炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
40節 姉妹の戦い①
アルゴライムが小刀をしまい、掌に炎を浮かべた時だった。キューバルはアルゴライムに問いかけた。
「貴女、私が姉だという自覚、あるの? 」
アルゴライムは、一度炎を握ってからキューバルに向けて投げるように放った。そして、少し考えてからキューバルの問いに答えた。
「いいえ、見た目が全く違いますし、話し方も違います。お姉ちゃんはもっと背が高く、スタイルもよく、美人でアホでしたから」
普通に炎を受けたキューバルを睨みながら淡々とアルゴライムは言った。並んだ時点でわかった。このキューバルも背は高い方だが、麗菜に比べればまだまだ小さいと。
「我、都 若菜の名において命ずる。炎呪よ、我が命に従い、キューバルを包み、身体の自由を奪え」
アルゴライムは、冷静に、早口で唱えた。キューバルが逃げないことも、アルゴライムに危害を加えないこともアルゴライムは理解していた。けれど、保険のつもりでキューバルの行動を制限した。
魔力をごっそりと持っていかれた気がした。相手の身体の自由を奪うことは、それほどしてはならないことであり、大変な事なのだ。
「こんなことして意味があると思っているの? 貴女は時間稼ぎの意味を理解しているの? 」
「我、都 若菜の名において命ずる。キューバルから全ての音と光を奪い、暗き無音の空間へと誘え」
これからする詠唱をキューバルにきかれたくなかった。そのため、アルゴライムはキューバルの発言を封じ、何も聞こえないようにした。
また魔力をごっそりと持っていかれた。恐らく、はじめの六割ほどの魔力しか残っていないだろう。そして、はじめの二割は残しておかないと、何かあったときに対処ができない。実質、魔力の半分は使ってしまったのだ。
「我、都 若菜の名において命ずる。この小刀に我に忠実な命を一時的に授ける。そして、我が指示に従え」
アルゴライムは、収納していた小刀を取り出し、そう唱えた。そして、宙に投げ、自由に飛ばせた。
そして、わざと右腕に傷をつけて血液を滴らせた。その血液は、鉄を模した小刀になり、その姿だけは先ほど離した小刀と瓜二つだった。
残り魔力、およそ二割五分。
「終わりましたよ、お姉ちゃん」
炎呪を解除し、アルゴライムはキューバルに呼び掛けた。そして、炎の中で静かに目を瞑っていたキューバルが、ゆっくり目を開けた。
「あら、そう? 光も音もない空間は退屈だったから助かるわ。ところで、なぜ解呪をしたのかしら?貴女が不利になるだけだというのに 」
「私はずるをしたくないだけです。それに、こっちの方が勝った気分になれるでしょう? 」
アルゴライムとキューバルは、お互いに笑いあった。その笑みは、姉妹通しで浮かべるような明るく楽しいものではなく、敵通しが浮かべる暗い笑みだった。
「弾けよ」
アルゴライムが笑顔のままそう呟くと、先ほどキューバルに向けて放った炎の玉が当たった辺りで何かが爆発した。
「貴女、私が姉だという自覚、あるの? 」
アルゴライムは、一度炎を握ってからキューバルに向けて投げるように放った。そして、少し考えてからキューバルの問いに答えた。
「いいえ、見た目が全く違いますし、話し方も違います。お姉ちゃんはもっと背が高く、スタイルもよく、美人でアホでしたから」
普通に炎を受けたキューバルを睨みながら淡々とアルゴライムは言った。並んだ時点でわかった。このキューバルも背は高い方だが、麗菜に比べればまだまだ小さいと。
「我、都 若菜の名において命ずる。炎呪よ、我が命に従い、キューバルを包み、身体の自由を奪え」
アルゴライムは、冷静に、早口で唱えた。キューバルが逃げないことも、アルゴライムに危害を加えないこともアルゴライムは理解していた。けれど、保険のつもりでキューバルの行動を制限した。
魔力をごっそりと持っていかれた気がした。相手の身体の自由を奪うことは、それほどしてはならないことであり、大変な事なのだ。
「こんなことして意味があると思っているの? 貴女は時間稼ぎの意味を理解しているの? 」
「我、都 若菜の名において命ずる。キューバルから全ての音と光を奪い、暗き無音の空間へと誘え」
これからする詠唱をキューバルにきかれたくなかった。そのため、アルゴライムはキューバルの発言を封じ、何も聞こえないようにした。
また魔力をごっそりと持っていかれた。恐らく、はじめの六割ほどの魔力しか残っていないだろう。そして、はじめの二割は残しておかないと、何かあったときに対処ができない。実質、魔力の半分は使ってしまったのだ。
「我、都 若菜の名において命ずる。この小刀に我に忠実な命を一時的に授ける。そして、我が指示に従え」
アルゴライムは、収納していた小刀を取り出し、そう唱えた。そして、宙に投げ、自由に飛ばせた。
そして、わざと右腕に傷をつけて血液を滴らせた。その血液は、鉄を模した小刀になり、その姿だけは先ほど離した小刀と瓜二つだった。
残り魔力、およそ二割五分。
「終わりましたよ、お姉ちゃん」
炎呪を解除し、アルゴライムはキューバルに呼び掛けた。そして、炎の中で静かに目を瞑っていたキューバルが、ゆっくり目を開けた。
「あら、そう? 光も音もない空間は退屈だったから助かるわ。ところで、なぜ解呪をしたのかしら?貴女が不利になるだけだというのに 」
「私はずるをしたくないだけです。それに、こっちの方が勝った気分になれるでしょう? 」
アルゴライムとキューバルは、お互いに笑いあった。その笑みは、姉妹通しで浮かべるような明るく楽しいものではなく、敵通しが浮かべる暗い笑みだった。
「弾けよ」
アルゴライムが笑顔のままそう呟くと、先ほどキューバルに向けて放った炎の玉が当たった辺りで何かが爆発した。
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