炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
13節 謝罪
「騙すような真似をしてしまい、申し訳ありませんでした……」
リリスは、何の事に対して謝られたのか確信が持てていないようで、不思議そうな表情を浮かべた。そして、自分が死んだときのことだと理解すると、吸血鬼族として元から白かった肌がさらに青白くなった。
「貴女を守るためだったんです。貴女のような良い方が存在ごと消えてなくなるのを阻止するためだったんです」
恐らく、今まで何も知らなかったリリスには、アルゴライムの言っている意味は理解できなかっただろう。謝罪を言い終えて、ずっと無言で頭を下げ続けているアルゴライムのことを困ったような表情で見つめていた。
しばらくして、リリスはにっこりと微笑むと、優しい声でアルゴライムに語りかけた。
「良いの。確かに殺されたのは嫌だけど、アノニムに聞いたわ。私はあのとき死ななくてもすぐに死んじゃうところだったんでしょ? それに、そのままだったらこうしてもう一度ライムと話すこともできなかったのでしょう? 今こうやって話ができているんだもの。それで十分よ」
腑に落ちないことは確かにあった。けれど、今許しても許さなくても、何も変わらず、許さなければアルゴライムをただ苦しめるだけだということを悟ったのだ。ただ意味もなく殺されたなら許せない。しかし、そういうわけではなく、きちんと理由があり、その理由も自分を守るための理由であった。それなのに許さないなんて事は、リリスにはできなかった。
「リース……そろそろほどきましょうか? 」
「ええ、お願い」
リリスは、縛られていてまともに座ることもできないのに、アルゴライムと話をしていた。アルゴライムが顔をあげてその様子を見ると、不自然であり、可哀想だったので、手と足を縛っている縄をほどくか提案をした。
当然の事のようにリリスはその提案を飲んで、縄をアルゴライムには方に向けた。
アルゴライムは、その縄をほどくと、暇そうにしているアノニムに投げつけた。そして、暗い表情でアノニムのことを睨んで言った。
「ここにリースを連れてきて何のつもりですか? その説明を求めさせていただきます」
「……準備はできた。これから旧神の世界にアルゴライムを送り込む。そのために必要なのがリリスの魂だったわけだ」
少し面倒くさそうにアノニムは答えた。それはそうだ。仕事をしたのに何故かヒトミは消えてしまい、アルゴライムに睨まれているのだ。嫌にもなる。
「何故必要なのですか? 私にはその必要性は感じられません。こうして、リースにまた迷惑をかけて、そこまでするメリットはあるのですか? 」
アルゴライムは、自分の怒りを全てアノニムにぶつけるつもりで言った。アノニムは、怒るつもりはなかっただろう。しかし、まだなにも説明していないのにかってに怒られているこの状況に、怒りが込み上げていた。
「良いから聞けよ。人の話も聞かずにそうやって怒るのはどうかと思うぞ。それにな、これからアルゴライムに頼むことは成功するかもわからないことなんだ。くだらない生命体の友情ごっこでどうにかできることじゃないんだよ」
その発言から怒りらしき感情は感じ取れなかった。しかし、表情も行動も発言も怒っていない。それなのに、何故かアルゴライムとリリスには、アノニムが怒っているということが伝わった。
リリスは怯えていた。何も感情の見えないアノニムに対して、本能的に恐怖を覚えたのだろう。アルゴライムも怖くないわけではなかったが、リリスを守らなければならないという使命感が強く表れ、リリスの服を引いてアノニムから離した。
リリスは、何の事に対して謝られたのか確信が持てていないようで、不思議そうな表情を浮かべた。そして、自分が死んだときのことだと理解すると、吸血鬼族として元から白かった肌がさらに青白くなった。
「貴女を守るためだったんです。貴女のような良い方が存在ごと消えてなくなるのを阻止するためだったんです」
恐らく、今まで何も知らなかったリリスには、アルゴライムの言っている意味は理解できなかっただろう。謝罪を言い終えて、ずっと無言で頭を下げ続けているアルゴライムのことを困ったような表情で見つめていた。
しばらくして、リリスはにっこりと微笑むと、優しい声でアルゴライムに語りかけた。
「良いの。確かに殺されたのは嫌だけど、アノニムに聞いたわ。私はあのとき死ななくてもすぐに死んじゃうところだったんでしょ? それに、そのままだったらこうしてもう一度ライムと話すこともできなかったのでしょう? 今こうやって話ができているんだもの。それで十分よ」
腑に落ちないことは確かにあった。けれど、今許しても許さなくても、何も変わらず、許さなければアルゴライムをただ苦しめるだけだということを悟ったのだ。ただ意味もなく殺されたなら許せない。しかし、そういうわけではなく、きちんと理由があり、その理由も自分を守るための理由であった。それなのに許さないなんて事は、リリスにはできなかった。
「リース……そろそろほどきましょうか? 」
「ええ、お願い」
リリスは、縛られていてまともに座ることもできないのに、アルゴライムと話をしていた。アルゴライムが顔をあげてその様子を見ると、不自然であり、可哀想だったので、手と足を縛っている縄をほどくか提案をした。
当然の事のようにリリスはその提案を飲んで、縄をアルゴライムには方に向けた。
アルゴライムは、その縄をほどくと、暇そうにしているアノニムに投げつけた。そして、暗い表情でアノニムのことを睨んで言った。
「ここにリースを連れてきて何のつもりですか? その説明を求めさせていただきます」
「……準備はできた。これから旧神の世界にアルゴライムを送り込む。そのために必要なのがリリスの魂だったわけだ」
少し面倒くさそうにアノニムは答えた。それはそうだ。仕事をしたのに何故かヒトミは消えてしまい、アルゴライムに睨まれているのだ。嫌にもなる。
「何故必要なのですか? 私にはその必要性は感じられません。こうして、リースにまた迷惑をかけて、そこまでするメリットはあるのですか? 」
アルゴライムは、自分の怒りを全てアノニムにぶつけるつもりで言った。アノニムは、怒るつもりはなかっただろう。しかし、まだなにも説明していないのにかってに怒られているこの状況に、怒りが込み上げていた。
「良いから聞けよ。人の話も聞かずにそうやって怒るのはどうかと思うぞ。それにな、これからアルゴライムに頼むことは成功するかもわからないことなんだ。くだらない生命体の友情ごっこでどうにかできることじゃないんだよ」
その発言から怒りらしき感情は感じ取れなかった。しかし、表情も行動も発言も怒っていない。それなのに、何故かアルゴライムとリリスには、アノニムが怒っているということが伝わった。
リリスは怯えていた。何も感情の見えないアノニムに対して、本能的に恐怖を覚えたのだろう。アルゴライムも怖くないわけではなかったが、リリスを守らなければならないという使命感が強く表れ、リリスの服を引いてアノニムから離した。
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