炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
5節 天使と悪魔の友人
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「シアラ! 」
切るのをサボりすぎて右目が黒い髪によって完全に隠れてしまった悪魔が光が当たり、白く輝く長い髪を高い位置で結った天使に向かって名前を叫んだ。
「あぁ、イロク」
幼い頃に大天使と大悪魔から組むように言い渡されてからずっと二人は友達だった。天使と悪魔は敵対しているわけではないが、時には争うこともあるので決して仲良くはしないような存在だった。
だが、この二人は何に惹かれたのかずっとただの友人でいた。
「また片方髪がほどけてる……。もう結ぶのやめた方がいいんじゃないか? 」
「うるさい。そう言うんだったらイロクこそ髪を切りなさい。男らしくない」
イロクはシアラに言われ、腰辺りまで伸びた自分の黒い髪を触った。たしかに言われてみれば男にしては異様に長く、耳に髪がかかるのを嫌って小さな団子が結ってある。しかも女顔だ。一人称も『私』で声も高い。知らなければ誰もが女だと思うだろう。
「そんなこと言うならお前も自分のことを『俺』って呼ぶのをやめろよ。せっかく可愛い顔してんのに」
「俺はいいの。民と話すときはちゃんと変えてるし」
シアラはほどけた髪を結び直してそう答えた。左の赤い光の無い目でイロクのことを見た。
「そんなことより、イロクまた幹部に推薦されたんでしょ? いい加減俺から離れて実力相応の役職につきなさいよ」
「だから、いつも言ってるだろ? 私はお前以外と組むつもりはない。お前が目を手放しても私は目をはずすことはない」
顔を傾け、髪の隙間から赤い右目がにこりと微笑んだ。
「俺の目で見ないで。それに、勝手に隣に座らないで」
「私はそんなつもり無いんだがな~。返すんだったらいつでもその目は受けとるぞ」
ペアになった天使と悪魔は右目を交換する。目を付け替えたところで見えなくなるわけも死ぬわけもないので問題はないが、これがある限りはペアは解消されない。証のひとつだ。目に命が宿ると言われていた昔からの伝えだ。
「渡さないわよ。この青い目も気に入ってるし……」
「じゃあ、また断ってくるからな」
シアラは青い右目を押さえて少し嬉しそうに言った。そして、イロクはニッと笑って立ち上がった。
「来たばかりで悪いけど、私は宮殿に行ってくる。何か連絡はあるか? 」
「はぁ……俺が担当してた民の貴族の一人が明日で死ぬから交代よ。後は任せる、健康体だから気を付けて使命を全うするように」
シアラはいつも性格のいい貧困層の子供かゴミのような性格の貴族しか担当しない。助けるか仕事をしないかしかないのだ。
イロクはシアラが決めた相手を殺すだけ。主にその対象は貴族になる。次の担当は貴族でない者の土地をかなり奪っていたようだ。シアラは情に弱いからな。イロクはいつもそう言って仕事を引き受けた。
「了解だ。じゃあ、また明日」
「シアラ! 」
切るのをサボりすぎて右目が黒い髪によって完全に隠れてしまった悪魔が光が当たり、白く輝く長い髪を高い位置で結った天使に向かって名前を叫んだ。
「あぁ、イロク」
幼い頃に大天使と大悪魔から組むように言い渡されてからずっと二人は友達だった。天使と悪魔は敵対しているわけではないが、時には争うこともあるので決して仲良くはしないような存在だった。
だが、この二人は何に惹かれたのかずっとただの友人でいた。
「また片方髪がほどけてる……。もう結ぶのやめた方がいいんじゃないか? 」
「うるさい。そう言うんだったらイロクこそ髪を切りなさい。男らしくない」
イロクはシアラに言われ、腰辺りまで伸びた自分の黒い髪を触った。たしかに言われてみれば男にしては異様に長く、耳に髪がかかるのを嫌って小さな団子が結ってある。しかも女顔だ。一人称も『私』で声も高い。知らなければ誰もが女だと思うだろう。
「そんなこと言うならお前も自分のことを『俺』って呼ぶのをやめろよ。せっかく可愛い顔してんのに」
「俺はいいの。民と話すときはちゃんと変えてるし」
シアラはほどけた髪を結び直してそう答えた。左の赤い光の無い目でイロクのことを見た。
「そんなことより、イロクまた幹部に推薦されたんでしょ? いい加減俺から離れて実力相応の役職につきなさいよ」
「だから、いつも言ってるだろ? 私はお前以外と組むつもりはない。お前が目を手放しても私は目をはずすことはない」
顔を傾け、髪の隙間から赤い右目がにこりと微笑んだ。
「俺の目で見ないで。それに、勝手に隣に座らないで」
「私はそんなつもり無いんだがな~。返すんだったらいつでもその目は受けとるぞ」
ペアになった天使と悪魔は右目を交換する。目を付け替えたところで見えなくなるわけも死ぬわけもないので問題はないが、これがある限りはペアは解消されない。証のひとつだ。目に命が宿ると言われていた昔からの伝えだ。
「渡さないわよ。この青い目も気に入ってるし……」
「じゃあ、また断ってくるからな」
シアラは青い右目を押さえて少し嬉しそうに言った。そして、イロクはニッと笑って立ち上がった。
「来たばかりで悪いけど、私は宮殿に行ってくる。何か連絡はあるか? 」
「はぁ……俺が担当してた民の貴族の一人が明日で死ぬから交代よ。後は任せる、健康体だから気を付けて使命を全うするように」
シアラはいつも性格のいい貧困層の子供かゴミのような性格の貴族しか担当しない。助けるか仕事をしないかしかないのだ。
イロクはシアラが決めた相手を殺すだけ。主にその対象は貴族になる。次の担当は貴族でない者の土地をかなり奪っていたようだ。シアラは情に弱いからな。イロクはいつもそう言って仕事を引き受けた。
「了解だ。じゃあ、また明日」
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