炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
24節 禁忌魔術の本を読んだか?
「ああ。言われなくてもそのつもりだ。面倒だから説明は省略してだ。あー、そういえばアルゴライム。図書館で禁忌魔術の本を読んだか? 読んでれば話が早くて助かるんだが」
アルゴライムは、少し考えるようにして図書室の様子を思い出した。確か、図書室の一番奥。一冊だけ異様な空気を纏った本が存在していた。読もうとすれば弾かれる不思議な空気だ。
「読みたかったんですけどね、読めませんでした。恐らく、お姉ちゃんによって封印されていたので」
「そうか。なら、説明が必要だな」
アノニムは、あっさりと理解して説明を始めた。
図書室の本は、禁忌魔術の本だったらしい。アノニムも憶測にすぎなかったが、ヨルカの魔術量ならば使用できるとキューバルが判断して、読めないように封印したらしい。
禁忌魔術は三つ。魂の融合、感覚の共有、魂の製造。
魂の融合は、魂と魂を結びつけ、絶対に切れることのない契約を結び、死を迎えるときには、同時に死ぬもの。しかし、この契約を結ぶと、大きな負担がかかり、もし結べたとしても三日以上生き延びた者はいないらしい。
感覚の共有は、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚全てを共有し、相手が死ぬときにはそれ相応の痛みを味わう。従属の契約をする者に使うものもいるが、禁忌魔術なので代償が必要。その代償は、主に使用した側の寿命だ。使用された側は何のリスクも背負わないことが多い。そのため、禁忌だと知らずに使用されることが多い。
魂の製造は、下界では死者を蘇らせることとして使用される。他にも新たな自分の思い通りになる駒を作り出すなど、使われている。しかし、その作り出した魂とは無条件で魂の融合、感覚の共有がされる。このときに結ばれる魂の融合は特殊で、体に負担がかかることはないが、互いが同時に死ぬまで死ぬことはない。不死に近いが、不老不死ではないので、老いることは止まらず、死んで蘇ることを繰り返すような状況がいつまでも続くような感覚になるらしい。
「……と、いうことだ。ここまでが前提条件でわかってもらわないと困──。あ」
アノニムは、説明を終えると、不自然に会話を切り、柱を振り返った。
「どうかしました? 」
「……」
アルゴライムの問いにも答えず、アノニムは少し緊張したような顔で柱を睨んだ。話もできずにアルゴライムがそのアノニムの姿を見ていた。
しばらくすると、ヒトミが二人の前に現れた。
「おい、ヒトミ! 」
「……ええ。そうよ。私がこの子には説明しといてあげるから、あなたは"修復"してきてくれるかしら? 」
少し悲しそうな表情を隠しきれていないヒトミは、アノニムに視線だけ向けてそう命じた。アノニムは、ヒトミに向けて明らかな怒りをぶつけていた。けれど、命令に背くのはこの神界ではありえない。アノニムは、何も言わずに少し頭を下げてその場を去った。
「…………彼女を連れてついてきてくれるかしら? 私の部屋できちんと話をするわ」
ヒトミは、アルゴライムに視線も向けず、リリスを指差して手招きをした。アルゴライムは、また自分のわからない状況が続いていることに不満を感じながらも、リリスを抱えてヒトミについて行った。
アルゴライムは、少し考えるようにして図書室の様子を思い出した。確か、図書室の一番奥。一冊だけ異様な空気を纏った本が存在していた。読もうとすれば弾かれる不思議な空気だ。
「読みたかったんですけどね、読めませんでした。恐らく、お姉ちゃんによって封印されていたので」
「そうか。なら、説明が必要だな」
アノニムは、あっさりと理解して説明を始めた。
図書室の本は、禁忌魔術の本だったらしい。アノニムも憶測にすぎなかったが、ヨルカの魔術量ならば使用できるとキューバルが判断して、読めないように封印したらしい。
禁忌魔術は三つ。魂の融合、感覚の共有、魂の製造。
魂の融合は、魂と魂を結びつけ、絶対に切れることのない契約を結び、死を迎えるときには、同時に死ぬもの。しかし、この契約を結ぶと、大きな負担がかかり、もし結べたとしても三日以上生き延びた者はいないらしい。
感覚の共有は、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚全てを共有し、相手が死ぬときにはそれ相応の痛みを味わう。従属の契約をする者に使うものもいるが、禁忌魔術なので代償が必要。その代償は、主に使用した側の寿命だ。使用された側は何のリスクも背負わないことが多い。そのため、禁忌だと知らずに使用されることが多い。
魂の製造は、下界では死者を蘇らせることとして使用される。他にも新たな自分の思い通りになる駒を作り出すなど、使われている。しかし、その作り出した魂とは無条件で魂の融合、感覚の共有がされる。このときに結ばれる魂の融合は特殊で、体に負担がかかることはないが、互いが同時に死ぬまで死ぬことはない。不死に近いが、不老不死ではないので、老いることは止まらず、死んで蘇ることを繰り返すような状況がいつまでも続くような感覚になるらしい。
「……と、いうことだ。ここまでが前提条件でわかってもらわないと困──。あ」
アノニムは、説明を終えると、不自然に会話を切り、柱を振り返った。
「どうかしました? 」
「……」
アルゴライムの問いにも答えず、アノニムは少し緊張したような顔で柱を睨んだ。話もできずにアルゴライムがそのアノニムの姿を見ていた。
しばらくすると、ヒトミが二人の前に現れた。
「おい、ヒトミ! 」
「……ええ。そうよ。私がこの子には説明しといてあげるから、あなたは"修復"してきてくれるかしら? 」
少し悲しそうな表情を隠しきれていないヒトミは、アノニムに視線だけ向けてそう命じた。アノニムは、ヒトミに向けて明らかな怒りをぶつけていた。けれど、命令に背くのはこの神界ではありえない。アノニムは、何も言わずに少し頭を下げてその場を去った。
「…………彼女を連れてついてきてくれるかしら? 私の部屋できちんと話をするわ」
ヒトミは、アルゴライムに視線も向けず、リリスを指差して手招きをした。アルゴライムは、また自分のわからない状況が続いていることに不満を感じながらも、リリスを抱えてヒトミについて行った。
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