炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
7節 天使と悪魔の仕事
「あ、シアラいたいた」
夕暮れ時、シアラが住み処にしている倉庫にイロクが入ってきた。隅の方で座ったままのシアラを見つけて駆け寄って話しかけた。
「え? イロク。仕事は終わったの? 」
「私の仕事はするまでもなかったよ。勝手に中級身分の人に殺されてくれた。絶対に助からないように手助けはさせてもらったけど」
シアラは眠そうに目を擦りながらイロクの話を聞いていた。ようやく死んでくれたと安心しながら眠る前の日付を思い出した。
「え、今朝なのか? 」
「いいや、夕方だけど……。もしかして、今まで寝てたのか? 」
今が夕方であるという事実を聞いて明らかに落ち込んでいるシアラを見てイロクは少し焦って言った。
「俺だってこんなに寝てるつもりはなかったよ。ちょっと仕事してくるから付いてくるか待ってるかしててくれる? 」
「付いてくよ。私も何か手伝えるかもだし」
無理だ。とか言いながらシアラは倉庫から早足で出ていき、イロクは楽しそうにそのあとを付いていった。
「お前は絶対にここから出ると民の姿だよな、宮殿に行くとき以外は。べつに天使のままでも仕事くらい出来るだろう? 」
「俺の勝手でしょ。そんなに言うならイロクだって人間に擬態すれば? 」
シアラがそう提案するとイロクは走って倉庫に戻り、すぐにシアラと同じような服装になって出てきた。制服ならばかろうじてはっきりする性別が女物の服を着ることで完全に逆になっていた。
「いや、私はこっちの方が似合うな」
「たしかに似合うけどさ、本当に性別がわからなくなる……。普段もそうなの? 」
急いでいたはずの足を止めてシアラはイロクの服装に一言言った。スカートを揺らして走って来るイロクの姿はもはやただの可愛い女の子だった。
イロクは自慢げにシアラの方を見てクルクル回ったりしているが、シアラは正直どうでもよかったので、つまらなそうに見ていた。
「いや、普段は民の姿にならないから基本制服だ。私たち悪魔の使命は認知されると面倒だからな」
「あっそ。急ぐからおいてくよ」
シアラは今の時間を確認してまず向かうべき所に歩き始めた。こういう移動には空を飛べる天使の姿が便利だが、歩いている間に何かあるかもしれないから外にいるときには民の姿でいることにしている。
「まあ、おいていかれても問題はないんだけどな。付いていくって決めたから大人しく手伝いますよー」
ニッと笑ってそう言いながらイロクはシアラの隣を歩いた。何故かずっとシアラの顔を見つめているので、歩きにくくはなっていたが、もう長い間そうなのでさすがにシアラもなれた。
「あ、あの子……」
シアラは遠くに一人の少女を見つけた。
夕暮れ時、シアラが住み処にしている倉庫にイロクが入ってきた。隅の方で座ったままのシアラを見つけて駆け寄って話しかけた。
「え? イロク。仕事は終わったの? 」
「私の仕事はするまでもなかったよ。勝手に中級身分の人に殺されてくれた。絶対に助からないように手助けはさせてもらったけど」
シアラは眠そうに目を擦りながらイロクの話を聞いていた。ようやく死んでくれたと安心しながら眠る前の日付を思い出した。
「え、今朝なのか? 」
「いいや、夕方だけど……。もしかして、今まで寝てたのか? 」
今が夕方であるという事実を聞いて明らかに落ち込んでいるシアラを見てイロクは少し焦って言った。
「俺だってこんなに寝てるつもりはなかったよ。ちょっと仕事してくるから付いてくるか待ってるかしててくれる? 」
「付いてくよ。私も何か手伝えるかもだし」
無理だ。とか言いながらシアラは倉庫から早足で出ていき、イロクは楽しそうにそのあとを付いていった。
「お前は絶対にここから出ると民の姿だよな、宮殿に行くとき以外は。べつに天使のままでも仕事くらい出来るだろう? 」
「俺の勝手でしょ。そんなに言うならイロクだって人間に擬態すれば? 」
シアラがそう提案するとイロクは走って倉庫に戻り、すぐにシアラと同じような服装になって出てきた。制服ならばかろうじてはっきりする性別が女物の服を着ることで完全に逆になっていた。
「いや、私はこっちの方が似合うな」
「たしかに似合うけどさ、本当に性別がわからなくなる……。普段もそうなの? 」
急いでいたはずの足を止めてシアラはイロクの服装に一言言った。スカートを揺らして走って来るイロクの姿はもはやただの可愛い女の子だった。
イロクは自慢げにシアラの方を見てクルクル回ったりしているが、シアラは正直どうでもよかったので、つまらなそうに見ていた。
「いや、普段は民の姿にならないから基本制服だ。私たち悪魔の使命は認知されると面倒だからな」
「あっそ。急ぐからおいてくよ」
シアラは今の時間を確認してまず向かうべき所に歩き始めた。こういう移動には空を飛べる天使の姿が便利だが、歩いている間に何かあるかもしれないから外にいるときには民の姿でいることにしている。
「まあ、おいていかれても問題はないんだけどな。付いていくって決めたから大人しく手伝いますよー」
ニッと笑ってそう言いながらイロクはシアラの隣を歩いた。何故かずっとシアラの顔を見つめているので、歩きにくくはなっていたが、もう長い間そうなのでさすがにシアラもなれた。
「あ、あの子……」
シアラは遠くに一人の少女を見つけた。
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