炎呪転生~理不尽なシスコン吸血鬼~
2節 信じたくない
「え……」
アルゴライムは声を出すこともできなかった。聞き間違いだと耳を疑った。聞き返そうとした、しかし、どうしても声がでなかった。
『今すぐ、駅まで来て、サッカーの試合があった駅だから』
ブツッ。ツー、ツー、ツー。
電話の切れた無機質な機械音がやけに大きく聞こえた。
駅まで行けば、間違いだとわかるはず。
アルゴライムはそう思って急いで家を出た。万が一を考えて電車は使えない。アルゴライムは、乗りなれない自転車に飛び乗った。
(フラフラする……。あんまり乗らないから。道は……うん、こっちであってる。たちの悪い嘘は嫌いです。六日さんはそんな嘘つくはずがないけど、現実なはずがない)
アルゴライムの頭の中は混乱していた。嘘をつかない六日を信じたいが、さっきの電話が真実だなんて思えない。その感情がアルゴライムの脳内をさらに混乱させていた。
(暑……い。なんで、こんなに、暑いの、夏は嫌いです……)
ガッガタッ 
アルゴライムは倒れた。無機質なコンクリートの道路に投げ出された。この道は人通りが少ない。アルゴライムは、意識がなくなる前に、人の足の幻覚を見た気がした。
ピッピッピッピッ
無機質な機械音が響く空間にいることをアルゴライムは理解した。目は開かない。指も動かない。声もでない。耳だけが聞こえる空間だった。
ピッピッピッピッ
やけに静かだ。音が澄んでる。医療系機械の音だとアルゴライムは理解した。
(ここは……病院ですか? それにしても静かだ。そういえば、なぜ私は病院にいるのでしょうか? 確か、六日さんから電話があって……どんな電話だった? 覚えていない。記憶が曖昧ですね)
ズキッ
右半身に激しい痛みが走った。電気が走る痛みとは違う。今まで痛まなかった分の痛みが全て一気に痛んだ。
「────────」
声はまだ出てこなかった。いや、声が出ている状態でも声にならない悲鳴になっただろう。
熱い。右半身の痛みは熱へと変わった。火傷したときと同じ鈍痛がアルゴライムの身体を襲った。声もでない、身体も動かない。何もせずに、人間には耐えられないほどの苦しみを耐えるしかなかった。
(お姉ちゃん……痛い、熱いよ……暗いよ……。会いたいよ)
アルゴライムと麗菜は、昔からずっと一緒にいて、姉妹と言うよりも友達だと言われたことすらあるほどに仲が良かった。だから、仕事漬けで忙しい両親よりも、姉の存在をアルゴライムは求めたのだ。求めても、二度と目の前には現れないが、そんなことは知らないのだ。
アルゴライムは声を出すこともできなかった。聞き間違いだと耳を疑った。聞き返そうとした、しかし、どうしても声がでなかった。
『今すぐ、駅まで来て、サッカーの試合があった駅だから』
ブツッ。ツー、ツー、ツー。
電話の切れた無機質な機械音がやけに大きく聞こえた。
駅まで行けば、間違いだとわかるはず。
アルゴライムはそう思って急いで家を出た。万が一を考えて電車は使えない。アルゴライムは、乗りなれない自転車に飛び乗った。
(フラフラする……。あんまり乗らないから。道は……うん、こっちであってる。たちの悪い嘘は嫌いです。六日さんはそんな嘘つくはずがないけど、現実なはずがない)
アルゴライムの頭の中は混乱していた。嘘をつかない六日を信じたいが、さっきの電話が真実だなんて思えない。その感情がアルゴライムの脳内をさらに混乱させていた。
(暑……い。なんで、こんなに、暑いの、夏は嫌いです……)
ガッガタッ 
アルゴライムは倒れた。無機質なコンクリートの道路に投げ出された。この道は人通りが少ない。アルゴライムは、意識がなくなる前に、人の足の幻覚を見た気がした。
ピッピッピッピッ
無機質な機械音が響く空間にいることをアルゴライムは理解した。目は開かない。指も動かない。声もでない。耳だけが聞こえる空間だった。
ピッピッピッピッ
やけに静かだ。音が澄んでる。医療系機械の音だとアルゴライムは理解した。
(ここは……病院ですか? それにしても静かだ。そういえば、なぜ私は病院にいるのでしょうか? 確か、六日さんから電話があって……どんな電話だった? 覚えていない。記憶が曖昧ですね)
ズキッ
右半身に激しい痛みが走った。電気が走る痛みとは違う。今まで痛まなかった分の痛みが全て一気に痛んだ。
「────────」
声はまだ出てこなかった。いや、声が出ている状態でも声にならない悲鳴になっただろう。
熱い。右半身の痛みは熱へと変わった。火傷したときと同じ鈍痛がアルゴライムの身体を襲った。声もでない、身体も動かない。何もせずに、人間には耐えられないほどの苦しみを耐えるしかなかった。
(お姉ちゃん……痛い、熱いよ……暗いよ……。会いたいよ)
アルゴライムと麗菜は、昔からずっと一緒にいて、姉妹と言うよりも友達だと言われたことすらあるほどに仲が良かった。だから、仕事漬けで忙しい両親よりも、姉の存在をアルゴライムは求めたのだ。求めても、二度と目の前には現れないが、そんなことは知らないのだ。
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