きますよ」
「……そうですねぇ……」
話すネタがない。特にすることもない。寒い。その状況で二人は空をボーッと眺め続けた。
「ラウカ! 何でここに来たのですか? あと、いきなり来てイロクを気絶させるのはやめてください。すごい勢いでしたよ……」
疲れもあってか、イロクは簡単に気絶した。気絶したと言うよりは緊張の糸が切れて眠ったに近いが。さすがに寝ないで何日もはキツかったらしい。
意識がなくなり、下に落ちていきかけたイロクの腕をなんとか引っ張った大悪魔は、冷たい目で大天使を見て言った。
「ヒサ、何か僕に言うことがあるとカオルに聞いたのだが、何だ? 」
謝ってくれると聞いて許そうという気持ちにはなっていたが、顔を見てしまうと怒りがまた沸いてきて少し怒ったような言い方になってしまった。
「ええ、お話しすることはあります。ですが、それはあなたの部屋でしましょう……」
自分の方を向いている大悪魔と眠ってしまったイロクを気遣うつもりで大天使は言ったが、それが大悪魔にはバカにされたような気がしたらしい。何故か。
「何故ヒサを部屋につれていかねばならない! 僕はここで話を聞くぞ」
子供みたいに融通が聞かないのか、それとも大天使の言葉が足りなかったのか。後者であってくれと思って大天使は言葉を足すことにした。
「もしイロクが落ちてしまえば大変ですし、ラウカの顔色も良くありません。熱出しますよ? ……」
大悪魔は顔色が悪いと聞いてペタペタと自分の顔をさわって体温が下がっていることを認識した。そこまで寒い時期でもないのにと言うのを顔に出して自分の頬をしばらく叩いていた。大天使に指摘されたことが気にくわないらしい。
「死にたくなければ部屋に行く。死にたいならばここで話す。これでいかがですか? 後はあなたが決めてください……」
「…………部屋いく」
判断を任せれば子供は大抵おとなしくなると思い、なんとなく任せてみたが、拗ねないで少し照れて大悪魔は部屋に戻ると言った。やはり、子供だ。
「じゃあ、行きましょうか……」
大天使がパチンと指をならすと、白と黒で三人を囲んでいたものが消えた。外の様子が見え、大天使の目にはほのぼのと果物を食べているカオルとナノカが映った。
「彼女たちは何をしているのでしょうか……」
「え? あぁ、おそらく部屋に戻れないし広間から入ったら遠回りになるからそこで待ってたんだろ」
出てきた三人を見てカオルとナノカはそっちの方に飛んでいった。近づいてくる二人に大悪魔は手のひらを向けて話した。
「申し訳ないが、もう少し外で待っていてくれ。僕たちは二人で話がある」
本当に申し訳なさそうに自分の着ていた上着をナノカに渡して、イロクをカオルに頼んで大悪魔は部屋に入った。大天使も一応着ていた上着をカオルに渡してそのあとに続いて扉を閉めた。
「……どうしろと? ……」
「……とりあえず、暖かい飲み物と果物。座って待ってるしかないですよ」
寒いのわかってて外で待っていろと言うなんて自分達の上司はどこか抜けてる。二人はもう確信していたことを再認識した。
「……イロクは? ……」
「……落とさないように寝かせとく。イロク様のことだからすぐ起きますよ」
「……そうですねぇ……」
話すネタがない。特にすることもない。寒い。その状況で二人は空をボーッと眺め続けた。
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