炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
16節 騙し
アノニムは、リリスの笑顔を見て少し困ったような表情を浮かべた。しかし、いつも通りの表情に戻り、答えた。
「別に私も構わない。リリスが良いなら私が止める必要もない」
「だって、良いわよ。聞いても」
リリスはいつになくニコニコとしていた。そこまで長い付き合いではないが、ここまでご機嫌に笑顔を見せているリリスをアルゴライムは見たことがなかった。
「……では、リースはどこまで話を聞いているのですか? さっきから話に全く詰まることなく話せていることには疑問があります。どこまで知っているのですか? 」
アルゴライムがそう問うと、機嫌が良かったはずのリリスの顔は、退屈そうな表情に変わった。そして、退屈そうに口を開いて言った。
「期待はずれね。そんなことにも気がつかないなんて、アノニムの言う通りだったわ」
アルゴライムは、なんだかバカにされたような気がしてアノニムの方を見た。ついさっきまではほとんど笑うような雰囲気もなかったはずなのに腹を抱えて笑うのを我慢していた。
「ははははは、気づいてると思った。まさかな、全く気づいてないどころか聞いてくるなんて」
「二人で何を騙しているんですか? 時間もないんです、説明を求めます」
「ちゃんと説明するから、そんなに殺気を出さないでちょうだい」
アルゴライムは、全ての人形を燃え落とそうとした。しかし、その瞬間にアノニムの放った何かの魔術によって、その炎は不発に終わった。
「私の趣味を燃やさなければそれで良い」
「説明さえしてくれればそれで構いません」
アルゴライムとアノニムの性格は何処か似ているものがある。その性格がぶつかり合ったとき、喧嘩が始まる。けれど、二人とも極度の面倒くさがりやだ。喧嘩が起きる心配はなさそうだ。
「説明はリリスがするって言ってるだろう」
「え、私そんなの聞いてないんだけど」
リリスは、説明を押し付けられたようだ。しかし、ここで怒っては誰もそれを止める者がいない。リリスは、浮かんできた怒りの感情を何処かに沈めた。
「わかったわよ……。自分で言うのは少し嫌なんだけどね、私は死んでここに来たでしょ? 普通なら生まれ変わるはずよね」
「はい。まあ、恐らく私が例外なのでそうでしょう」
「少し黙って聞いていてはくれないかしらね? 前の私だったらこれで普通に話しているだろうけれど、今の私だとそれは無さそうよ」
アルゴライムが少し返事をするつもりで口を挟んだだけでリリスは怒っているようだ。アルゴライムは、このリリスが知ってるリリスでないことを確信した。
「……」
「続けるわよ。生まれ変わるんだったら別の性格になるわ、普通わね。だから私はアノニムの何かしらの力で生まれ変わることはなくてもリリスではない別の者になっていたの。だから、色々説明しようとアノニムがリリスの人格を引きずり出そうとしたのだけど、私は次の人生で何になるはずだったのかしらね、度を越えた読心術があったわ。言われなくても私が何者かわかったってことね。だから、言いたいことといえば私は貴女の知っているリリスのではないのよ」
短調で無表情のままリリスは説明をしていた。アルゴライムは、リリスの方を見たりアノニムの方を見たりとしていたが、アノニムは時々笑いそうになったりと、様子がおかしかった。
「説明終わったみたいだし、もうひとつ良いか? 」
リリスの説明が終わると、アノニムが何故か手をあげてそう言った。そのときは、笑いそうにはなっていなかったが、やっぱり様子はおかしかった。
「別に私も構わない。リリスが良いなら私が止める必要もない」
「だって、良いわよ。聞いても」
リリスはいつになくニコニコとしていた。そこまで長い付き合いではないが、ここまでご機嫌に笑顔を見せているリリスをアルゴライムは見たことがなかった。
「……では、リースはどこまで話を聞いているのですか? さっきから話に全く詰まることなく話せていることには疑問があります。どこまで知っているのですか? 」
アルゴライムがそう問うと、機嫌が良かったはずのリリスの顔は、退屈そうな表情に変わった。そして、退屈そうに口を開いて言った。
「期待はずれね。そんなことにも気がつかないなんて、アノニムの言う通りだったわ」
アルゴライムは、なんだかバカにされたような気がしてアノニムの方を見た。ついさっきまではほとんど笑うような雰囲気もなかったはずなのに腹を抱えて笑うのを我慢していた。
「ははははは、気づいてると思った。まさかな、全く気づいてないどころか聞いてくるなんて」
「二人で何を騙しているんですか? 時間もないんです、説明を求めます」
「ちゃんと説明するから、そんなに殺気を出さないでちょうだい」
アルゴライムは、全ての人形を燃え落とそうとした。しかし、その瞬間にアノニムの放った何かの魔術によって、その炎は不発に終わった。
「私の趣味を燃やさなければそれで良い」
「説明さえしてくれればそれで構いません」
アルゴライムとアノニムの性格は何処か似ているものがある。その性格がぶつかり合ったとき、喧嘩が始まる。けれど、二人とも極度の面倒くさがりやだ。喧嘩が起きる心配はなさそうだ。
「説明はリリスがするって言ってるだろう」
「え、私そんなの聞いてないんだけど」
リリスは、説明を押し付けられたようだ。しかし、ここで怒っては誰もそれを止める者がいない。リリスは、浮かんできた怒りの感情を何処かに沈めた。
「わかったわよ……。自分で言うのは少し嫌なんだけどね、私は死んでここに来たでしょ? 普通なら生まれ変わるはずよね」
「はい。まあ、恐らく私が例外なのでそうでしょう」
「少し黙って聞いていてはくれないかしらね? 前の私だったらこれで普通に話しているだろうけれど、今の私だとそれは無さそうよ」
アルゴライムが少し返事をするつもりで口を挟んだだけでリリスは怒っているようだ。アルゴライムは、このリリスが知ってるリリスでないことを確信した。
「……」
「続けるわよ。生まれ変わるんだったら別の性格になるわ、普通わね。だから私はアノニムの何かしらの力で生まれ変わることはなくてもリリスではない別の者になっていたの。だから、色々説明しようとアノニムがリリスの人格を引きずり出そうとしたのだけど、私は次の人生で何になるはずだったのかしらね、度を越えた読心術があったわ。言われなくても私が何者かわかったってことね。だから、言いたいことといえば私は貴女の知っているリリスのではないのよ」
短調で無表情のままリリスは説明をしていた。アルゴライムは、リリスの方を見たりアノニムの方を見たりとしていたが、アノニムは時々笑いそうになったりと、様子がおかしかった。
「説明終わったみたいだし、もうひとつ良いか? 」
リリスの説明が終わると、アノニムが何故か手をあげてそう言った。そのときは、笑いそうにはなっていなかったが、やっぱり様子はおかしかった。
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