炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
23節 悪魔と大悪魔
「……寝ているのですか? ……」
「……ええ。大悪魔様がお怒りであるのに部屋の外まで闇が漏れ出していないのは寝ていると考えていいでしょう。そうでなければカオルさんは今ごろ消滅してますよ」
黒い大きな扉に片手を添えてナノカは笑顔になった。その笑顔を向けられたカオルは、ナノカが悪魔だということを再認識した。黒い髪に黒い服、黒い翼に光が当たらず暗い顔に浮かべた黒い笑み。カオルは悪魔の黒さに初めて恐怖に似たものを感じた。
「……私がちょっと見てきます。ここで待っていてくださいよ、絶対に」
ナノカはそう言ってそのまま扉を押して中に入っていった。悪魔の宮殿は天使の宮殿と違い、日の光が当たらないところは真っ暗で天使の目ではよく見えない。誰か他の悪魔が通りかかっても気がつかないだろう。カオルは床に矢を刺しておくことにした。少しは光が当たるようになるから。
「……大悪魔様、何のんびり寝てるんですか。私はもう四日は寝れてないんですよ? 大悪魔様が許せばそれで済むんです。今部屋の外で天使が一人待っています。今すぐ起きて話を聞いてきてください」
ナノカは扉を閉め忘れていたようだ。声がカオルの耳まで届いた。大天使や大悪魔が仕事をする本気の状態でなければかなり強気に話すのは変わらないのかとカオルは思いながらこの状況厳しいのではと思った。
扉が閉まっていても漏れ出るほどの闇が扉が開いている今、どこまで漏れてしまうかわからない。気を付けなければカオルは消滅するだろう。気を付けなければ。
「あっちが謝ればいい話だからな、僕が許す必要はない。それより、イロクはまだ来ないのか? 」
「……外の天使はイロク様のことでお話があるそうです」
イロクのことで話があるというか喧嘩しそうな二人を止めてほしいだけだが。盗み聞きのようなことをしながらカオルは自分の矢をグサグサと来ている服に刺していった。
「わかった、話すからその天使を中に入れてくれ」
「……はい、では連れてくるので少しは闇をしまってベッドから出て椅子に座っててくださいね」
ナノカがどうにか大悪魔を説得して部屋から出てくると、明らかにおかしいカオルの姿を見てギョッとした。
「……何やってるのでしょう? 」
天使と悪魔はわかり合えないと言われており、お互いに理解できない行動をすることもあるが、今のカオルの行動はそれで説明がつくようなものではない。ナノカは尋ねるしかない。
「……私の矢は光を発するので身に付けて鎧のようにしました。ナノカさんはいい考えだと思いません? ……」
そもそも光で防御したとして闇は簡単には相殺できるものではない。何やってるんだとナノカは思うしかない。
「……闇はしまってもらいますし、大悪魔様がお待ちですのでそれを全て外して入ってきてください」
ナノカは、カオルの行動を理解しようとするのをやめた。きっと気疲れしているから頭がおかしくなってしまったと思うことにした。カオルは通常通りだが。
「……なら安心ですね、では大悪魔様に会わせていただきます……」
矢を消してカオルは笑顔で扉を押した。
「……ええ。大悪魔様がお怒りであるのに部屋の外まで闇が漏れ出していないのは寝ていると考えていいでしょう。そうでなければカオルさんは今ごろ消滅してますよ」
黒い大きな扉に片手を添えてナノカは笑顔になった。その笑顔を向けられたカオルは、ナノカが悪魔だということを再認識した。黒い髪に黒い服、黒い翼に光が当たらず暗い顔に浮かべた黒い笑み。カオルは悪魔の黒さに初めて恐怖に似たものを感じた。
「……私がちょっと見てきます。ここで待っていてくださいよ、絶対に」
ナノカはそう言ってそのまま扉を押して中に入っていった。悪魔の宮殿は天使の宮殿と違い、日の光が当たらないところは真っ暗で天使の目ではよく見えない。誰か他の悪魔が通りかかっても気がつかないだろう。カオルは床に矢を刺しておくことにした。少しは光が当たるようになるから。
「……大悪魔様、何のんびり寝てるんですか。私はもう四日は寝れてないんですよ? 大悪魔様が許せばそれで済むんです。今部屋の外で天使が一人待っています。今すぐ起きて話を聞いてきてください」
ナノカは扉を閉め忘れていたようだ。声がカオルの耳まで届いた。大天使や大悪魔が仕事をする本気の状態でなければかなり強気に話すのは変わらないのかとカオルは思いながらこの状況厳しいのではと思った。
扉が閉まっていても漏れ出るほどの闇が扉が開いている今、どこまで漏れてしまうかわからない。気を付けなければカオルは消滅するだろう。気を付けなければ。
「あっちが謝ればいい話だからな、僕が許す必要はない。それより、イロクはまだ来ないのか? 」
「……外の天使はイロク様のことでお話があるそうです」
イロクのことで話があるというか喧嘩しそうな二人を止めてほしいだけだが。盗み聞きのようなことをしながらカオルは自分の矢をグサグサと来ている服に刺していった。
「わかった、話すからその天使を中に入れてくれ」
「……はい、では連れてくるので少しは闇をしまってベッドから出て椅子に座っててくださいね」
ナノカがどうにか大悪魔を説得して部屋から出てくると、明らかにおかしいカオルの姿を見てギョッとした。
「……何やってるのでしょう? 」
天使と悪魔はわかり合えないと言われており、お互いに理解できない行動をすることもあるが、今のカオルの行動はそれで説明がつくようなものではない。ナノカは尋ねるしかない。
「……私の矢は光を発するので身に付けて鎧のようにしました。ナノカさんはいい考えだと思いません? ……」
そもそも光で防御したとして闇は簡単には相殺できるものではない。何やってるんだとナノカは思うしかない。
「……闇はしまってもらいますし、大悪魔様がお待ちですのでそれを全て外して入ってきてください」
ナノカは、カオルの行動を理解しようとするのをやめた。きっと気疲れしているから頭がおかしくなってしまったと思うことにした。カオルは通常通りだが。
「……なら安心ですね、では大悪魔様に会わせていただきます……」
矢を消してカオルは笑顔で扉を押した。
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