炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
23節 意識を奪ってください
「……アノニム」
「アルゴライムも思ったのか」
アルゴライムは、リリスの方を見たままアノニムの腕を引いて呼び掛けた。アノニムも同じようにリリスを見ながらそのアルゴライムの呼び掛けに答えた。
「ええ。混ざってますね」
「……ああ。やっぱり実体化なんてやめておけばよかった」
リリスを実体化する必要はなかったのだが、ズィミアの提案でそうすることにしたそうだ。けれど、次に生まれ変わる予定の性格へ変更されかけているなか、リリスの姿と性格で実体化したので、それが混ざってしまっているようだった。
「何をごちゃごちゃ言っているの? 私はそうだけど、ライムもこの状況をあまり理解していないでしょ? だからアノニム、説明して」
「リース。少しいいですか」
アルゴライムは、説明を求め続けるリリスにそう声をかけた。そして、突然そう言われて動揺しているリリスに手をかざし、語りかけるように優しく言った。
「意識を奪ってください」
そう言い終えた瞬間に倒れたリリスを見てアルゴライムは確信した。ここは神界。漂う空気は全て魔力。詠唱などなくても容易に高等魔術であったものを使うことができる。
「私たちはどうやら、君に魔力を与えすぎたようだ。通常、生命体がここで魔術を使おうとすればそれは失敗に終わるはずだ」
「そうですか。ちなみに、リースは私の命令次第でいつでも起こせます。起こしてほしいときは、いつでも言ってください」
アルゴライムの言葉には、そんなことないだろうと思いますけど、という皮肉染みた言葉が続く。それを察したアノニムは、その事には触れずに話始めた。
「さて、見てもらった通りズィミアは大分おかしい。普通は第三者から見たその者を作り出そうとして、もしそれに成功してもそれは、本当に作ろうとしたものじゃなくなるんだ。どういうことかわかるか? 」
アノニムは、自分の部屋に通ずるはずの柱を見つめながらそう説明をした。アノニムはズィミアの作り出したものであり、本来ならばズィミアの思い描くヒトミとアノニムは遠くかけ離れたものでなければおかしい。そういうことだ。アルゴライムは、その言葉をその意味だと受け取り、返した。
「わかりませんよ。そういう前提として受け取らなければならないのなら、私はそうしますけど、その理由を説明していただかなければ納得はしません。それでも納得するかはわかりませんが」
一切アルゴライムの方を見ないアノニムを見てアルゴライムは、倒れたリリスに背を向けてアノニムの方をしっかりと見て答えた。その声には、微かだが自分の方を見てほしい。そんな願望もあった。
「……そうか。じゃあ前提として受け取ってくれ」
読心で読み取ったのか、声から察したのか、アノニムも柱に背を向けてアルゴライムの方を見た。少しは柱を気にかけているようだったが、話しやすくなり、アルゴライムは少し心の中に笑みを浮かべた。
「わかりました。続きをどうぞ」
「アルゴライムも思ったのか」
アルゴライムは、リリスの方を見たままアノニムの腕を引いて呼び掛けた。アノニムも同じようにリリスを見ながらそのアルゴライムの呼び掛けに答えた。
「ええ。混ざってますね」
「……ああ。やっぱり実体化なんてやめておけばよかった」
リリスを実体化する必要はなかったのだが、ズィミアの提案でそうすることにしたそうだ。けれど、次に生まれ変わる予定の性格へ変更されかけているなか、リリスの姿と性格で実体化したので、それが混ざってしまっているようだった。
「何をごちゃごちゃ言っているの? 私はそうだけど、ライムもこの状況をあまり理解していないでしょ? だからアノニム、説明して」
「リース。少しいいですか」
アルゴライムは、説明を求め続けるリリスにそう声をかけた。そして、突然そう言われて動揺しているリリスに手をかざし、語りかけるように優しく言った。
「意識を奪ってください」
そう言い終えた瞬間に倒れたリリスを見てアルゴライムは確信した。ここは神界。漂う空気は全て魔力。詠唱などなくても容易に高等魔術であったものを使うことができる。
「私たちはどうやら、君に魔力を与えすぎたようだ。通常、生命体がここで魔術を使おうとすればそれは失敗に終わるはずだ」
「そうですか。ちなみに、リースは私の命令次第でいつでも起こせます。起こしてほしいときは、いつでも言ってください」
アルゴライムの言葉には、そんなことないだろうと思いますけど、という皮肉染みた言葉が続く。それを察したアノニムは、その事には触れずに話始めた。
「さて、見てもらった通りズィミアは大分おかしい。普通は第三者から見たその者を作り出そうとして、もしそれに成功してもそれは、本当に作ろうとしたものじゃなくなるんだ。どういうことかわかるか? 」
アノニムは、自分の部屋に通ずるはずの柱を見つめながらそう説明をした。アノニムはズィミアの作り出したものであり、本来ならばズィミアの思い描くヒトミとアノニムは遠くかけ離れたものでなければおかしい。そういうことだ。アルゴライムは、その言葉をその意味だと受け取り、返した。
「わかりませんよ。そういう前提として受け取らなければならないのなら、私はそうしますけど、その理由を説明していただかなければ納得はしません。それでも納得するかはわかりませんが」
一切アルゴライムの方を見ないアノニムを見てアルゴライムは、倒れたリリスに背を向けてアノニムの方をしっかりと見て答えた。その声には、微かだが自分の方を見てほしい。そんな願望もあった。
「……そうか。じゃあ前提として受け取ってくれ」
読心で読み取ったのか、声から察したのか、アノニムも柱に背を向けてアルゴライムの方を見た。少しは柱を気にかけているようだったが、話しやすくなり、アルゴライムは少し心の中に笑みを浮かべた。
「わかりました。続きをどうぞ」
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