炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
19節 天使と悪魔と喧嘩の原因
「こんなときではあるがせっかく会いに来た元先輩に対する態度には思えないな」
大天使に対してもイロクは、他と変わらない態度で話した。今の大天使よりは長く生きているイロクは、彼女がただの天使だったときに先輩として接していた。純粋に力を評価出来る良い子だったらしい。
「あんのワケわかんない奴と同じ悪魔を先輩呼びしていたのはとても公開していますが、大天使として私は変わりました。昔の話を持ち出さないでもらいたい……」
大天使の言葉は、イロクに向けて言うというわけではなく、自分に言い聞かせていたという感じがした。大悪魔と争っているときには、いつもかなり不機嫌にはなるが、それどころではなかった。
「大悪魔様に寝起きドッキリでも仕掛けられたか。あの方は意外といたずら好きだからな」
適当にイロクが言うと、わかりやすく大天使は反応した。今回の争いにはまだ知らない情報があるらしい。
「ちなみに用件は、今回なんで喧嘩してるのか教えてくれ。だ。数日前の大悪魔様の怒りが相当だったからな。気になったんだ」
「通りでまだ謝りに来ないわけですね。良いでしょう、私にも非があることは事実ですし、教えて差し上げます……」
今回の喧嘩の原因は、聞いてないところが多いとイロクは理解した。
──
───
─────
「お互いがアホすぎるな」
「だから、私にも非があると言ったのです……」
大天使から起きたことを全て聞いたイロクとその部屋にずっといて聞こえてしまったカオルは、呆れることしか出来なかった。元々子供の喧嘩のようではあったが、ここまでアホらしいとは誰も思わなかっただろう。
「……大天使様、お気持ちはわかりますよ。寝起きから目の前に大悪魔様の顔があったら誰でも驚きます……」
「だが。だがだぞ、腹いせに大悪魔様の戸棚から楽しみにしてたおやつを盗むのは違うだろ」
各種族のNo.2である仲が悪いはずの二人が同じことを大天使に説教しているのは異様な状況だ。その異様さを受け入れてしまうほど大天使は反省していた。
「ですけど、あいつ悪びれることなくその日もその次の日も過ごすから、怒りが収まらなくて……」
大天使の話を聞いているうちにイロクとカオルは幼い子供を叱っている気分になってきた。自分達ではあり得ない理由で怒り、喧嘩をして周りを巻き込む。これを子供と言わずに何と言えば良いのか。そのくらいの思いだった。
「確かにな、お前が大天使になってからちゃんと仕事をして周りからも信頼されているのを見て忘れてたが、ヒサはまだ子供だもんな」
「……私は以前の大天使様を知りませんが、子供の扱いには慣れています。今大天使様がするべきことと私たちが支えるべきことはわかります。お手伝いしますから、謝りにいきましょう……」
過去を思い出しながら大天使のことを考えるイロクと今すべきことだけを考えるカオルの意見は一致していた。これ以上喧嘩を続けていれば、互いに謝りにくくなるだけだ。それに、大悪魔は何もしていないのにおやつを取られたと思っているはずだ。自分も悪かったと理解している大天使から謝るしかない。
「ヒサ、カオルか私にならいつでも相談して良い。私は基本宮殿にいないが、家はここだし呼べば仕事を早く終わらせてこれる」
「……私は大天使様のお手伝いすることが仕事なので、何でも聞きましょう。そこの悪魔よりは役に立ちますよ……」
二人の言葉を聞き、大天使はうるうると感動したような目をしていた。
そんな状況でイロクは申し訳なく思い始めているが、話している内容のほとんどはデタラメだ。思っていないこともたくさん話している。
時間稼ぎとはいえ、イロクは我ながら何を言ってるのかわからないと思っていた。
時間を確認する。イロクが宮殿に戻ってから五日ほど。シアラのいる場所では二週間以上が経っているはずだ。それが確認できてイロクは隠れてよしっと喜んだ。
ここからは設定の話となります。
この世界は宮殿の中やそれに準ずる数々の園とそれ以外で時間の数え方が大きく異なる。
地球の時間で表すと
宮殿での一日→72時間
外での一日→24時間
である。
つまり、イロクとカオルは216時間以上も休まず戦っていたのだ。アホだ。
尚、適当に付け足した情報ではない。はずだ。たぶん、おそらく。かもしれない……。うん。
大天使に対してもイロクは、他と変わらない態度で話した。今の大天使よりは長く生きているイロクは、彼女がただの天使だったときに先輩として接していた。純粋に力を評価出来る良い子だったらしい。
「あんのワケわかんない奴と同じ悪魔を先輩呼びしていたのはとても公開していますが、大天使として私は変わりました。昔の話を持ち出さないでもらいたい……」
大天使の言葉は、イロクに向けて言うというわけではなく、自分に言い聞かせていたという感じがした。大悪魔と争っているときには、いつもかなり不機嫌にはなるが、それどころではなかった。
「大悪魔様に寝起きドッキリでも仕掛けられたか。あの方は意外といたずら好きだからな」
適当にイロクが言うと、わかりやすく大天使は反応した。今回の争いにはまだ知らない情報があるらしい。
「ちなみに用件は、今回なんで喧嘩してるのか教えてくれ。だ。数日前の大悪魔様の怒りが相当だったからな。気になったんだ」
「通りでまだ謝りに来ないわけですね。良いでしょう、私にも非があることは事実ですし、教えて差し上げます……」
今回の喧嘩の原因は、聞いてないところが多いとイロクは理解した。
──
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「お互いがアホすぎるな」
「だから、私にも非があると言ったのです……」
大天使から起きたことを全て聞いたイロクとその部屋にずっといて聞こえてしまったカオルは、呆れることしか出来なかった。元々子供の喧嘩のようではあったが、ここまでアホらしいとは誰も思わなかっただろう。
「……大天使様、お気持ちはわかりますよ。寝起きから目の前に大悪魔様の顔があったら誰でも驚きます……」
「だが。だがだぞ、腹いせに大悪魔様の戸棚から楽しみにしてたおやつを盗むのは違うだろ」
各種族のNo.2である仲が悪いはずの二人が同じことを大天使に説教しているのは異様な状況だ。その異様さを受け入れてしまうほど大天使は反省していた。
「ですけど、あいつ悪びれることなくその日もその次の日も過ごすから、怒りが収まらなくて……」
大天使の話を聞いているうちにイロクとカオルは幼い子供を叱っている気分になってきた。自分達ではあり得ない理由で怒り、喧嘩をして周りを巻き込む。これを子供と言わずに何と言えば良いのか。そのくらいの思いだった。
「確かにな、お前が大天使になってからちゃんと仕事をして周りからも信頼されているのを見て忘れてたが、ヒサはまだ子供だもんな」
「……私は以前の大天使様を知りませんが、子供の扱いには慣れています。今大天使様がするべきことと私たちが支えるべきことはわかります。お手伝いしますから、謝りにいきましょう……」
過去を思い出しながら大天使のことを考えるイロクと今すべきことだけを考えるカオルの意見は一致していた。これ以上喧嘩を続けていれば、互いに謝りにくくなるだけだ。それに、大悪魔は何もしていないのにおやつを取られたと思っているはずだ。自分も悪かったと理解している大天使から謝るしかない。
「ヒサ、カオルか私にならいつでも相談して良い。私は基本宮殿にいないが、家はここだし呼べば仕事を早く終わらせてこれる」
「……私は大天使様のお手伝いすることが仕事なので、何でも聞きましょう。そこの悪魔よりは役に立ちますよ……」
二人の言葉を聞き、大天使はうるうると感動したような目をしていた。
そんな状況でイロクは申し訳なく思い始めているが、話している内容のほとんどはデタラメだ。思っていないこともたくさん話している。
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