炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
45節 頼み事
「……今、あなたが私を殺した場合、リースの魂はどうなるのですか? 」
……。アノニムからの返事が返ってくるまでに、少しだけ間があった。そして、その間を感じ取ったとき、アルゴライムは、どんな答えが返ってくるか察してしまった。
「残念だが、消滅する。あと、あんたが勘違いしてるのかわかんないけど、もしリリスを殺して魂を助けたとしても、今後会えるかどうかはわからないんだぞ? それに、エラーがあるわけでもないからすぐに消えてしまうかもしれない。そうだとわかっていても、助けるのかい? 」
そんなこと、わざわざ言われなくてもわかっていた。ここで助けても、もう一度会えるかわからない。それに、既に十万年の時を生きていたら、この世界で死んだ時点で消滅してしまうのだ。
「それでもです。それでも私は、リースに二度と会えなくても、あの素直な魂を残したいんです。この生命体らしい気持ち、あなたにはわからないと思いますけどね」
「ああ、わからない。が、また残念な知らせが届いた。聞くかい? 」
アルゴライムは、リリスが死んでしまったことを期待した。しかし、それはよく考えなくてもあり得なかった。リリスとは血の契約を交わしているため、死んだら何かが途切れる気配がするはずだ。小動物を利用して実験済みのことで、それを感じ取っていない今は、まだリリスが生きているということを意味していた。
「……はい。だいたい予想はできてますが、教えてください」
「ああ、わかった。単刀直入に言う。ルータス・メイリス・トキューバがリリスにより討たれた。トキューバの長が死んだんだ。この戦いはおしまいだ」
この戦いは元々吸血鬼を恨む鬼狼と吸血鬼の戦いだった。最も吸血鬼を恨んでいた鬼狼が死んだのだ。戦いが終わらないわけがなかった。
「……そうですか。あの、頼みがあるんですけど、いいですか? 」
「構わないが、何だ? 」
「……あの、私を──────」
アルゴライムは、思い付いたように一つの頼み事をした。
そして、この日、長年続いた吸血鬼戦争に、長、ルータス・メイリス・トキューバの死をもって幕を下ろした。元は、吸血鬼の冷徹さによって辛い人生を送ってきた者達により起こされた事件だったが、それが逆に吸血鬼の虐殺になってしまった。
吸血鬼の虐殺により、何の罪もない者も殺され、吸血鬼は鬼狼を名乗る者達に敵意を表した。
第一次吸血鬼戦争。吸血鬼の絶滅により、鬼狼の勝利。
第二次吸血鬼戦争。鬼狼の長の死亡により、吸血鬼の勝利。
そして、第三次吸血鬼戦争は起きることがない。この世界が神の手により破壊されてしまうから。
誰かが惜しい世界を亡くすと言っていた。破壊が決まったときは、緑や生態系が豊かで水も美しく、生命体の笑顔も溢れていたからだ。ただひとつ、知能の発達が皆無だったから、それだけのためにこの世界は破壊されることになってしまったのだ。
文字もある、言語もある、皆が生きている。一見知能があるように見えるこの世界の学問は、神がはじめからこの世界に落としていたものなのだ。そして、その知能は発達するどころか退化している。昔に書かれた文書を解読できる者などいないのだ。
……。アノニムからの返事が返ってくるまでに、少しだけ間があった。そして、その間を感じ取ったとき、アルゴライムは、どんな答えが返ってくるか察してしまった。
「残念だが、消滅する。あと、あんたが勘違いしてるのかわかんないけど、もしリリスを殺して魂を助けたとしても、今後会えるかどうかはわからないんだぞ? それに、エラーがあるわけでもないからすぐに消えてしまうかもしれない。そうだとわかっていても、助けるのかい? 」
そんなこと、わざわざ言われなくてもわかっていた。ここで助けても、もう一度会えるかわからない。それに、既に十万年の時を生きていたら、この世界で死んだ時点で消滅してしまうのだ。
「それでもです。それでも私は、リースに二度と会えなくても、あの素直な魂を残したいんです。この生命体らしい気持ち、あなたにはわからないと思いますけどね」
「ああ、わからない。が、また残念な知らせが届いた。聞くかい? 」
アルゴライムは、リリスが死んでしまったことを期待した。しかし、それはよく考えなくてもあり得なかった。リリスとは血の契約を交わしているため、死んだら何かが途切れる気配がするはずだ。小動物を利用して実験済みのことで、それを感じ取っていない今は、まだリリスが生きているということを意味していた。
「……はい。だいたい予想はできてますが、教えてください」
「ああ、わかった。単刀直入に言う。ルータス・メイリス・トキューバがリリスにより討たれた。トキューバの長が死んだんだ。この戦いはおしまいだ」
この戦いは元々吸血鬼を恨む鬼狼と吸血鬼の戦いだった。最も吸血鬼を恨んでいた鬼狼が死んだのだ。戦いが終わらないわけがなかった。
「……そうですか。あの、頼みがあるんですけど、いいですか? 」
「構わないが、何だ? 」
「……あの、私を──────」
アルゴライムは、思い付いたように一つの頼み事をした。
そして、この日、長年続いた吸血鬼戦争に、長、ルータス・メイリス・トキューバの死をもって幕を下ろした。元は、吸血鬼の冷徹さによって辛い人生を送ってきた者達により起こされた事件だったが、それが逆に吸血鬼の虐殺になってしまった。
吸血鬼の虐殺により、何の罪もない者も殺され、吸血鬼は鬼狼を名乗る者達に敵意を表した。
第一次吸血鬼戦争。吸血鬼の絶滅により、鬼狼の勝利。
第二次吸血鬼戦争。鬼狼の長の死亡により、吸血鬼の勝利。
そして、第三次吸血鬼戦争は起きることがない。この世界が神の手により破壊されてしまうから。
誰かが惜しい世界を亡くすと言っていた。破壊が決まったときは、緑や生態系が豊かで水も美しく、生命体の笑顔も溢れていたからだ。ただひとつ、知能の発達が皆無だったから、それだけのためにこの世界は破壊されることになってしまったのだ。
文字もある、言語もある、皆が生きている。一見知能があるように見えるこの世界の学問は、神がはじめからこの世界に落としていたものなのだ。そして、その知能は発達するどころか退化している。昔に書かれた文書を解読できる者などいないのだ。
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