炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~

黄崎うい

15節 人形

「ここだ」

 アノニムの案内した先には、一本のこの場に合わない黒塗りされた柱しかなかった。リリスはアノニムの部屋だといっていたが、そこには、一本の柱があるだけでその先はさっきまでと同じように、延々と同じ幻想的な空間が広がっているだけだった。

「アノニム、ここはいったい……」

「少し静かにしてくれ。他の管理者との会話が始まったら面倒だ」

 確かにそうだ。アルゴライムはさっきの会話を思い出してそう思った。決まった言葉しか言わないのに、一度に言っても意味がない。逆にあんな会話なんてできないようにしてしまえば良いとさえ思うほどだった。

「アルゴライム、この柱に手を触れろ。リリスもだ」

 その命令口調のアノニムに従うことにアルゴライムは、少し抵抗もあったが、リリスが言われた通りにしていることや、他の管理者に目をつけられたくないという思いから、仕方なく従った。

 アルゴライムとリリスの視界が失せた。暗く、何もない。光もない。そんな恐怖にも思える時間は、およそ数秒で終わった。

 数秒後、アルゴライムとリリスの視界に広がったのは、夥しい数の人形だった。広さおよそ八畳ほどの空間を囲む壁一帯に日本人形を始め、フランス人形、マトリョーシカ、見たこともないような化け物を模したぬいぐるみが几帳面に並べられていた。

「ここは幽霊屋敷か何かですか? すごくこれらの視線が怖いのですけど……」

「あ、やっぱりライムでも怖いのね。私も始めに見たときは何事かと思ったわ」

「アルゴライムにはもう説明してあっただろう。私の趣味だ。最近は今なのもやってる。結構暇潰しになるぞ」

 アルゴライムは、そこに広がる異様な光景にほんの少しの恐怖を覚えた。確か、こんなことを聞いたことがあった。どこかの国での怖い話に人形が浮遊するというものが無かっただろうか。

「それはそうですけど、これには恐怖しかないですよ」

「だから言ったじゃないの! さっきもね、私言ったのよ。これは怖いってね」

「リースの忠告もあったのにこのまま怖いだけなのですね。アノニムももう少しでいいので感情を育てた方が良いと思いますよ」

 アルゴライムは、その言葉を何気なく放った。しかし、アノニムは多祥なりとも気にはしていたようで、珍しく反応を示した。

「ああ、そうかい。忠告どうも」

「……怒ってます? 」

 アノニムは、アルゴライムの問に答えるのが面倒になったのか、首を横に振った。そして、その頭をあげてアルゴライムを睨んだ。

「怒ってるわね……。何がアノニムを怒らせたのかしら」

「恐らく、私ですね。…………それより、さっきから気になっていたことを聞いても良いですか? 」

 リリスは、今まで見せたこともないような怪しげな笑みを浮かべた。そして、アルゴライムの言葉に答えた。

「ええ、別に私は構わないわよ。アノニムさえ良ければ」


 質問来たので質問ヘントー!
『うい先輩は女子力をどこに落としたんですか?』
私:落としたんじゃない、元からないんだ!
アルゴライム:開き直らないでください。殴)
私:痛いよ! 最近ライムちゃんが暴力的すぎて怖いな……。まあ、この質問をした人は、わたしにあいすをかってくること! 


こんな風に質問してもらえれば、すぐに答えるので、質問があればいつでもどうぞ!

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