炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
3節 明暗の空間
「失礼します~」
ガラッと扉が開く音と共に、アルゴライムのいる部屋に知らない女の人が入ってきた。
「やっぱり◆さんは意識戻っていないようね。ピクリとも動かないし…」
女はアルゴライムの方に近づいていった。そして、すぐそばに何か重いものをおいた。
ピチャッ
水だ。重いものの中には水が入っている。そして、女は、水の中に入っているものを取り出して、絞った。布だと思う。
「────────! ! 」
濡れた布がアルゴライムの右腕に当たった。いや、女が右腕を拭きはじめた。
「本当に悲惨よね。これが自転車で転んだだけの傷には見えないわ。坂道でスピードでも出ていたのでしょうね」
(自転車? 私は自転車になんてほとんど乗らないはずなのに。それで転んだとでも言うの? そんなことより痛い)
アルゴライムは理解した。この場所がどこなのか。そして、この女はどんな人物なのか理解できた。
(病院ですね……。この人は看護師か何かですね)
「◆さんも本当に可哀想に……。△*ちゃんが怪我で大変でも、お姉さんが亡くなられたからお見舞いに来ることも出来ないなんて」
(え……お姉ちゃんが亡くなられた……? ただ、サッカーの試合に行っただけですよね。なぜ……。嘘だ。ありえない。ありえ……ない……)
涙が出てきそうになった。それでも涙は出ない。泣くことはできない。耳しか機能していないから。
「やっぱり、意識は戻りそうにないわね。かなり重症の熱中症で自転車に乗っていて倒れて、意識のない状態で運び込まれて、命が助かっただけで奇跡だものね。お姉さんのご加護かしら」
看護師だと思われるその女の言葉はアルゴライムの耳には届いていなかった。動揺。六日から聞いていた状況でも動揺はしていた。しかし、今は違う。ただでさえ目は見えない、身体は全く動かない、音以外で周囲を感じとることができない状態。今、たよりになる唯一の感覚器官である耳からの情報も入ってこないほどにアルゴライムは動揺してしまっていた。
「じゃあ、失礼しました。……どうせ、誰も聞いていないけどね」
そう言って女は出ていった。またこの空間にはアルゴライム一人になった。
交換した点滴の影響か、とてつもないほどの眠気がアルゴライムを襲った。アルゴライムは、動揺を抑えるためか、そのまま、眠気に任せて眠った。
しばらくしてアルゴライムは、目を覚ました。その空間は、真っ白な何もない空間だった。
(身体が動く……)
「声も……出る」
『コンニチハ、ココハ転生ルームデス。サア選ンデクダサイ』
なぜか感情を感じとることが出きる無機質な機械音がアルゴライムに話しかけた。
ガラッと扉が開く音と共に、アルゴライムのいる部屋に知らない女の人が入ってきた。
「やっぱり◆さんは意識戻っていないようね。ピクリとも動かないし…」
女はアルゴライムの方に近づいていった。そして、すぐそばに何か重いものをおいた。
ピチャッ
水だ。重いものの中には水が入っている。そして、女は、水の中に入っているものを取り出して、絞った。布だと思う。
「────────! ! 」
濡れた布がアルゴライムの右腕に当たった。いや、女が右腕を拭きはじめた。
「本当に悲惨よね。これが自転車で転んだだけの傷には見えないわ。坂道でスピードでも出ていたのでしょうね」
(自転車? 私は自転車になんてほとんど乗らないはずなのに。それで転んだとでも言うの? そんなことより痛い)
アルゴライムは理解した。この場所がどこなのか。そして、この女はどんな人物なのか理解できた。
(病院ですね……。この人は看護師か何かですね)
「◆さんも本当に可哀想に……。△*ちゃんが怪我で大変でも、お姉さんが亡くなられたからお見舞いに来ることも出来ないなんて」
(え……お姉ちゃんが亡くなられた……? ただ、サッカーの試合に行っただけですよね。なぜ……。嘘だ。ありえない。ありえ……ない……)
涙が出てきそうになった。それでも涙は出ない。泣くことはできない。耳しか機能していないから。
「やっぱり、意識は戻りそうにないわね。かなり重症の熱中症で自転車に乗っていて倒れて、意識のない状態で運び込まれて、命が助かっただけで奇跡だものね。お姉さんのご加護かしら」
看護師だと思われるその女の言葉はアルゴライムの耳には届いていなかった。動揺。六日から聞いていた状況でも動揺はしていた。しかし、今は違う。ただでさえ目は見えない、身体は全く動かない、音以外で周囲を感じとることができない状態。今、たよりになる唯一の感覚器官である耳からの情報も入ってこないほどにアルゴライムは動揺してしまっていた。
「じゃあ、失礼しました。……どうせ、誰も聞いていないけどね」
そう言って女は出ていった。またこの空間にはアルゴライム一人になった。
交換した点滴の影響か、とてつもないほどの眠気がアルゴライムを襲った。アルゴライムは、動揺を抑えるためか、そのまま、眠気に任せて眠った。
しばらくしてアルゴライムは、目を覚ました。その空間は、真っ白な何もない空間だった。
(身体が動く……)
「声も……出る」
『コンニチハ、ココハ転生ルームデス。サア選ンデクダサイ』
なぜか感情を感じとることが出きる無機質な機械音がアルゴライムに話しかけた。
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