炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~

黄崎うい

3節 白髪黒翼の天使・シアラ

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 昔々ある所に天使と悪魔が神の下に民の命を支配している世界がありました。

 その世界では、天使と悪魔は二人一組となり、民の寿命を全うさせ、余計に長く生きることがないようにそのすべての命を自在に操っていました。そのすべてを神の自由に。

 民は何も知らない。自らの寿命もその命が守られていることも狙われていることも知らない。平和に生きる無知で哀れな存在。

 天使は民をどんな病や危機からも救い、寿命を迎えるまで生かすのが使命。

 悪魔は民に災いを与え、その気になればどんな守りすらも掻い潜って寿命を迎えた民の命を奪うのが使命。

 神は民、天使、悪魔の寿命を乱数で決め、それぞれの使命を全うさせるため監視し、罰を与える。

 神には誰も逆らえない。だが、神は不在が多い。神は自らの代理としで大天使゙ど大悪魔゙を定めた。最も力のある二名を選ぶため、この二人にすら誰も逆らえない。

 だが、゙大天使゙ど大悪魔゙は一人ではない。必ず争いは起きる。

 その争いの隙を突いて人間を生かし続けるという神の意思に背いた行動をしたのが『白髪黒翼の天使・シアラ』だった。

「たかが俺たちの百分の一程度も生きられないなんて可哀想でしょ? だからもっと生きたいと言う民の願いを叶えたまで。民の願いを叶えるのは支配する俺たちの使命だろ」

 一人の悪魔に何故そんな行動をするのか問われたとき、シアラはそう答えた。

 本来天使が叶える民の願いは民が寿命まで生きることができないと判断されたときだけだった。寿命を迎えたら天使は何もしなくなる。自分が担当した民をペアの悪魔に引き継いで終わりだった。

 だが、争いの間わ引き継ぐ必要も願いを叶える必要も無い。だからこそ下っ端の天使と悪魔はこの間に好き勝手する。好きに生かし、命を奪う。

 しかし、シアラは神が唯一禁止していたことをした。

 自分の邪魔をする者をすべて殺した。悪魔だけでなく、仲間であるはずの天使も殺した。

─同じ使命を全うする者を殺めた者。罰則─

 罰則は永久に光を見ることが許されない刑だとは言われていた。命が奪われるかはわからない。シアラはそんなことどうでもよかった。

 そして、争いは終わり、シアラの行動は大天使と大悪魔の耳に入った。当然、シアラはすぐに呼び出され、それに従った。

 興味本位の天使悪魔たちがどんな罰が下されるのかと集まった。

 シアラは大天使と大悪魔に逆らうことなくうなずき、従った。ここまで大人しく従っていれば誰だって油断する。シアラはその隙に神の代理の命を奪った。

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